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2010年5月 4日 (火)

歌舞伎座閉場式番外篇:歌舞伎座を彩った名優たち

430日 歌舞伎座閉場式夜の部(歌舞伎座)
手締式の前に45分というなが~い幕間がある。この間に最後の館内をうろついたり、売店を覗いたり、トイレに行ったりと考えていたら、何だかの映画(よく聞こえなかった)をやるというアナウンスが耳に入った。じゃ、その前に用事をすませようと立ち上がりかけると、もうスクリーンの準備が始まっているから、慌てて再び腰を下ろした。
席を立たないでよかった。番外編のお宝映像である。
タイトルは確かじゃないけれど「歌舞伎座121年の歴史と伝統――歌舞伎座を彩った名優たち」3階に展示されていた「思い出の名優たち」である)。
明治22年の第1期から今日まで4期にわたる歌舞伎座で活躍した名優たちの演技を声と写真、あるいは動画で、かなりの駆け足だったけれど大いに楽しんだ。この時間を食事に充てたりして席を立った人も大勢いて、もったいないと思った。だって、11人が紹介される時間はわずか数十秒程度なのに、知っている役者でも知らない役者でも、知っている芝居でも知らない芝居でも、一瞬にしてその世界に誘われ深い感動に打ち震えるんですもの。4期になると、実際に舞台を見ている人も増えてくるからか、スクリーンに向かって「○○屋っ」とあちこちから声がかかったり拍手が湧いたりする。ああ歌舞伎のよさはこれだ、としみじみ思う。私も時々拍手した。
とくにこの映像の中で「やったぁ!!」と私が喜んだのは、現存する日本最古の映画のネガフィルムが発見されたと話題になった「紅葉狩」(九世團十郎、五世菊五郎)が見られたこと。以前にもこのブログで取り上げたことがあるが、当時はついに見逃してしまったのだ。今回はそのごく一部だったのだろうけれど、少しでも見られて嬉しかった。ちょっと長くなるけれど、映像で紹介された役者と役名を自分の記憶のためにも全部記録しておく。

1期:明治221889)年11月~明治441911)年7
洋風の外観、内部は和風の建物であった。あの福地桜痴こと源一郎が開設したって、恥ずかしながら知らなかった。
九世團十郎五世菊五郎初世左團次大芝翫(四世)、七世團蔵六世門之助などの時代。
2期:明治441911)年10月~大正101921)年10
明治443月に開場した帝国劇場に対抗して、純和風の建物として改築再開。大正1010月、漏電により焼失。
2期歌舞伎座の杮落としは五世歌右衛門の襲名公演であった。歌右衛門の政岡、四世澤村源之助の「切られお富」は音声が残っていた。そのほかの名優は、三世雀右衛門(小春)、四世松助(蝙蝠安)、七世中車(弁慶)、二世段四郎初世市川斎入三世歌六
註:カッコ内はこの映像で紹介された役名。役名がないのは見逃したのかも。あと、チェックしてみたら、二世梅玉さんの名前がない。メモから洩れちゃったのかな。

3期:大正141925)年12月~昭和201945)年5
2期の建物焼失後すぐに建設が始まったが、関東大震災に被災し、工事は一時中断。その後再開され、完成に至った。空襲を受け焼失。
初世鴈治郎:忠兵衛(映像あり)
二世左團次・二世松蔦:「鳥辺山心中」の半九郎とお染
十三世勘弥:南郷力丸
五世福助:お蔦
六世梅幸:お富
三世秀調:「どんどろ大師」のお弓(この演目は見たことがない)
六世彦三郎:弥太五郎源七
六世友右衛門:高師直
初世魁車:梅川
十二世仁左衛門:おかる
七世宗十郎:塩冶判官
三世梅玉:「藤十郎の恋」のお梶
二世延若:「楼門五三桐」の五右衛門
七世幸四郎十五世羽左衛門:弁慶と富樫緊張の対峙(個人的には十五世羽左衛門を見られて嬉しい。竹田真砂子さんの「小説・十五世羽左衛門」を読んで以来憧れていたのだ)
六世菊五郎:「春興鏡獅子」の弥生
初世吉右衛門:熊谷(見たかった初代の熊谷。「十五年は一昔。夢だあ」の場面が見られて感動)
4期:昭和251950)年12月~平成222010)年4
三世阪東寿三郎:「楼門五三桐」の真柴久吉
二世権十郎:常陸坊
十世團十郎=五世三升:口上
三世時蔵:玉手御前
四世富十郎:揚巻
七世三津五郎:六歌仙
四世時蔵:文七
初世猿翁:夜叉王
三世段四郎:春彦
十一世團十郎:助六
八世團蔵:和泉屋清兵衛
五世高砂屋福助:「鰯売」の博労
三世左團次:微妙
三世寿海:「頼朝の死」の頼家
八世中車:合邦
八世三津五郎:意休
十四世勘弥:「其小唄夢廓」の白井権八(これも見たことがない)
八世宗十郎:藤の方
三世多賀之丞:「絵本太功記」の皐月
初世白鸚:「寺子屋」の松王丸
二世鴈治郎:呉服屋十兵衛

