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2010年10月13日 (水)

楽しい「どんつく」、悲しい「酒屋」:10月歌舞伎夜の部2

1012日 錦秋十月大歌舞伎夜の部(新橋演舞場)
「どんつく」
な~んか見たことがあるんじゃないか、と思って自分の記録を調べると、172月にちゃんと見ているのでした。
仕抜きの舞踊というのは、出演者も観客の1人になるようなものだから、舞台との一体感があるような気がする。踊りの解説を聞きたいと思って借りたイヤホンでは、踊り手はいわば通行人だから上手に踊ってはいけない、それが役の性根なのだそうだ。だから難しいのだとか。ただし、白酒売りは言い立てなので上手でいいんだという話。
登場人物が並ぶ中、一番最初に目に付いたのは小吉クンだった。うわ~、大きくなったなとビックリした。身長はまだ伸びるだろうが、顔立ちも優しいし、女方としていいのではないか、と思った。
巳之助クンは「連獅子」ではまだ成長過程であったが、「どんつく」では踊りのうまさが光った。
華のある役者揃いの中でも團十郎さんの華が際立っていた。曲芸はご愛敬だったが、大らかな明るさは太陽みたい。しかも、カッコいい。でも、終わりのほう、少し疲れが見えたような気がした。
踊りで群を抜いていたのはやっぱり三津五郎さんだ。自由自在、柔らかく生き生きと、楽しさをこちらに伝えてくれる。おかめのお面をつけた踊りなんか、見事の一言。その後の「赤々だんべ、黒々だんべ」も面白かった。
どんつくの踊りをみんなが真似るところは、福助さんが一番それらしく見えた(真似るんだから、最初から上手に踊れちゃいけないってことでしょう。福助さんは最初のうち、タイミングをずらしたり間違えそうになったりして、その加減がうまいと思った)。
当時の江戸の一風景が再現されたようで、本当に楽しかった。
実は出かける前に、先週の「徹子の部屋」(三津五郎・巳之助親子出演)の録画を見ておいた。「連獅子」には親子の過去の様々な葛藤を思うのだが、賑やかな「どんつく」には大和屋の未来を感じた。秀調、小吉と揃ったのも嬉しい。

「酒屋」
12
年ぶりの上演なんだから初見に決まっているのだが、登場人物に悪人は1人もいないこの話に、どこかで見たような、あるいは話を知っているような、懐かしい温かさ・悲しさが甦ってきた。
上方の役者で占められた中、福助さんが浮くのでは?と心配したが、ぜ~んぜん。心優しい女をしっとりと悲しく美しく演じていた。「どんつく」の芸者もきれいで粋だったし、こういうとてもいい面があるのだから、もう過剰な演技、下品な演技はやめてほしいとつくづく思う。ただ、早替りの半七はピンとこなかった。どうも私は福助さんの立役は好きでないようである。台詞がなくてよかったと思った。
我當さんがさすがのニンだろう。大きな温かさが舞台を包む。竹三郎さんも頑固ながら人情味に溢れて泣かせるし、吉弥さんの母の心情、祖母の心情にはぐっときた。
手紙を読みまわすところは緊迫した場面ながら、「あ、自分のことが書いてある」と喜ぶ様が微笑ましく、家族なら絶対そうだろうという悲しさがある。半七と三勝の心中に焦点が当てられた芝居だったらきっと私はイライラしたに違いないが、家族のドラマは面白くしみじみと見ることができた。

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