« 「鳴神」:「歌舞伎のみかた」編 | トップページ | どひゃあ〜 »

2010年6月16日 (水)

「鳴神」:本編

614日 歌舞伎鑑賞教室「鳴神」(国立劇場大劇場)
「鳴神」
久しぶりに歌舞伎を見た~という気持ちになった。
孝太郎さんは絶世の美女という感じではないが、愛らしくコケティッシュで、頭のよさも感じられた。重大な任務を背負っているこのお姫様は、それを感じさせない大らかさがなくてはならないと思う。孝太郎さんには十分それがあった。
癪を起こしたふりをするところは、見ているときはひどく唐突な感じがしたが、あとで、そういえば攻めあぐねてふと仮病を考えついたという感じは確かにあったな、と思い直した。そこからの駆け引きは面白く、高校生たちもイヤホンの助けがあったかもしれないが、かなりウケていたようだった。「あたしの言うことがきけないの?」と脅すあたりはギリギリ品性を保っていると見えた。ヘタをするとちょっと下世話な雰囲気が出てしまいそう。
愛之助さんははじめのうち、鳴神の威厳を表すためか喉の奥のほうで発声しているようだったが、滑舌がいいからセリフが聞き取りにくいということはほとんどなかった。端整で宗教家としての威厳をもった鳴神が雲の絶間姫の話に思わず夢中になり、しまいには階段から落ちてしまうところが俗離れしていていい。鳴神のこれまでの修業一筋の人生を感じさせる。
骨太ラブリンはやっぱり好きだ。骨太の中に、愛之助本来のやわらかさ、色気があって、それが場面場面にほどよく配分され、堕ちていく男の姿が印象付けられる。ただ、どこがどうとは言えないのだけれど、なんとなく、もどかしいような気がした。徐々にとろけていく様子はとてもよかったが、本来もっている鳴神の激しい性格(朝廷に抗議して雨をふらせなくするとか、最後に怒りの形相で暴れまくるとか)の片鱗が時々見られてもいいのではないか(海老蔵さんが見せるような激しさ)。
騙されたことを知った鳴神が顔を上げると、高校生たちがどよめいた。あの端整な顔が怒りに隈取られていたからだろう。「歌舞伎のみかた」で予備知識を入れていたとはいえ、実際にその変化を見ると驚くのはわかる。
私は「鳴神」を見るといつも、よく出来た話だと思い、鳴神が気の毒になってしまう。約束を破ったのは朝廷であり、鳴神の初恋も最初からの色仕掛けなのだ。そういう仕掛けにとんと騙されてしまうのも、朝廷に対する怨みをもつのも、鳴神が「普通の人間」に過ぎないからであり、だからこそ気の毒になるのだ。最後の怒りはもっともで、肩入れしたくなる(鳴神って、六方のとき気合の発声?をするんだったっけ…)。
愛之助さんの鳴神は全体には非常に好感がもてたし、孝太郎さんとの息もさすがにぴったり合い、白雲坊、黒雲坊も芸達者な松之助、橘太郎とくれば(この2人のコンビネーションも見どころ)、歌舞伎鑑賞教室だけの上演ではちょっともったいないような気がした。松竹座でも演舞場でも十分かけられるのではないだろうか。
<上演時間>「歌舞伎のみかた」35分(14301505)、幕間20分、「鳴神」75分(15251640

|
|

« 「鳴神」:「歌舞伎のみかた」編 | トップページ | どひゃあ〜 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/35297136

この記事へのトラックバック一覧です: 「鳴神」:本編:

« 「鳴神」:「歌舞伎のみかた」編 | トップページ | どひゃあ〜 »