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2010年11月15日 (月)

カッコよかった幸四郎宗俊:演舞場顔見世昼の部

1114日 吉例顔見世大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
今月初演舞場。歌舞伎そのものは11日に国立で「国性爺合戦」を見てきたのだけれど、仕事が忙しくてまだ感想を書かぬうちにこちらが先になってしまった。
顔見世という割には寂しい顔ぶれ(もちろん、私は音羽屋、萬屋で大満足なんだけど)だし、幸四郎かぁとちょっと思わないでもなかった。
ところが、である。その幸四郎さんが思いのほかよかったのである。
幸四郎さんの河内山は仁左様みたいに爽快というわけではないのだけれど(仁左様はカッコよすぎてスーパーヒーローになってしまう。でも仁左様の河内山大好きheart04)、肝がすわっていて、大きくて、悪党っぽくて(あるところから取るっていうのはいいんじゃない)、第一いつもは気が滅入るような内に向かう暗さがない。と言って外に向かう開放感っていうわけでもないけれど、お茶目なところも悪くなく、とてもバランスがよいような気がした。またもごもごと口の中で言うから聞き取れないことが多い台詞もはっきり聞こえたし、気持ちもしっかり伝わってきて、私にとっては先月のカエサルよりず~っとよかったcoldsweats01
今回の席は後で詳述するが、花道鳥屋に近い場所。七三に立つ河内山はちょうど右横から眺めることになる。その立ち姿は全体にS字を描いている感じでそれがまたいかにも高僧らしい。
妾を思いやる気持ちも出ていたし(萬次郎さんの情と細やかさが好きsign03)、最後に、捕手に囲まれながら平然と直次郎と酒を酌み交わす姿もかっこよくて、こんなに幸四郎をいいと思ったのは初めてだ。幸四郎さんは髪結新三とか暗闇の丑松のような小悪党はちっともいいと思わないが、こういう大きい悪党は合うなあ。
菊五郎さんの直次郎は粋でなんともいえぬ色気があって、一つ一つの行動が自然に身についていて、だからその行動に直次郎の気持ちが一つ一つ込められているようで、なんか切なくなるような直さんだった。蕎麦屋で毛の抜けかかった筆を諦めて爪楊枝かなんかで三千歳に手紙を書くところがぐぐっときた。三千歳と直次郎の間には、独特の空気が漂う。それは菊五郎と時蔵というコンビで演じてきた様々な役から培われてきた、いい意味での「なれ」だろうか。
時様の三千歳は可愛い女であった。直次郎に甘えている感じがして可愛いの。一緒に死んで、と言ったら見事にきっぱりと断られてしまったけれど、最初から答えはわかっていたんじゃないかしら。本気じゃなくてちょっと言ってみて直さんの気を引いてみよう…なんてね。あ~、せっかく2人が一緒になれそうだったのに。「なおさ~ん」という別れの叫びは悲しくて、涙が滲んだ。
菊五郎と幸四郎という組み合せはあまり見たことがないが、どちらもニンの役だし、多分初めて見る河内山妾宅の場なんてちょっとご馳走だったな。
そのほか、錦之助さんは癇症で身分の高い役というのが実にうまい。不機嫌そうに座っているだけで、この殿様の性格やらなにやらが伝わってくる。梅枝クンは瑞々しく可憐。
田之助さんの丈賀、蕎麦屋夫婦(筋書きを買っていないし、役者さんどなただか忘れてしまった)、橘太郎さんの大口寮番頭、みんな江戸の空気をもっている。私はやっぱり江戸の空気が感じられる芝居が好きだ。
<上演時間>序幕・二幕目61分(11:00~12:01)、幕間30分、三幕目60分(12:31~13:31)、幕間20分、四幕目・大詰98分(13:51~15:29)

10111601embujo さて、今回の座席は後方花外。以前にからつぎ様が1B席がお得だと教えてくださったので、今月B席を取ってみた。はじめは花道の内側で、と思ったのだが、外側のほうが通路際だし、見やすくて絶対いいと勧めてくださる方あり、思い切っていわゆるドブを取ったのだ。ぜ~んぜんドブじゃないよ~good 舞台は確かに遠いけれど、演舞場くらいならまったく問題ないし、全体がよく見える。そして花道を出入りする役者さんを間近に見る迫力(一瞬とはいえ、脇を抜けていく役者さんは最前列より近い。菊五郎さんの雪道歩きはたっぷり見られた)、鳥屋での声。そして観客が花道を横切れる時間帯から横切れなくなる時間(つまり開演時間)に移るときのロープや赤カーペットの処理等まで見ることができて、ほんとにお得だった。
河内山ではいきなり「大変だ大変だ」という声とともに團蔵さんを先頭に5人走って飛び出してきたのに驚いた。鳥屋内の彦三郎さんの出の声もよく聞こえた。はいっという合図で田之助さんが姿を現した。「う~さむい、さむい」という小さな呟きもこの席だからこそ聞こえたと思う。
争奪戦が厳しくなると困るけれど、今後1B席なら花外、と決めたのでしたsmile

