« 初めて泣いた「逆櫓」:顔見世千穐楽夜の部① | トップページ | 座頭としての貫禄:第2回「挑む」① »

2010年11月27日 (土)

ハプニングも楽しんだ「忍ぶの惣太」:顔見世千穐楽夜の部②

1125日 顔見世大歌舞伎千穐楽夜の部(新橋演舞場
幕間に猿四郎さんらしき人を見かけた。
「都鳥廓白浪」
萬次郎さんの出演がちょっとだけなのがもったいなくて残念。
菊五郎さんがそこひの役ということで、焦点の定まらぬ目をしていたのが当たり前とはいえ印象に残った。ところが、二幕目、惣太の家に花子(実は天狗小僧霧太郎)の手下が忍び込んできた場面、惣太の目が見えぬことを確かめるために橘太郎さん(だったかしら、ちょっとあやふや)が吹き戻し――吹くとひゅ~っと先が伸びて又ひゅるひゅると戻って丸まる縁日なんかで売っている昔懐かしいおもちゃ――を目の前で吹いたのね(確か2度吹いた)。こっちは一瞬あっけに取られて、それから吹き出してしまったのだけど、なんと目の見えないはずの惣太がくすくすくすくす笑っているではないの。肩が上下して、堪えきれぬ笑いが顔に浮かんでいる菊五郎さんに客席は大ウケ。「見えてるじゃん」と思わず口に出す人がそこここに。私もツッコんじゃったよ。これって千穐楽バージョン?
しばらく笑いが納まらなかった舞台と客席だが、芝居は進行しているので、やがてなんとか元に戻り…。ははは、今でも思い出すと可笑しくてたまらないsmile
さて、笑いの後は悲しい場面。生血を取らせるために自害したお梶だが、不思議なことに死相を表す時様の目の縁の青みが徐々に大きく広がっていくような気がした。
お梶はすべてお見通しだったのだろうか。自分の目の前で亭主と他の女がいちゃついてもイヤミ一発かましただけで、泰然としている。2度見ても、その辺の女心はわからなかったなあ。
三幕目の按摩宿では女按摩の段之さんが本領発揮(?)で下手に引っ込んでもぎゃらぎゃらぎゃらぎゃら騒いでいて笑いを起こした。
菊ちゃんと歌六さんの絡みでは菊ちゃんが花子になったり霧太郎になったりして笑わせる。コミカルな面に注目しがちだが、「十二夜」などで男と女の間を行き来する素地がしっかりある菊ちゃんならではの笑いなんだと思った。
歌六さんは酒を飲む時、チュッチュッと音を立てて最後の一滴まで杯に吸い付いているのが丑市の人間性を現しているようで、工夫が感じられた(歌六さんの工夫かどうかはわからないけれど)。
菊五郎さんの2役目・木の葉の峰蔵が宿を訪ねると、霧太郎が「誰だ?」と問う。菊五郎さん、即答はせず、ややあって「木の葉」と答える。今度は菊ちゃんが笑いを堪えていた。
おまんまの立ち回りでは、菊ちゃんが箸から落とす沢庵を捕手の1人が口で受ける。前回見たときは確かうまく入らなかったけれど、今回はナイスキャッチ。
ややこしいけれど、ストーリーは見ていてわかるし、面白い芝居だった。
あ~あ、前回の観劇記で千穐楽はもっとまともな感想を書くと宣言したのに、ダメだったぁ。

ところで、私、これ初見だとばかり思っていたが、平成1610月に見ているらしい。この時は仁左様が惣太で、菊五郎さんが花子、時様は同じくお梶という配役だったのに、ぜ~んぜん覚えていないbearing おまんまの立ち回りも「元の黙阿弥」のほうで覚えていたくらいなんだから。

|

« 初めて泣いた「逆櫓」:顔見世千穐楽夜の部① | トップページ | 座頭としての貫禄:第2回「挑む」① »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

