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2010年10月 7日 (木)

憎めぬ悪党・團十郎道玄の魅力:10月歌舞伎昼の部3

105日 芸術祭十月大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
前回見たのは「さよなら公演」であったか。時の経つのは早いものだ。
「加賀鳶」
勢揃いでは渡り台詞が聞き取りづらく、名乗りも黒御簾の音が勝っているようなところがあったが、段々黒御簾が小さくなって、私の席から見えない人たちの声も聞こえるようになった。亀鶴さんは、立ち上がってギリギリ顔が見えた(っていうか、ギリギリ顔を見たcoldsweats01 3階センター2列目だったから)。
江戸の鳶はカッコいいよなあ。團十郎さんの梅吉、仁左様の松蔵、ともに大きくていなせで。やっぱり私は江戸モノが好きだ。
前回(215月)菊五郎×時蔵で見たときも面白かったが、團十郎×福助もめちゃくちゃ可笑しく、今回は團十郎あっての「盲長屋」だなあと思った。
團十郎さんの道玄はばばっちい態(なり)で、頭巾をかぶって出てきた時には誰だかわからなかった。声を聞いてもわからなかったくらい團十郎さんらしくなくて、ほんと面白い。
でっかい目をぎょろぎょろさせる表情(これ、と~っても効果的)も、ヒゲダンスみたいな動きも愛敬たっぷり。しかし、そういう見た目だけがいいのではない。いつも書くが、團十郎さん特有の大らかさが道玄という人物を憎めぬ悪党にしている。だんまりの捕り物はやや長いような気もしたが、團十郎さんの愛敬をたっぷり楽しむことができた。こんな團十郎さんは初めてhappy02 荒事だけではない魅力が、「團十郎あってのこの芝居」と思わせた。
福助さんのお兼は、私としてはまあセーフ。時さまは逆にちょっと上品過ぎるような気がしたものだが、福助さんと足して2で割ったくらいがちょうどいいのかも。時さまと菊五郎さんの間には夫婦のような微笑ましい空気が流れていたが、福助さんと團十郎さんに流れていたのは悪党同士の情婦・情夫の空気だったな。
仁左様はカッコいい~(今月の歌舞伎観劇は前半で終わってしまう私だが、舞台写真だけでも買いに行きたいくらい)。ただ、10両やって道玄の犯罪(殺人という大罪)を見逃しちゃうのは前回も疑問に思ったまま今回も解けなかった。「黙阿弥オペラ」を思い出しながら、黙阿弥さんここで何を言いたかったのだろうと考えたが、未熟な私にはわかりませぬ。
あ~あ、もう一度見たくなっちゃった。
<上演時間>「頼朝の死」86分(11:00~12:26)、幕間30分、「連獅子」52分(12:56~13:48)、幕間20分、「加賀鳶」序幕15分(14:08~14:23)、幕間5分、二幕~大詰80分(14:28~15:48)

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コメント

SwingingFujisan様
 お早うございます。
 加賀鳶、連獅子、観劇がたのしみです。
 私は、夜の部今週見てきました。予想どおり、仁左衛門の盛綱が完成品の出来栄えです。仁左衛門は、丁寧で、しぐさも多く、いわば、わかりたすい、いかにも松嶋屋風のやり方でした。はら芸の面白さの吉右衛門の盛綱と双璧、両方みられる今の観客は幸せです。
 あと、三津五郎の「どんつく」が旬の舞踊です。きまりきまりの形のよさ、すっと止まった瞬間が所作板に吸い込まれるよう心地よさ安定感を感じます。三津五郎の舞踊は何を出しても必見です。
 夜の部のレポ楽しみにしています。

投稿: レオン・パパ | 2010年10月 9日 (土) 09時56分

レオン・パパ様
おはようございます。
コメントありがとうございます。
仁左衛門さんの盛綱、大変好評のようですし、レオン・パパ様をしてそこまで言わしめるとあれば、ますます楽しみになってきました。来週見る予定ですが、体調をしっかり整えて出かけます。
三津五郎さんの踊りは柔らかいですね。見ていて楽しくなります。
今月は昼夜各1回しか見られないのがちょっと残念です。せめて一幕見があればなあと思いますが、言ってどうにかなるものでなし、歌舞伎座がない間はこの状況に適応していかなければなりませんね。

投稿: SwingingFujisan | 2010年10月 9日 (土) 11時52分

SwingingFujisan様
 今晩は。今日の昼の部見てきました。
 どの演目もそれなりに楽しめました。梅玉は、義経役者であると共に、頼家役者と言えますね。この優のこの役、初役から何回か見ていますが、青年の癇性ぶりがよく出ていたと思います。本当に、年をとらない人です。魁春も、昨年の富十郎の至芸ともいえるセリフの力強さには及ぶべくもありませんが、健闘していたと思います。
 連獅子は三津五郎の格調高い、素晴らしい舞踊を堪能しました。巳之助は発展途上というところですか。後シテの三津五郎も力演でした。雛壇に上がってからの毛ぶりは55回(今回もつい数えてしまいました)で緩急自在でした。最後の片足立ち(片足あげ)でよろけたのは、ご愛嬌ですか。
 加賀鳶、団十郎の道玄、初見ですが、大粒のユーモアがこぼれおち、何とも楽しかったですね。セリフの調子は大分異なるのですが、遠目でのしぐさが二代目松緑とよく似ており、懐かしく感じました。仁左衛門も江戸前の雰囲気があり、器用なものです。批評家筋から批判をあびている福助ですが、例の過剰演技が、将来の新しい歌舞伎座の立女形に相応しくないということなのでしょう。面白いことは面白かったですが・・・。本当にお父さんの品の良さとは異なりますね。

投稿: レオン・パパ | 2010年10月10日 (日) 18時26分

レオン・パパ様
こんばんは。コメントありがとうございます。
梅玉さんは穏やかでおっとりした役も合うのに、若い癇性の表現も上手ですね。その梅玉さんが魁春さんの政子について「どこか父の政子を思い出す凛として品格のある良い政子だと思います」と東京新聞に書いていらっしゃいます。私もそう思います(歌右衛門さんの政子は見たことがありませんが)。
三津五郎さんの踊りには品格といい、表情(踊りの表情です)といい、楽しくかつじ~んとくるものがあります。また何年か後に、進化した巳之助クンとの連獅子を見たいものです。
團十郎さんは、評論家の間ではニンでないと言われていますが、ニンではなくても魅力的だったと思います。遠目で松緑さんに似ていると言われれば、ああ確かにと頷けます。
福助さんは今回はギリギリセーフかと思いましたが、作りすぎはすべて下品に通じます。たとえ上品な役であっても作りすぎれば下品になる、と私は考えます。誰か注意する人はいないのでしょうか。

投稿: SwingingFujisan | 2010年10月10日 (日) 21時05分

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