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2010年5月25日 (火)

團菊祭昼の部@松竹座3:スーパーマン的三津五郎河内山

521日 團菊祭五月大歌舞伎昼の部(松竹座)
「河内山」
質見世がなかったせいか、河内山の小悪党ぶりはあまり目立たず(山吹色を要求するところくらいだろうか)、知略に富むスーパーマンぶりが強調されたかも。正体がバレたら命にかかわるという大芝居を打った河内山の機転が大大名に勝ったそのカッコよさ、すかっとする。本性を顕したところでそれがまたスーパーマンで、その痛快さに客席はやんやの喝采である。
三津五郎さんは崩さぬ中にユーモアを見せられる役者さんだと思うから(「髪結新三」の大家も、決して崩していないのにめちゃくちゃ可笑しかった)、河内山としてはもちろん、高貴な使僧(ちょいワルのお数奇屋坊主にそういう気品と大きさがあるという設定がステキではないか)の中にもくすっと笑わせるものがあって、面白かった。もう一つ、三津五郎さんは河内山役者の中では小柄であり、押し出しで勝負をするようなところがちょっと弱いかなと思っていたが、どうしてどうして、演技で体を大きく見せてしまうところがすごい。
どの役者さんもとてもよかったが、中で錦之助さんの松江出雲守が出色だったと思う。癇性なところもいいし、河内山にやりこめられて悔しがるがどうにもならない短慮な殿様の苛立ちがよく伝わってきた。まさに「馬鹿め」と嘲笑われるに相応しい人間性ではあるが、それでいて品格もあるという役をよくこなして演じていたと思う。
ところで、河内山が線香を立てた時だったろうか、携帯が鳴ったshock りりりりりりりりり。バッグの中で鳴っているようなくぐもった音。長い。携帯がバッグの外に出された(多分、音がクリアーに響いたもの)。即刻切られるのかと思ったら、またくぐもった音に戻って、そのうちやっと鳴り止んだ。あれだけ鳴り続けていたということはアラームだったのかも。あれほど劇場の人が開演前に注意しているのに、なんでぇとちょっとハラが立った。百歩譲って鳴るのは仕方ないとして、すぐに止めればいいのに。ただ、東京だとこういう時、客席の空気が凍りついたようになるものだが、この時は意外にもそういう感じは受けなかった。そう思ったのは私だけかな。
<上演時間>「摂州合邦辻」85分(11001225)、幕間30分、「勧進帳」70分(12551405)、幕間15分、「河内山」65分(14201525

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

SwingingFujisan さま
初めまして、Mickeyと申します。
以前からブログを楽しく拝見しています。
今回の団菊祭のコメントも細やかで、とても興味深く読ませていただきました。

実は、千秋楽の昼の部観劇の予定なのですが、初めての遠征、初めての劇場で少々心配です。お弁当は前もってどこかで調達して行くべきでしょうか?また、お勧めの松竹座グッズはあるでしょうか?

こんな遠征初心者ですが、アドバイスをいただけると嬉しいです。

投稿: Mickey | 2010年5月25日 (火) 11時46分

Mickey様
はじめまして。いつもお読みくださっているとのこと、ありがとうございます。また、このたびはコメントをいただいて大変嬉しく存じます。ありがとうございます。お返事が大変遅くなってごめんなさい。

松竹座でのお食事ですが、私も今回が3回目で、全然詳しくないのです。どこの何にしようかと考え、「キムカツ」という松竹座地下の食堂でトンカツをいただきました。サクサクとした衣が軽くて、中のお肉はミルフイユのように薄切り肉が何重にもなっていて、お味もいくつかの中から選べます。
ただ、食堂でのお食事はちょっと慌しいのが難ですね。
で、お弁当でしたら松竹座の売店でも売っていますので、開演前にお求めになれます(確信はもてませんが、お昼の幕間でも大丈夫かも)。ただ、売店のお弁当は比較的どこでも手に入るようなものですので、できたら別のお弁当を選ばれたほうが楽しいですよね(売店のお弁当に比べ少々値が張るかもしれませんが)。
初遠征、初めての劇場ということですので、松竹座近辺で手に入るものを考えてみました(心斎橋の高島屋もお弁当選びにはいいらしいですが、ちょっと遠いみたいです)。
まず、松竹座の前では、開演前に各食堂がお弁当の予約を取っています。幕間に1階入り口で受け取ることになるみたいですよ。また、松竹座の隣に「はり重」というお肉屋さんがあって、そこのお弁当やサンドイッチもおいしそうですよ(予約が必要かと思います。「はり重」についてははなみずき様が詳しく書いていらっしゃいますので、ご参考になさってみてください。当ブログの右側「歌舞伎倶楽部」というリンクから飛んでいけます⇒「はなみずきカンゲキ帖」)。
そのほか、「今井」というお店のお弁当も評判のようですが、11時開店のため前日までに予約が必要だと思いますし、幕間に取りに行くとなるとちょっと忙しいかもしれませんね(私は前夜「今井」のお店を探しに出かけ、結局見つけられずに諦めましたが、後で地図を見たら、全然別の方向を探していたことを知りました)。
あとは松竹座斜向かいの「かに道楽」にもお弁当があるみたいですよ。

松竹座グッズはよくわかりませんの。売店でご覧になってみてくださいね。
あまりお役に立てなくて申し訳ありません。
なお、松竹座は御堂筋の大きな通りには面しておらず、「はり重」の角を曲がったところにあります。また、1階はエントランスだけで、2階が売店とトイレ、3階から上が劇場になっています。

投稿: SwingingFujisan | 2010年5月25日 (火) 17時37分

SwingingFujisan さま
こんにちは。
初めてお邪魔して、歌舞伎とはかけ離れた質問をしたにもかかわらず、ご親切にご回答いただき、有難うございます!!

