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2010年8月23日 (月)

第8回亀治郎の会千穐楽

822日 第8回亀治郎の会千穐楽(国立劇場大劇場)
タイムテーブルのことを考えるとちょっと億劫感もあったけれど、やはり2度見ておきたい気持ちが強く…出かけて行ってよかった。
とてもよかったのだ。それでも、亀治郎の「華」は女方にあり、と強く思った。

幕間は、
152回が252回に変更になっていた。15分じゃあんまりだったものね。そして「上州土産」が当初は140分取ってあったのが130分に短縮されていた(初日に実際130分だったし)。感想は2度目なので簡単に。
「道行」
亀治郎さんの忠信の意識が常に鼓にいっているのがはっきりと見てとれた。立ち雛って、静が誘うんだったのね(忠信は「オレっすか?」という表情で静に近づき、雛の形を取っていた)。全体に初日より華やかな感じがした。
「川連法眼館」
染五郎さんの義経は、本物の忠信に向かって「静を鎌倉に渡し、詮議に来たか」と言うあたりに怒りが籠もっていた。芝雀さんは初日と変わらない印象。それだけ初日の完成度が高かったのだろう。
門之助(駿河次郎)、亀治郎(忠信)、亀鶴(亀井六郎)の3人並んだ引っ込みは一幅の絵のような美しさがあったが、亀ちゃんがもう少し体が大きいともっとよかったような気がしてちょっと残念。

後半は拍手・拍手・拍手の嵐であった。狐忠信の一言一言、一挙手一投足ごとに拍手がきていたと言ったら大袈裟だろうか。でもそんな印象を受けるほど。
膝回転は初日以上にキョーレツだったsign03

宙乗りになると、鳴り物のリズムに合わせて手拍子が起こる。初日にも手拍子は起きて、あれっと思ったけれどすぐに拍手に変わったからあまり気にならなかった。今日は最後までほとんど手拍子で、これってどうなんだろう。六方の手拍子と同じような違和感を大いに覚えたのだけど…。

終わった後すぐに2階に降りて、廊下の花びらを見に行った(物好きだねcoldsweats01)。確かにカーペットの上に何枚も花びらがこぼれていた。花道にもたくさん残っていたと見えて、幕間にホウキとコロコロカーペットで取っていた。

「上州土産百両首」
初日もそれなりに感動したが、もっともっとずっと感動した。序幕の番小屋→浅草観音境内の場がテンポがよくなっていたし、初日に自分が感じた何か変な気分(感動は感動として)はほぼ解消されたと言ってよい(これ、何となくもやもやしたものがあったのに、うまく表現できなくて敢えて書かなかった。その後レオン・パパ様にご指摘されてはっきり意識し、自分の中できっちり消化できたんだと思う)。つまり、歌舞伎の味わいの問題で、どこか満足しきれないところがあったのは主役級、大事な人物に福士誠治、渡辺哲という歌舞伎役者でない役者をもってきたことによるのだとわかったのだ。歌舞伎役者以外の役者が歌舞伎に出たら、その分を味わいから差し引くべきだとわかっていながら、それが自分の中で出来ていなかった。
たとえば歌舞伎の味わいについて言えば、茶店のおばさん(市川澤路)。短い出番ながら「らしさ」「空気」「味わい」、すべて歌舞伎であった。
それが消化されてみると、福士クンのピュアさが傑出して見え、亀ちゃんとの福士クンとの遣り取りは密に思え、ぐいぐい引き込まれた(もちろん、味わいっていう面から見れば、亀鶴さんや門之助さんとの絡みとは全然違うの)。堅気になると決めて聖天様の前で別れる場面は、「別れなくちゃいけないのかい」「別れたくないなあ」という福士クンの切ない声にぼろぼろ泣かされた。「ふくしっ」の掛け声も初日に比べずいぶん増えていた。
この場面の前、悪いことから足を洗うと決めた2人が聖天様へ向かうのは通路使いである。亀治郎が「暑さの中、足をお運びくださり、ありがとうございます。どうにか千穐楽を迎えられました」と述べる。そして歩きながら「みんな黄色い本(亀の会のプログラム)を持っている」「まさか持ってない人はいないよね」とゼニがたくさん入ったというゼスチャーbleah 初日は最前列のご婦人を観音様に見立て手を合わせていたっけ。
身ぐるみの三次は身の不運(たとえばスリという境遇に堕ちたとか、金がないとか)を他人のせいにするタイプだろう。それでも三次にとって正太郎は唯一の友人であり、堅気になると聞いて裏切られた思いがしたのではないだろうか。「3人(渡辺哲のアニキ)一蓮托生」というセリフが三次の心なんだろう。だからこそ、正太郎がドジでマヌケなガジなんかのために命を懸けているのが許せなかったのではないだろうか。亀鶴さんheart04の悪党はチンピラヤクザっぽくて、目付きも悪く、すごくよかった。
門之助さんは大きくて温かい二枚目が実にカッコよくてよく似合う。吉弥さんは本当はガジを可愛がって心配している様子がよくわかる。
この演目、2度見て絶対よかったと思った。そして耳に残る福士クンの「あじゃぁ」と「アニキ~」の声、今でも心あたたまり、泣ける。
終わった後、カーテンコールがあった。段之さんは泣いていたのか汗なのか白い布を目に当てていた。亀鶴さんは懐手で登場し、既に並んでいた誰かにぶつかりさっと手を出すとそこには黄色い本(プログラム)がsmile にやにや笑いながら黄色い本をアピールする亀鶴さんheart04
亀ちゃんと福士クンが手に手を取り合って登場する。亀ちゃんは
1人舞台最先端に出て、客席をじろり(smile)と見渡し笑いを取り、花道へ出て丁寧に挨拶する。何か口上でもあるかなと思ったが、今回は無言のまま幕になった。
上演時間は5分ほど延びて、カーテンコールも含めると終わったのは18:40。

