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2010年9月24日 (金)

3回見て泣いて納得、佐吉

923日 秀山祭九月大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
10092401embujojpg ANA
の見学記3の前に演舞場を。
本来ならば再見のはずだったが、12日に予定外の観劇を入れたため3度目。さすがに3度ともなると少しくたびれて、大変申し訳なかったけれど、踊り2題はパス。あんこの2演目のみの観劇とした。
「沼津」
「沼津棒鼻の場」。いつも歌江さんのほうに目がいくので、昼の部最後の観劇ではもう1組の夫婦(夫・寿鴻、妻・芝喜松)に注目してみたら、いかにも旅の疲れを休めているようで、ここにも「らしさ」を感じた。芝喜松さんは立つ時、床机の上の茶碗をさりげなく2つ揃えていた。
芝雀さんが登場すると、野にすみれの花が咲いたようだった。
3
度見ても悲しく、いや見るたびに悲しみが強くなるような気がした。
ところで、十兵衛が旅立ちを決意して支度している間、お米は家の隅の衝立のようなものに隠れて何かしているのだけど、あれって帯を締め直しているの? いつもそれを見極めようと最初から見ようとして、十兵衛のほうに気をとられ、気がついたときには作業が始まっている。それにその前後で帯の色に違いがあったかどうかも忘れてしまう(ただ、締め直しているだけなのかなあ)。
余談だが、今月の歌舞伎チャンネルでやっている「寺子屋」(昭和50年1月歌舞伎座)。米吉時代の歌六さんが涎くりになっていたsmile 芝翫さんの戸浪に立たされたりしてsmile さらに余談だが、この「寺子屋」では武部源蔵が戻って来るまでの間、菅秀才は書道ではなく読書をしていた。

「荒川の佐吉」
こちらは3度見て、やっぱり泣きはしたが、卯之吉を手放す佐吉の気持ちにちょっと納得したような気がした。お新が訪ねて来た時、佐吉はお新に自分がこれまでどんなに苦労して卯之吉を育ててきたか、あんたたちがどんなに薄情だったか、とさんざん恨み言をぶつけ、「絶対に手放すのはイヤだ」と泣き叫んだ。結局これが、佐吉の気持ちを少し軽くしたのではないだろうか。政五郎が「卯之吉はオレが育てた、卯之吉がかわいいから手放すのはイヤだ、ではまるで犬や猫のことみたいだ。卯之吉は人間だ」と諭すその言葉も、高まった感情をぶつけた後だったからこそ身に沁みたのではないか。私の解釈が当たっているかどうかはともかく、私は自分の中で卯之吉を手放す辛さをそれで昇華できたような気がした。
最初の場面、田舎者の父娘がならず者に絡まれているのを助けたとき、「さ、早く逃げろ」と手で促す仁左様。終わりのほうで辰五郎に「早く卯之を連れて行け」と手で指示する仁左様。この両場面の手の表現はかっこい~いheart04と思った。それから、最後に辰五郎に「卯之を頼む」というように拝む手をした時には泣けたcrying

千ちゃん、すごくうまくなった。はじめから上手だったけれど、やはり教えられたとおりに上手にやっている、というところもあった。それが今は、間とか緩急のつけ方が自然になって、お芝居を自分のものとしていることがわかる。千ちゃん、いつまでもいつまでも「おとっちゃぁぁん」と呼び続けていたweep

付記1舞台写真、何枚かは「準備中」になっていた。いつ入るか訊くと、今日は写真屋さんが休みだからわからないって。千穐楽にはあるかしら。とりあえず2枚だけ買ったんだけど(もちろん、仁左様の写真smile)。
10092402embujo付記2佐吉が終わった後で地下のトイレに行くと、ラウンジ「東」へ向かう通路とトイレへの通路が仕切られていた。「東」で何かイベントがあるのかと思ったら、夜の部観劇の人のための休憩所として開放しているのであった。
雨の日は助かるね。


10092403yomiuri_2 付記
3日産のギャラリーだったところに読売新聞が入っていた。大手町本社の建替えのため、仮社屋として使うのだそうだ。まだ、移転作業の途中みたいだったが、この前来た時は気がつかなかった。

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

初めての1等B席体験記です(笑)。

1度目は最前列での観劇でしたので、はっきり言って舞台全体を見るのは難しかったかも(^_^;。今日はその点でもすっごくよかったです!