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

おはようございます!! 今月の歌舞伎のご感想、お待ちしてましたhappy01
14日は昼夜でいらしたの? 私は同じ昼の部で、SwingingFujisanさまはいらしてないかしら、と最前列付近をチラと見たりしてたのに、そこにいらしたとはup お席の感想、なるほどねーという感じです。お財布状況などから、1等Aでなければ3階Bでいいや、と思ってしまうんですが(間の等級は中途半端な気がして)、そうではないんですね。しかも花外とは。参考になります。
昼の部、ほんと同意同意と言うのみ。よかったですねぇ。誘った友人も面白かったと大変喜んでくれて、私も鼻高々ですscissors
「目甲斐性 梨之助」と改名したいきびだんごでしたbleah

投稿: きびだんご | 2010年11月16日 (火) 09時07分

きびだんご様
おはようございます!!
コメントありがとうございます。
そうなんです、14日は通しでした。日程が取れないのと、安い駐車場がなくなってしまったのとで、出かけるときはなるべくまとめて、というわけで今月は千穐楽も通しにしたのですが、やっぱりちょっと疲れますね。

座席、意外だったでしょうsmile 時様の花道使用がないことはわかっていたので少し躊躇いはあったのですが、物は試し、と。同じ花道脇でも、内側は通路がなく狭さを感じるのですが、外側はゆったりしています。演舞場の大きさなら十分お値打ちですよ。でも、やっぱり一度は最前列で見たかったかも(千穐楽は3Fですので)。

幸四郎さん、よかったですよね~。苦手を自負する私がこれほどよかったと思えるのですから(なんて、偉そうにcoldsweats01)。直侍と三千歳の間に漂う空気ももう一度感じたくて、千穐楽前に又行きたくなって困っています。

目甲斐性は私もありませんが、梨之助様には敵いませんかもbleah

投稿: SwingingFujisan | 2010年11月16日 (火) 09時53分

SwingingFujisan様
 今晩は。今日の演舞場昼の部観てきました。黙阿弥狂言の一本だて、悪くないですね。最近の大幹部は朝幕から出演するのを嫌う優が多いのですが、幸四郎、菊五郎ともに11時台早めから出演、偉いものです。
 菊五郎の直侍、文句がつけようのない完成品です。時蔵との共演も、菊之助の時よりも芸の背丈があい安定感があります。ただ、Fujisanさんご贔屓の時蔵が角度によって、美形に見えない時があり、ちょっと気になりました。芝かんや、雀右衛門のように(美形でなくなっても)本当の芸の華を咲かせるまで、もうひと踏ん張り、もうひと頑張りなのかもしれません。
 幸四郎も、播磨屋系の世話物はニンにあい、これも安定しています。吉右衛門とは、良く似ている部分もありますが、違う部分もありますね。どちらがいいとは一慨には言えないとは思いますが、幸四郎のほうが、やはり現代的な演技な気がします。歌舞伎らしい骨格の演技としては吉右衛門なのでしょうか。

投稿: レオン・パパ | 2010年11月20日 (土) 19時00分

レオン・パパ様
こんばんは。
幸四郎さん、菊五郎さん、ともに芝居にかける意気込みが伝わってきますね。気負うのではなく、顔見世の2枚看板として今月を背負って立っているという。
菊五郎さんの直侍は本当にいいですね。好きです。
時蔵さんのことは気が付きませんでしたが、美形でなくなっても美形に見せる(見える)という極みに達するにはまだまだ修業が必要なんでしょうね。
幸四郎さんと吉右衛門さん--たしかに幸四郎さんのほうが現代的というか、垢抜けているというか。私は珍しく、今回は幸四郎さんのほうが好きかもしれない、と思いました。