菊五郎劇団のお芝居は、いつも役者さん達自体が楽しんでいて、それが客席にも広がっていく感じがいいですよね〜。クスクス思わず笑っちゃうような、独特の空気感catface
楽は菊ちゃんのお茶碗がひっくり返らなくて良かったsmile

Swinging Fujisan様の突っ込みカンゲキ記、私は好きですよ〜wink

投稿: 林檎 | 2010年11月27日 (土) 14時08分

林檎様
ありがとうございます!!
菊五郎劇団のこういうお芝居は、何より菊五郎さんご自身が楽しんでいらっしゃる様子が見えて嬉しいですね。本当は役者が笑っちゃいけないのに、そんなことどうでもよくなるような舞台との一体感を覚えます。
来月は一転、シリアスドラマですね。菊ちゃんが「2度目は初演を超えなくてはいけないのでかえって緊張する」というようなことを言っていましたが、確かにこちらも初演超えを期待しますからね。

投稿: SwingingFujisan | 2010年11月27日 (土) 14時56分

SwingingFujisan様
 今晩は。千秋楽の感想、お待ちしていました。私も、夜の部、三階にいました。ニアミスでしたね。今月は後半に観劇が集中し、今回の観劇は、午後休みを取って駆け付けました。
 「逆櫓」は、遠見がないので15分程短く、重量感はないものの疲れませんでした。幸四郎は、時代物を出す時、割に場面をカットする傾向があるようです。で、幸四郎よかったですね。いつもの、泣きすぎたり、セリフが震えたり、説明すぎる演技(これが過ぎるとハラが薄くなり批評家筋からたたかれるようです)が少なく、幸四郎独特の軽みもあり、現代の観客に対し、説得力のある演技だったと思います。一方、セリフの入った段四郎のよいこと、時代狂言で主役と対峙する立役、今、この優が最も安心できます。
 「桜餅」Fujisanさんの感想のとおり、菊五郎劇団(プラス歌六)のアンサンブルがよく楽しめました。今回の一押しは、Fujisanさんのご贔屓の梅枝の梅若丸です。この類の若衆役、風情だけでやる役ではなく、それなりの技巧(今回でいえば、主役との渡りセリフのタイミング、掛け合い、花道を使った歩き方、癪のそれらしい演技等々)が必要であり、梅枝がクリアしていることに感心しました。菊五郎と十分対峙しえる掛け合い演技と言えば誉めすぎですか。女形は出世(演技の上達も含め)が早いと言いますが、真女形(殆ど絶滅危惧種?)として、さらに飛躍してほしいものです。
 

投稿: レオン・パパ | 2010年11月27日 (土) 19時25分

レオン・パパ様
コメントありがとうございます。
夜の部のご観劇がまだのようでしたので、きっと千穐楽にいらしているだろうと思っておりました。
私は昼の部は3階でしたが、夜は張り込みましたsmile
幸四郎さんについては14日の第1回観劇の感想に書いたので今回は省略しましたが、とてもバランスがよく、こういう幸四郎なら私もイケると思いました。
段四郎さんは、おっしゃるとおり、セリフさえ入っていれば素晴らしくいいですね。時代物にもぴったりの空気がありますしね。
梅枝クンの細かい演技、とくに感心したのは癪です。あれは、意外とむずかしいと思うのですよ、ついわざとらしくなったりして。渡りセリフもよかったですね。菊五郎さんと十分に渡り合ったと、私も鼻が高いです(^^) 梅枝クンには瑞々しい若さと、上品な古風さがあり、あの年代の若手の中で頭一つ抜けているかなと思います。来月の俊徳丸にも大いに期待しています。

投稿: SwingingFujisan | 2010年11月27日 (土) 21時33分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/37861211

この記事へのトラックバック一覧です: ハプニングも楽しんだ「忍ぶの惣太」:顔見世千穐楽夜の部②:

« 初めて泣いた「逆櫓」:顔見世千穐楽夜の部① | トップページ | 座頭としての貫禄:第2回「挑む」① »