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2010年9月13日 (月)

将来染・千・仁左で見たい「佐吉」:「秀山祭」昼の部再見

912日 秀山祭九月大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
予定外の観劇になった。友人が一等席1枚余っちゃったのでと誘ってくれて、本当は後日もう一度見るからと躊躇ったのだが、ご招待だし(持ちつ持たれつの友人だから)一階の前方席(<とちり>よりちょっと前)で見るのもいいかもと、出かけた。
「月宴紅葉繍」
上品な平安の味わいを楽しむ。梅玉さんの表情がやわらかく優しいかった。
後見のお2人(春之助、梅之)がす~っと、無駄のないなめらかな動きで踊り手を助けているのがいつも以上に印象に残った。
「沼津」
初日、歌江さんのお役が身重だと気づかず、からつぎ様からご指摘をいただいたので、今回はそこを見逃さずにと注意したが、注意するまでもなく、大きなおなかが目についた(なぜ、前回気づかなかったのかしら)。食べ物がのどにつっかえる場面、歌江さんの目がまん丸になって固まってしまった(初日はむせて咳き込んでいたんじゃなかったっけ? 違ったかも)のがなんとも可笑しく、夫の桂三さんにお茶を飲ませてもらってつかえがとれた表情もまた愛敬があって。でもそういう可笑し味の中に「あっ、大丈夫?」「ああ、よかった」とこちらに思わせるものがあるのは素晴らしい。
この2人はとても仲がよくて、とくに歌江さんの幸せそうな表情が若々しく愛らしかった。茶店を発つときに、歌江さんが「手を引いて」とせがむ身振りをし、桂三さんがテレていやがり、でも最後は2人で手をつないで引っ込む。歌江さんの笑顔がステキ。
吉之丞さんの茶店女房には本当に癒される。見ていてきゅ~んとなるのだ。
芝喜松、寿鴻を加えたこの茶店の出演者は実に豪華で、見甲斐がある。
歌六さんが松の根方に躓いて爪をはがしたキズ口に塗られた薬がしみるのを絶える表情がリアルで可笑しかった。
さて、お米が十兵衛の印籠を盗むという事件が起こってからの場面は、一つ一つのセリフ、仕草にそれぞれの情が籠もっていてじ~んときた。事情がわかった十兵衛が出立前にそっと仏壇の母に手を合わせる仕草。十兵衛が門口で妹・お米に涙ながらにかける言葉。十兵衛が去った後の親娘の寂しいような愛情――逆さごとなどしてくれるな、と言う平作の言葉。泣けた。

「荒川の佐吉」
やっぱり、泣いた。
出だしの騒動、初日は芝のぶちゃんを見逃してしまったが、今回はちゃんとしっかり見た。田舎娘らしい化粧に気の強さが愛らしかった。春希ちゃんもかっわゆ~い。ここの場面、いろんな役者さんを見ようと思って、けっこう大変なのだょ。
錦之助さん扮する隅田の清五郎が親分の敵を討とうと成川郷右衛門に切りかかり、あっという間に逆に斬られてしまう場面。初日は、倒れてからお八重にもらった守り袋を懐から出して握り締めたので、ああこの守り袋のおかげで助かったのねとほっとしたのだが、実際は命を落としていた。なんだ、紛らわしいと思ったら、今日は守り袋を出さず、即死したように見えた。ところが後に、清五郎があの後佐吉を褒めていたというお八重のセリフがあり、即死したのではなかったのか、と今度は逆に又紛らわしいと思った。錦之助さん、あれだけの出演とはもったいない。
佐吉が自分の中の弱さに打ち克って親分の敵討ちに出かける場面、花道七三に立ったところ卯之吉が「おとっちゃん」と声をかける。「おう、うの、待ってろよ」の仁左様のセリフのなんと力強くカッコいいこと、感動のあまりゾクゾクっとしてしまった。
佐吉が卯之吉を丸総に返すことを決意した場面。辰に抱かれて下へ降りる卯之吉を階段の上まで追いかけ、これが最後とばかりにじっと見送る佐吉の後ろ姿…もうここまで散々泣いたのに、これが一番ぐっときて、思わず「うっ」と声を出しそうになった。佐吉の決意を部屋の外で聞いて泣いている辰にも泣けて泣けて。福助さんのお新はずっと小さくなって泣いていて、こちらにも母親の気持ちが伝わってきた。この場面、幕が閉まっても福助さんの泣く声が聞こえていたのにハッと胸を衝かれた。
仁左様の引っ込み、一階席前方だったので表情は最後まで見ることはできなかったが、しっかりした足取りは目に焼き付けた。
将来、染五郎の佐吉、千之助の辰五郎、仁左衛門の相模屋なんて見てみたいわ~heart04