亀治郎の会もあと残すところ2回だそうである(10回で終わるということ)。来年は81921日、国立劇場大劇場で。

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コメント

詳細なレポを沢山お疲れさまでした&ありがとうございます!

人気公演なだけにチケット購入が非常に難しかったり、モロモロな事情で行けない身にとってはありがたいですnotes

亀ちゃんはもう本興行に出ないのではないかとこの前Swinging Fujisan様が書いてましたが、何かそのような発言があったりしたのですか?言われてみれば、亀ちゃんの性格ならあり得るなと思ってガッカリしてしまいました。沢山見たい役者さんの1人なのに〜!weep

今月はくしくも演舞場との狐忠信対決。今週末に演舞場は見てきますが、どちらも猿之助さんの指導だし、是非亀ちゃんのも見たかったなぁ…
この前、海老蔵の伊右衛門さんへのコメントを許容いただけてホッとしました。重ねてありがとうございます!

投稿: 林檎 | 2010年8月25日 (水) 19時57分

林檎様
コメントありがとうございます。
まずは、海老蔵さんに関するコメントのことから。
許容なんておっしゃらないでください。中傷めいた内容は困りますが、林檎様のご批評は大好きな海老蔵さんを思ってのこと、そういうご意見は大歓迎です。海老蔵さんも、オーラだけで押し切っていては先が見込めませんものね。

亀治郎さんのこと。「本公演に出ない」とご自分で明言したわけでは全くありません。ただ、亀の会のプログラムに書かれた亀ちゃんの言葉を読んで、そういうこともありうるかもと思っただけです。亀ちゃんは自分のやりたいことしかやらない、ってことです。ただ、猿之助歌舞伎は間違いなく継承していってくれそうです。
亀治郎の会は今年で8回目ですが、あと2回で終わるということです。来年は8月19~21日、国立劇場大劇場で行われます。

私も歌舞伎座で是非、亀ちゃんの(できたら)女方を見たいです!!

投稿: SwingingFujisan | 2010年8月25日 (水) 20時20分

名言されたわけではないのですね。
でも、本公演だからどうだとか、そういった事には
惑わされない方だと思うので、特にこだわりは持たないでしょうね。
(私、亀ちゃんのそういう変わり者な所というか、アクの強さがとっても好きなのですが。笑)
ただ、くれぐれも孤立してしまわないように願います。
海老蔵との「かさね」とか良かったのになぁ。
なかなか自由がきかない身ですが、見るためには亀ちゃんの公演があったらしっかりチェックを入れておかないといけないかもしれないですね〜。
ガンバらねばup

>海老蔵さんも、オーラだけで押し切っていては先が見込めませんものね。
はい、その通りなのです!分かっていただけて嬉しいですconfident

投稿: 林檎 | 2010年8月26日 (木) 10時35分

林檎様
亀治郎さんが、本公演だからとかそういうことにこだわらない方であるというご意見には賛成です(ただ、さよなら公演に一度も出なかったのは自身でも意識していたみたい)。そういう点がお好きとのこと、それも同感です。そして「孤立してしまわないように」--私もそれを懸念しております。自分の考え方についてこれる人だけが応援してくれればいい、などとくれぐれも思わないようにしてほしいと願っているのです。まあ、亀ちゃんは賢いのでそういうことはないと思いますけれど。
亀治郎さんの公演は一番近いもので28日の「珠響き」、それから9月18日の日光、9月26日不忍池、そして10月の「じゃじゃ馬」でしょうか。「じゃじゃ馬」は本当に楽しみです!!
海老蔵・亀治郎の舞台、見たいですねえ。

外出していたので、お返事が遅くなってごめんなさい。

投稿: SwingingFujisan | 2010年8月26日 (木) 22時44分

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