さてお米ですが、まず床につく前に帯を解いてたたんでいます。伊達締め(だと思う)だけの状態になって「寝る」わけですね。でもって十兵衛が発つときは彼女ももう「起きる」のでもう一度帯を締めたのだと思います。たしか『角だし』にしていました。

今月の昼の部は花道率が高くって(出も引っ込みも多いこと、多いこと)、1等B席花横は大正解でした。1階前方では見ることかなわぬ引っ込みをじっくりとほぼ独り占め♪チケットとりの選択肢がまた増えました(演目によりますが)。

沼津も佐吉も花横最後列を堪能したからつぎでした。

投稿: か | 2010年9月24日 (金) 23時35分

からつぎ様
こんばんは。
1等B席体験記、ありがとうございます!!
からつぎ様がこの前B席もなかなかとおっしゃってから、ちょっとB席が気になりだしています。確かに演目によってはバッチリですね。「沼津」もお楽しみの客席めぐりのあとに花道に戻ってきますしね。何より、仁左様の引っ込みは最高でしたでしょう。

私は以前は何が何でもかぶりつき派でしたが、やはり全体を見渡しづらいのは難点ですね。ただ、時々、道具を使わずに役者さんの表情をしっかり見ることができる席が懐かしくなることがあります(たまに最前列に行くと、その近さにビックリするほど)。

お米の帯のこと、ありがとうございます。そうとわかれば、そりゃそうだわ、と納得(寝る前に帯を解いていたところを私は3回とも見逃したんかcatface)。「角だし」というのですか。和服のことはぜ~んぜん知らないんですよ、日本人なのにcoldsweats02 教えていただいてよかった。

投稿: SwingingFujisan | 2010年9月25日 (土) 00時45分

SwingingFujisan様
沼津のお米の帯の件、からつぎさんのおっしゃるとおりですが、追加でコメントします。お米の口説きの後の帯の締め直しの場面については二つの型があるようです。今回の芝雀の型は、二重にあがり、隠れるようにして(黒子の助けを借りて)帯をしめますが、別の型では、口説きのあと、平作の隣で平舞台にいて、観客に身体をさらす形で黒子を使い帯をしめます(現藤十郎はこの型でした。梅幸、歌右衛門がどちらだったかは、残念ながら記憶はありません)。
 それで思い出したのが芝かんのお米です。芝かんのお米は私見ですが、この役に関する限り、歌右衛門、梅幸を遥かに凌駕する適役でした。その芝かん、この帯の場面、最初は、平舞台の型だったのですが、演劇界の月評で、口説きのあと、十兵衛が許しもしないのに、勝手に着替えているようだと指摘され、次回からは、二重にあがり、目立たないように締める型に変更し、別の批評家から誉められていました。私も、今の芝雀のやり方のほうがいいと思います。

投稿: レオン・パパ | 2010年9月25日 (土) 08時35分

レオン・パパ様
追加コメント、ありがとうございます。
帯の締め直しにも2つの型があるということ、興味深く伺いました。男性の着替えは舞台で行われますが、女性だからということで陰で直すのでしょうか(観客の前で直すときも黒衣の助けは借りるのでしょうか)。芝雀さんを見ていて、陰で直している姿にゆかしさを感じました。舞台上で直す場合はどんな風なんだろうと、そちらの型も見てみたくなりました。

芝翫さんのお米、素晴らしいだろうという想像はできます。歌舞伎チャンネルで機会があれば見たいですわ(先月だったか、どなたかのをやっていましたが、ついに見ることができませんでした)。そういうエピソードもなかなか面白いですね。芝翫さんご自身も批評と同じような感覚をもっておられたのかもしれませんね。だから途中で変えられたのでは、と思いました。

コメント再送信、ありがとうございます。最初にいただいたコメントで編集させていただきました。ご了承くださいませ。

投稿: SwingingFujisan | 2010年9月25日 (土) 08時49分

SwingingFujisan様
 今回の沼津をみて、もう一箇所あれと思った箇所がありました。十兵衛が平作宅から、旅立つ時に、石塔料として30両を包み渡しますが、今回吉右衛門は、平作に渡すときに、はっきり30両といっていました。2代目鴈治郎は、金額を言わずにたちさり、平作が書置きを行燈でみて、金額を悟るという段取りだったように思います。30両という金額の現在価値からすれば、そのほうが合理的な気がしますが・・・。

