« 第8回亀治郎の会初日・1 | トップページ | 第16回稚魚の会歌舞伎会合同公演・A班 »

2010年8月20日 (金)

第8回亀治郎の会初日・2

818日「第8回亀治郎の会」初日(国立劇場大劇場)
四の切が終わった後、席を立つ人がちらほらいて、気持ちはわからないでもないけど、もったいないなあと思った。
「上州土産百両首」
男の友情物語。というより、血の繋がっていない兄弟愛か。心の琴線に触れる物語だった。この芝居、先月の歌舞チャンで猿之助さんのをやっていたらしいんだけど、すっかり見逃してしまった。初見の演目を若手で初めて見るのも悪くはない、だけど猿之助さんのを見ておきたかったのは、福士誠治クンに主役の亀ちゃんを食いそうな圧倒感があったから。猿之助さんのときもそうだったのだろうか。
亀ちゃんもいなせであったかくてとても良かった。だけど、福士クンのドジで純粋な牙次郎がその上に大きく乗っかっていたような気がした。純粋ということがこれほど人間を鈍に、しかし美しく見せるのかと感心した(ただ、この役作りは好き嫌い分かれるかもしれない)。福士クンの身体が亀ちゃんのそれよりも大きかったこともよかった。アニキのほうが大きくてはこの芝居の味は薄れたかもしれない。
門之助さん、吉弥さん、亀鶴さん、「川連法眼館」だけではもったいないような役者さんがここでそれぞれの持ち味を発揮できる役についていたのはひどく嬉しい。門之助さんは人間の大きさを備えた二枚目の十手持ちの親分、吉弥さんはその奥さんで若いものを束ねる母親的な心をもっている。亀鶴さんはその目付きの悪さ(失礼coldsweats01)を生かした小悪党。コイツが、コイツが…crying
なんだけど、この身ぐるみの三次という男は大変興味深い。他の登場人物が単純にわかりやすい中で1人複雑な要素をもっているからだ。つまり、根っからの悪なのか、正太郎の真っ直ぐさを妬んでいたのか(正太郎が足を洗いたいって申し出たときには、そんな感じがしないでもなかった)、正太郎と牙次郎の仲を羨ましく思っていたのか。次回観劇の際はそこに注意して見てみよう。

渡辺哲さんは、温情溢れるスリの親分だが、ちょっと間抜けなところもあって愛すべき性格。ただ、ちょっと作りすぎな気がしないでもなかった。
守田菜生さんは、舞台版「風林火山」で信玄の側室由布姫を演じたが、その時に比べてずいぶん成長しており、恋に一途なお嬢さまを堂々と演じていた。テレ東の12時間ドラマでも亀・秀吉の側室をやったんですって。いっそ次は本当に…bleah
ストーリーは途中で結末が見えてはくるものの、けっこうハラハラさせられた。それが優れた舞台というものなのかもしれない。
終演後、目を真っ赤にした人たちが多数みられた。私もかなりウルウルきた。

|
|

« 第8回亀治郎の会初日・1 | トップページ | 第16回稚魚の会歌舞伎会合同公演・A班 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

SwingingFujisan様
 今晩は。Fujisanさんの詳細なレポ有難うございました。私は今日の昼の部、観てきました。
 「千本桜」実を言うと、海老蔵より、亀治郎のほうが、はるかに、澤だか屋型としてはいいいのではと予想していましたが、意外に一長一短でした。声、セリフ回しは、伯父さんそっくりで、感慨新たでしたが、猿之助の持つ、量感、爽やかな男らしさ(亀治郎は、やはり、女形めきます)が不足しているのが不満でした。猿之助のほうが、残念ながら、ずーっといい男です。とはいえ、狐言葉をしっかり勉強し、観客からの失笑が殆ど無かったのはお手柄でしょう。まったりとした演技の芝雀も好助演でした。染五郎は淡白さが気になりましたが、最後、鼓を与える場面で、義経の情感があふれました。
 「上州土産」は面白い作品ですが、長谷川伸の作品等と比べると、作劇の粗さが目立つ気がしました。今回は、歌舞伎役者以外の方を積極的に起用しているのがウリのようですが、私は疑問を感じました。亀治郎も歌舞伎役者と演じるほうが、演技の厚み、相乗効果が増すように感じました。福士とのやり取りにやや、すかすかしている面がある半面、亀鶴、門之助のやりとりは歌舞伎世話物のこっくりした味わいがありました。

投稿: レオン・パパ | 2010年8月21日 (土) 23時26分

レオン・パパ様
おはようございます。
レオン・パパ様も亀治郎の会をご覧になったのですね。

猿之助さんの全盛期を見ていないというのは、歌舞伎ファンとして大きな損であるといつも思います。見ていないながら、私も亀治郎さんの声やセリフ回しは猿之助さんによく似ているなあと感じました。海老蔵さんはセリフさえよければなあ…。

亀治郎さんは絶対的に女方だと思うんです!! 歌舞伎で娘役をやってほしい、と願うファンは大勢いるはずです。でも亀治郎さんは「リクエストは禁物です」と言っている。亀治郎さんは誰が何を言おうと、自分のやりたいことしかやりません。だから私はもしかしたら、今後歌舞伎の本公演(今なら演舞場、将来は歌舞伎座)にはもう出演しないのではないか、という気さえしています。

「上州土産」はまったく初めてでしたので、福士さんの起用の是非についてはわかりませんが、福士さんご自身はとてもよく演じていたと思いました。ただ、亀治郎さんの絡みのほうに問題があったというのは同感です。また、前半ちょっとつらいところがありましたが、後半は面白く感動もしました。
歌舞伎役者でない人が出演したら、その時点で歌舞伎の味わいは薄れると私は思っていますので、亀治郎さんの意図がどうであれ、そこは差し引いて見たほうがいいのかもしれませんね。

投稿: SwingingFujisan | 2010年8月22日 (日) 08時34分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/36251717

この記事へのトラックバック一覧です: 第8回亀治郎の会初日・2:

« 第8回亀治郎の会初日・1 | トップページ | 第16回稚魚の会歌舞伎会合同公演・A班 »