三世松緑=初世辰之助:丑松(あの鋭く暗く悲しい目に再び出会った。本当に早逝が惜しまれる)
十七世勘三郎:一條大蔵卿(さすが中村屋。拍手と掛け声が一段と多かった)
二世松緑:関兵衛(「大きい」という言葉がこれほどぴったりくる役者さんはいない、と私は思っている)
三世延若:操三番叟
十三世仁左衛門:藤屋伊左衛門
十四世仁左衛門:傾城夕霧
七世梅幸:藤娘
三世権十郎:通人里暁
九世三津五郎:藤弥太
九世宗十郎:「いもり酒」の夕しで(「いもり酒」は歌舞伎チャンネルで見たかも)
十七世羽左衛門:「時今也桔梗旗揚」の武智光秀
六世歌右衛門:花子(さかんに「大成駒」の声がかかった)

こうしてリストを眺めてみて、自分が見てきた演目、役が脈々と次の世代に継承されているという事実にあらためて深い感動を覚えた。

閉場式のご報告はこれで終わりです。
長々しいレポをお読みくださってどうもありがとうございました!!

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コメント

おはようございます。

閉場式レポシリーズ、ありがとうございました&お疲れ様でしたm(_ _)m

手締の前の幕間がやけに長いなぁと思っていました。200人の役者さんが居並ぶ準備はたしかにたいへんでしょうが、それにしても長いなぁ、と。

詳細なレポートありがとうございます。実は私はこの間ほとんど席を立って(スタバに行っていました)いたもったいない(笑)一人です。このフィルム、昨年の手打式の際に上映されたものです。このアナウンスがあったので、「ま、いっか」とコーヒーを飲みにいった次第です。終わりのほうは少し見たのですが、やっぱりもったいなかったかなぁ。どなたかがおっしゃっていましたが、どこかで上映して欲しい貴重なフィルムです。一番懐かしく、そしてせつなかなったのは、やはり辰之助(三世松緑)さんでした。今思い出してもやっぱり涙が出ます。

今NHKを見ながらまた涙しているからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2010年5月 4日 (火) 10時18分

からつぎ様
あの映画が、手打式のときに上映されたものらしいとは、後で知りました。からつぎ様はその時にご覧になっていらっしゃるのですものね。でも1人1人の役者さんの紹介があんまり駆け足だったものですから、もうちょっと膨らませてロングバージョンにして上映してほしいですわ。「歌舞伎座ドキュメンタリー「わが心の歌舞伎座」が現在製作中のようですから、楽しみです。
ね、辰之助さんのことを思うと切ないですねweep

仁左様の番組、録画しそびれました。からつぎ様があの時間NHKで泣いていらっしゃるのは何の番組だろうと、帰宅してから新聞で探したら、仁左様だったのですね。ああ、残念至極crying

投稿: SwingingFujisan | 2010年5月 4日 (火) 19時15分

詳細なレポお疲れ様でした!
この式でしかあり得ない顔合わせでの舞踊が見れなかったのは地団駄を踏みたい気持ちですが、一つ一つを想像しながら読んでいたら、なんだか満足できましたhappy01
お忙しいなか、本当にありがとうございます!!(お仕事だいじょぶですか〜?汗)

思いは沢山。正直名残は尽きませんが、まずは歌舞チャンでの放送、制作中の映画(雑誌の特集もあるだろうし)を楽しみにしたいと思います。
そして、この狂想曲が終わっても「歌舞伎」ファンで居続けるのですから変わらないんですよね。

辰之助さんは歌舞チャンでしか見たことないんですが、あの陰のある悲しそうな目がいいですよね〜!11世團十郎丈も憂いのある暗さがありましたね。

投稿: 林檎 | 2010年5月 5日 (水) 11時15分

林檎様
こちらにもありがとうございます。
閉場式の場にいられたことは、もうそれだけでありがたいこと、夢の世界でした。TV放送をお楽しみに(私も早くもう一度見たくて)。

辰之助さんは「暗闇の丑松」をTVで見て、すっかりあの目の虜になってしまいました。他の演目は知らないので、今後歌舞伎チャンネルでかかったら見てみなくては。
11代目は今の海老ちゃんが「じいさま、カッコいい~」と惚れて歌舞伎に打ち込むきっかけになったようですから、本当にカッコよかったのでしょうね(私にも11代目の記憶はあるのですが)。化粧をしても目の中に潜むものはそれぞれ異なり、それがまた観客の心を惹き付けますね。

仕事は今必死です (^-^;

投稿: SwingingFujisan | 2010年5月 5日 (水) 13時38分

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