「寿梅鉢萬歳」
あでやかな藤十郎さん。なぜか時々文楽人形のように見えてしまった。動きは全然人形振りではないのに。
でも、季節感、ズレてるよねえ。佐吉の最後の桜も、感動しながら季節的にはちょっと…なんて思ったけれど、こちらはお正月公演でもよさそうな感じ。

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コメント

こちらにもコメント、続けてスミマセン!(携帯や、出かける前にPCで、SwingingFujisan様のブログはチェックさせていただいているのですが、どうしても時間がなく、コメントしたくって、たまってしまいました…。)

私も、染丈が佐吉のときは、相政はニザさまで…っと思っていたのですよ(笑)。敵討ちの場面で、駕籠から出てくるニザ様、カッコいいでしょうね~。くぅ~っ!!(妄想中)

ご同意を得られた嬉しさに取り紛れ、お話の順が逆になってしまいましたが、私もこの日、昼の部をカンゲキしておりました♪ 初回見たときとはまた違う印象でした。お芝居って、一期一会だな、って思いますね。

投稿: はなみずき | 2010年9月14日 (火) 19時07分

はなみずき様
三連打、ありがとうございます!!
そして、いつもお読みくださって、本当にありがとうございます。

はなみずき様も同じ日に昼の部ご観劇でしたのね!! 
そして染・佐吉に仁左・相政とお考えでしたか。そういう舞台を想像したら、今から感無量な思いに震えそうです。

お芝居は、演じる側も同じようにしようと思っても体調・気持ち・共演の方の間の違いとかあるでしょうから、毎回違うのが面白いのですね。見るほうも2度目はわかって見ているわけですから受け止め方に違いが出てくると思います。それに目のつけどころを変えたりもしますしね。お芝居の面白さ、観劇をやめられなくなるわけですcoldsweats01

投稿: SwingingFujisan | 2010年9月14日 (火) 20時20分

SwingingFujisan様
 おはようございます。昨日、昼の部見てきました。メインの2作品ともに、充実、高水準の舞台でした。結構疲れましたが。2作品ともに、鼻をすする音が場内を充満していました。
 「沼津」は昨年の巡業とほぼ同じ顔ぶれですが、どの優もずっと良くなっていました。特に芝雀の情愛の濃さが雀右衛門を彷彿とさせました。吉右衛門のいい女房役者になってきましたね。
 「荒川の佐吉」仁左衛門の当たり役を観る幸せをしみじみ感じさせる出来栄えでした。愛孫に自分の当たり役で同じ舞台に立ちたいんでしょうね。また、皆さんの評判どおり、染五郎が最適役です。この優、新歌舞伎っぽい作品だと、水を得た魚のようです。人がよく、軽めの役、妙に上手いですね。お父さんは若いころから深刻ぶった役のほうがよかったのとは対照的です。
 

投稿: レオン・パパ | 2010年9月20日 (月) 08時07分

レオン・パパ様
おはようございます。コメントありがとうございます。
昼の部は後半にいらっしゃると以前コメントでおっしゃっていましたので、この連休中か、あるいは23日かと思っておりました。

「沼津」と「佐吉」と続けて泣かされますね。
芝雀さんは、他の女方さんにはない情の細やかさが出てきましたね。以前はちょっと苦手だったのですが、去年あたりからとても好きになってきました。
「佐吉」は染五郎さん抜きには考えられないほど適役だと思いました。染五郎さんは夜の部の南方十次兵衛も好評ですね。今回は吉右衛門さんから色々学んでいるようで、大変いいことだと秘かに喜んでおります。幸四郎さんは内に内にと入り込んでいくタイプ、染五郎さんは開放的なタイプなのではないでしょうか。

投稿: SwingingFujisan | 2010年9月20日 (月) 08時23分

佐吉にたっぷり泣いたあとで 「寿梅鉢萬歳」・・
すみません、今日は佐吉の余韻で帰らせてください・・と思いました。 
入場料もったいないから見ちゃったけど。3等席だけど。

投稿: 八幡屋贔屓 | 2010年9月21日 (火) 04時31分

八幡屋贔屓様
おはようございます。
コメントありがとうございます!!(午前4時31分!!)
確かに、あの気持ちの盛り上がり、涙のまま帰りたい気もしますね。実際にお帰りになる方もいらっしゃいますし。
そういう意味では、藤十郎さん、ちょっとお気の毒です。公演側にも色々事情があるのでしょうね。

投稿: SwingingFujisan | 2010年9月21日 (火) 11時01分

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