投稿: SwingingFujisan | 2010年11月20日 (土) 21時21分

SwingingFujisanさまfujiこんばんは~happy01

こんな大御所のお二人のあとにコメントするのちょっと恥ずかしいのですが…
今日、昼の部行ってまいりましたshine
ほんと!!あんがい楽しめました~happy02
最初は菊ちゃん出てないし(←そこかい!!)
河内山と直侍を通しか~へ~どうやったらつながるんだい?
なんて思っていたのですが(ばかですね~お恥ずかしいですわ~)
今日、通しで見て本当によかったです!
次回から河内山も直侍もみどりで見る時二倍楽しめますわ~bleah
それに菊五郎さんと時蔵さんのカップルはほんとにいいですよね!なんか顔がニヤけてしまいましたよ。
(いつもながら幼稚な感想ですみません><)
幸四郎さんもよくて、楽しいカンゲキとなりましたnote
Swingさまおっしゃる通り、田之助さん、萬次郎さん、橘太郎さんだとか、もうみなさんよかったのですが
なんか芝のぶちゃんがよかったですわ~lovelyやっぱり上手ですよね~(←あたりまえか…すみません)
廓の人の雰囲気とかも出ていて、優しさもあって、なんか「らしさ」がにじみでてるのがすごいな~なんて。
また、とんちんかんな感想だったらすみません><

来月は日生ですし、新春の演舞場は行かない予定、二月はルテ、となると三月か四月までおあずけか~coldsweats01
と、めで鯛焼きをしっかり味わって幸せ気分で帰ってまいりました~confident

投稿: 七子 | 2010年11月23日 (火) 21時38分

七子様
コメントありがとうございます。
楽しくご覧になれたのが一番です!!
通しで見なければ、河内山と直侍の繋がりなんて、わかりませんよねえ。アウトロー同士の繋がりっていいですよね。三人吉三や、五人男なんかでもそういうものが感じられますね。その中で、あの丑松が裏切るのがとても残念。
芝のぶちゃん、とってもよかったです。情感がこもっていましたよね。
主役の役者さんもですが、脇を固める役者さんたちもみんなとても「らしく」て、それぞれの情が伝わってきて、今回の河内山はかなり好きです。
1月演舞場は私も迷うところですが、やっぱりはずすわけにはいかないのです…3階でひっそり見てきますわ (^-^;

菊ちゃんが「はなまる」に登場したとき、あれれっ、今日は休演? そうしたら、今月は夜の部だけだって言ってました。私もその時までてっきり昼の部ご出演だと思っていました (^-^;

投稿: SwingingFujisan | 2010年11月23日 (火) 22時32分

クンクン。どっひゃ~impact
大御所ってなになに七子さま。年だけは大御所ですがね(いじけてる)。念のために(まじめに)言っておきますと、SwingingFujisanさまに負けず劣らずの(負けるかもしれんけどwink)ミーハーなんで、以後お見知りおきを。
てなわけで、私も日生は3回予定しています。まだ1月以降のことは決めてないんですが、お財布とも相談しつつ、いろいろ楽しみたいです。
いろんなお楽しみに向けて、体調をしっかり整えましょうね。飲み過ぎ注意happy02

投稿: きびだんご | 2010年11月25日 (木) 08時46分

SwingingFujisanさまfuji
きびだんごさまshine
こんばんは~happy01

なんか日本語不足のために申し訳ござりませぬ~、、、
きびだんごさま、といえば、歌舞伎のみならず、普通のお芝居やら、落語やら、いろんなことにお詳しく
でもいつも自然体でさらりとかっこいい
そんな素敵な方だな~といつもあこがれの存在でござりまして
それを大御所、と表現してしまったのがそもそもの誤り。

Swingさまもきびだんごさまも菊ちゃん御贔屓、というイメージがあり(ちがったらごめんなさい、、、happy02
いつも「あ~あ、わたしも菊ちゃんのファンになれたら幸せなのに~」と思っているので
なんか正統派~って感じがするのでござりまする~happy01

来月もお楽しみでございますねnotes

これからもいろいろと楽しいおしゃべりheart04
そして初心者の私には新しい発見を与えて下さいませね~lovely

投稿: 七子 | 2010年11月25日 (木) 22時35分

きびだんご様
大御所と言われてきっときびだんご様は「きゃぁ」って思ってらっしゃると想像していました。私はそう想像しながらニヤニヤしていましたbleah
でも、きびだんご様の年が大御所なら私はその上を行く大大御所?
ま、お互い大御所年齢でも精神的にはミーハーで若いということでsmile
私はお財布を考えずに来年の予定も次々決めてしまって、どこで締めようかと悩んでいます。

投稿: SwingingFujisan | 2010年11月25日 (木) 23時15分

七子様
きびだんご様のバイタリティーには私もいつも感心しております。そう、そして七子様がおっしゃるようにとっても素敵な方です!!