さすが食い倒れの街ですね、幕間のお食事も楽しみです。菊之助さんの玉手御前も素晴らしいようですし。
初めての劇場、できればゆとりを持って行くようにします。

今、会社のお昼休みですが、何だか仕事が手につかなくなってきました。

帰りましたら、ご報告させていただきます。
まずはお礼まで。

投稿: Mickey | 2010年5月26日 (水) 12時01分

Mickey様
こんにちは。お昼休みにわざわざコメントをくださって、ありがとうございます!!
まとまりのつかないご紹介でごめんなさいね。
千穐楽のご観劇、朝早くて大変ですが、体調を整えてお食事とともにお楽しみくださいね。菊之助さんもさらに力の入った玉手を見せてくれることと思います。
お戻りになられましたら、ぜひご感想をお聞かせくださいませね。

投稿: SwingingFujisan | 2010年5月26日 (水) 12時11分

SwingingFujisan さま
行ってまいりました、大阪松竹座。
千秋楽の昼の部です。
『摂州合邦辻』、菊之助さんの玉手御前、素晴らしかったです。本当にきれいで、花道に登場した時から目が離せませんでした。三津五郎さんの老け役ってあまり見た覚えがないのですが、合邦道心、絶品でした(娘の訪れを嬉しく思っても素直に喜べないところ、真相を知ってからの台詞など)。母おとくの娘を思う心にうたれ、初めの方から泣きっぱなしでした。。。
菊之助さんの玉手については、SwingingFujisanさまが書いていらっしゃるとおり、本当に素晴らしく、初演を見に大阪まで行って良かったと思いました。合邦に刺された後、絞り出すような声で真実を語るにつれ、菊之助さんは本当に涙を流していました。目元の紅(?)が溶けて見えました。
名舞台でした。同じ配役で、新しい歌舞伎座でぜひぜひ見てみたいと思いました。

大阪松竹座でも、写真を売ってくれないでしょうか。。。

投稿: Mickey | 2010年5月30日 (日) 22時37分

Mickey様
お帰りなさいませ。お疲れ様でした。
「摂州合邦辻」に大変感動なさったご様子、同じ感動を味わった者として、とても嬉しく存じます。
千穐楽とあって、菊之助さんもすべての思いをぶつけられたことでしょうね。今月は演舞場、御園座、松竹座の3座とも千穐楽が同じ日でしたが、少しズレていたら、私も松竹座の千穐楽に行きたかったのになあと思います。
合邦の複雑な心情--男親というのはつらいものですね--、娘に刃を立てた瞬間の気持ち、三津五郎さんの全身にそれが滲み出ていて、それを思うとたまらなくなります。三津五郎さんは今月は2つのまったく違う老け役をやられたのが面白いですね(夜の部「髪結新三」のしたたかな大家さん)。
ぜひ、新しい歌舞伎座でもやってほしいと、私も思います。
そういえば舞台写真、番附には入っていたのに売っていませんでしたね。ちょっと寂しいですね。

投稿: SwingingFujisan | 2010年5月31日 (月) 00時27分

SwingingFujisanさま
ご報告し忘れましたが、幕間のお弁当は、開演前に劇場前で予約を受け付けていたキムカツの幕の内弁当にしました。トンカツがおいしかったですし、ご飯が熱々で嬉しかったです。(でも、東京で幕の内というと、型抜きされたご飯の上にごま塩のイメージなのですが、普通の白いご飯でした。)
松竹座は少し雰囲気が演舞場に似ていましたが、見やすかったです。
『勧進帳』は大好きな演目ですが、SwingingFujisanさんもお書きになっていたように、花道で振り向き、越し方を見やる時、それから判官御手の下りがあっさりしているように感じました。また、拍手が起こる場面も、必ずしも東京と同じではなかったと思います。こんなところも遠征すると楽しめますね。


投稿: Mickey | 2010年5月31日 (月) 13時24分

Mickey様
そうそう、お昼をどうされたか、気になっておりましたが、お伺いしそびれました。お知らせくださってありがとうございます。
歌舞伎座ではお弁当も食堂のお食事もアツアツというわけにはいきませんでしたが、松竹座はそこが嬉しいですね。キムカツのトンカツ!! あ~、さくっとした食感が思い出され、またいただきたくなってきましたdelicious

同じ演目でも役者さんによって演じ方がずいぶん違いますよね。今回の藤十郎さんは比較的あっさりしていたかもしれません。またおっしゃるように、観客の反応も土地によって違うのが面白いですね。

松竹座は大きさが演舞場くらいでしょうか。私も見やすいと思いました。ほかに、博多座もとてもいい劇場ですよ。アクセスもいいし、町もいいし、好きな劇場の1つです。機会がおありでしたら、是非。

投稿: SwingingFujisan | 2010年5月31日 (月) 14時26分

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