投稿: レオン・パパ | 2010年9月25日 (土) 09時01分

おはようございます。

たびたび失礼いたします。
レオン・パパ 様、2つの型についてのご説明、ありがとうございまし。12月の南座での注目点がまた増えました(^-^)

花横最後列、もうひとつおまけのお楽しみがあったのを思い出しました。鳥屋の中の役者さんの声が聞こえるのです。会話(内容まではわかりませんが)や、「はいっ」という掛け声(揚幕をあげるタイミングです)が耳に入ってきました。
なんだかすっごく得をした気分になりました。

舞台写真は2枚におさえておいたからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2010年9月25日 (土) 09時10分

SwingingFujisan様
 追加コメントついでに、Fujisanさんが喜びそうな昔話を一つ。現橋之助は名子役、歌舞伎大好き小僧でならした人ですが、子供のころオネショをしてしまい、あの上品な芝かん夫人に怒られたときのセリフが、指をついて、「この夜のことはこの場ぎり(お米の名セリフ)」と謝り、さすがの芝かん夫人も二の句がつなげなかったとか。当時の「演劇界」での芝かん夫人インタビューの記事(?)で読んだ記憶があります。

投稿: レオン・パパ | 2010年9月25日 (土) 09時18分

レオン・パパ様
追加コメント2件、ありがとうございます!!
30両については、私も金額を知らせず渡したほうが自然な気がします。2代目鴈治郎のやり方は知らない私でも、あの金額を口にした場面ではちょっと違和感も覚えました(頭の中で、30両は今のお金にすると…ってことは、つつましく暮らしている親子があんなに簡単に受け取っていいのか??…などと)。

お芝居って細かい見どころがたくさんあるんですね。

橋之助さん、芝居好きの面目躍如ですね!! 素晴らしい切り返しで思わずニヤリとしました。オネショをするような年代で、しかも怒られているときにこのようなことが言えるって、頭の回転も速いんですね、橋之助さん(^^)

投稿: SwingigFujisan | 2010年9月25日 (土) 10時48分

からつぎ様
再びのコメント、ありがとうございます!!

12月南座、秀太郎さんはどちらの型を取るのでしょうね。こちらで3回も見ておいて気づかなかった色々を南座の1回でしっかり目にしなくてはcoldsweats01

そうそう、花横の最後列は鳥屋の声が聞こえるそうですね。出てくる役者さんと一緒に気合が入りそう。座席ってだいたい取るところが決まってしまうのですが、たまには違う席に座るのもいいものですね。メリット、デメリットがはっきりわかりますものね。
花横最後列は一度取ってみたい席になりました(うまく取れるかなthink)。

からつぎ様にして写真2枚でしたかsmile 私は準備中の写真が1枚ほしかったので、次回残っていれば買ってしまうかも…。今回は千ちゃんとのツーショット(千ちゃんの顔がちゃんと見えているもの。仁左様、苦悩の表情です)と丹左衛門のアップを買いました。

投稿: SwingingFujisan | 2010年9月25日 (土) 11時02分

SwingingFujisanさまの3回の「荒川の佐吉」観劇記を
読ませていただいて、また泣きそうになっています。
ほんとうに、仁左衛門さんの佐吉は絶品ですね。
それに、こんな世話物の役をやる時の、ちょっとした
仕草とか手の動き、いつもすごくカッコいいですよね。

染五郎さんの佐吉、千之助くんの辰五郎、仁左衛門さん
の相模屋という仰せですが、辰五郎はぜひ金太郎ちゃん
でお願いいたします。早過ぎ?(笑)

投稿: スキップ | 2010年10月11日 (月) 01時45分

スキップ様
こちらにもありがとうございます。
ああ、金太郎ちゃんもいましたね。千ちゃんを見た直後でしたので、千ちゃんしか思い浮かびませんでした。でも千之助クンでもちょっと早いかも、ですからどうでしょうか。仁左様がお元気で長く活躍してくださるよう、心から祈りますわ。

仁左様って、上方和事の柔らかさ、江戸っ子の粋、武士のかっちりした格、位の高い人物の品位、そういうものをぜ~んぶ持ち合わせていらっしゃいますよね。私も世話物のときの仕草や手の動きがとても好きです。

投稿: SwingingFujisan | 2010年10月11日 (月) 08時55分

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