菊ちゃん贔屓--はい、私の場合は菊ちゃんも、亀ちゃんも、海老ちゃんも、他にも贔屓役者さんはい~っぱいlovely 気が多いんですよ。今日は菊ちゃんの美しさを目の前でたっぷり楽しんでまいりました。

これからも気楽にお喋りしましょうね~notes

投稿: SwingingFujisan | 2010年11月25日 (木) 23時22分

SwingingFujisan様
 七子様
 きびだんごさんが七子さんのコメントにきびんに反応されていたので、私も反応しないといけないと思いコメントします。
 「大御所」ウーン・・・内心うれしく思いつつも、そんなに、年よりじゃないのになあとも・・・。Fujisanさんのブログにコメントを度々寄こされる(男性と思われる)方では、六条亭さんがいい意味での「大御所」の貫録十分です。年齢から言えば、うかれ坊主さんが、私の年齢にやや近く、六条亭さんは大先輩と推察されます。
 とはいえ、お若い七子さんからすれば、中高年は皆一緒に思えるのかもしれません。また七子さん、大ご贔屓の七之助の舞踊の技量に、とかく厳しいコメントをしている私を「また、うるさい歌(右衛門)勘(三郎)じじいが」と思われているとしたら、反省の余地は十分です。
 いつも、さも真面目そうなコメントをしている私ですが、少しはミーハーな面もあるのです。大昔、学生の頃、京都の南座まで、猿之助の追っかけ(!)をしたときのことです。せっかく京都まできたのだから、猿之助の楽屋へ行ってみようと(今にして思うとなんと大胆な)、楽屋口の頭取さんに交渉したところ、「はるばる東京からこられたのなら、おもだか屋に頼んでみましょう」となり、なんとOK(10分程度の時間限定でしたが)が出ました。超至近距離で見る猿之助(当時30代)の素顔のかっこいいこと。オーラ満載でした。どぎまぎして何を話したかも、あまり覚えていませんが、帰り際に「学生さん、これからも歌舞伎を一杯楽しんで、応援してください」と、あの爽やかそのものの声で言われ、大感激したのでした。
 (但し、その後、会社勤めで多忙になり、年一回あるかないか程度の観劇が続き、決して熱心な歌舞伎ファンではなかったのですが。)

投稿: レオン・パパ | 2010年11月26日 (金) 19時37分

レオン・パパ様
貴重な体験談、ありがとうございます。
歌舞伎を真剣に愛して歌舞伎の将来を考える猿之助さんらしいですね。時代もよかったのかもしれませんが、レオン・パパ様、本当によい思い出になりましたね。
お仕事が多忙で観劇どころではない時期があるのは仕方ないでしょう。今も変らぬ歌舞伎愛をおもちなんですから、猿之助さんもきっとお喜びですよ。

歌舞伎にお詳しいという意味では、私にとってもレオン・パパ様は大御所ですよsmile 六条亭様もうかれ坊主様も歌舞伎にお詳しく、色々なことを教えてくださってありがたいです。
七之助さんに対する厳しいご意見は、伸びしろに期待できるからだと私は解釈しております。七之助さん、まだまだお若いんですもの。いいところを認めつつの厳しいご意見だと思います。

投稿: SwingingFujisan | 2010年11月26日 (金) 20時41分

Swingさま☆
レオン・パパさま☆
こんばんは~!
軽はずみなコメントで、申し訳ありません!!
大御所、というのは歌舞伎に長く親しまれ、深い感想を抱かれる、という、尊敬の気持ちでございます!
いつも、コメント欄を読むたび、こちらのひきだしが増える思いでおります!
七之助さんへのご批評も、いつもごもっともなことばかりです。
七ヲタですが、初役の時は舞台でセリフがつまる夢とか見て、心配ばっかりしているので
評判がいいとうかれちゃいます。。。
舞踊は…ねぇ…

投稿: 七子 | 2010年11月26日 (金) 21時14分

七子様
大御所発言が意外な波紋を呼びましたね~smile 私はお2人の反応ににやにやしておりますsmile
私など数だけは多く見ておりますが、わかっていないことばかりで、コメントをくださる皆様のご指摘に感心したり、共感を覚えたり、このコメント欄は楽しいお喋りの場だと勝手に思っております。

七之助さんのセリフがつまる夢をご覧になるなんて…。なんと強い七ラブ心なんでしょう。そういうファンの強い思いが役者さんを支えているんですねえ。

投稿: SwingingFujisan | 2010年11月26日 (金) 22時02分

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