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2011年1月11日 (火)

大きさを味わう--「三笠山御殿」と「対面」:演舞場昼の部②

19日 初春大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
ここで食事を入れると眠くなると用心して、めで鯛焼きにしておく。やっぱりあの餡の香りは食欲をくすぐる。
「妹背山女庭訓――三笠山御殿」
以前見たときにお三輪に対するいじめがしつこくて、おまけにお三輪があんまり哀れでイヤな演目だと思った記憶がある。そのためあまり見たい気がしなかったが、今回は意外にも面白く見ることができた。お三輪は前回(20075月)も福助さんで、自分の感想を見ると「表情を作りすぎることもなく、声も愛らしく、お三輪の哀れさがよく伝わってきた」と書いてあった(とすると、当時から福助さんの顔の作りすぎを私は気にしていたわけだ)。
その感想そのままに、福助さんのお三輪が愛らしく哀れで泣けた。恋しい求女が橘姫と結婚することを知り嫉妬のために鬼のような形相になるお三輪だが、福助さんの顔の歪みもいつものオーバーな感じはなく、非常に納得できる表情だった。いや、今回に限りもっと歪めてもいいかもしれないと思った。福助さんがいつも顔を必要以上に崩すと私が思うのは、客に対する媚のようなもの(あるいは、訴えかけと言うべきか)があるからではないだろうか。今回は表情で訴えるのではなく、心情で訴えていたのがとてもよかった。官女たちのいじめも今回はあまり気にならなかった(歌女之丞さん、声が掠れているように聞こえたけど、大丈夫?)。
橘姫の芝雀さんも愛らしく美しい。求女は芝翫さん休演のため橋之助さんが。さっきの弁慶とは全然違う二枚目ぶり。
團十郎さんの鱶七が抜群。入鹿(左團次)とのやりとりの場面は、せっかく鯛焼きに留めたのに眠気に勝てず…bearing(この芝居、けっこう寝ている人が多かった)だったけれど。とにかくスケールが大きく、荒事が冴える。華に満ちた明るい大らかさ、鱶七の率直な気持ちが團十郎さん自身に重なって、團十郎以外に鱶七はいないんじゃないかって思うくらい。責任とってオヤジ様まで休演なんてことにならなくてよかった(そういうことも考えたらしいから)。

「寿曽我対面」
吉右衛門さんの工藤祐経、登場しただけであたりを圧倒する大きさがある。大名たちが悪口を言うような威圧感とは違う、見ていて気持ちが昂揚するような大きさである。
三津五郎さんの五郎は若々しく稚気に溢れ、梅玉さんの十郎も若々しく美しく柔らかく上品。まさに役者絵を見ているよう。
歌昇さんの小林朝比奈が工藤にヒケを取らない大きさ、勇ましさで、かつ人間味を感じさせる。鬼王新左衛門の歌六さんは富樫でもそうだったが、意外と存在感が薄い気がした。
芝雀さんの大磯の虎が美しく、そこだけ光が射しているかのように輝いている。巳之助クンはこれだけの役者の中に入れば見劣りするのはやむを得ないか。化粧坂少将と五郎は恋人どうし、巳之助クンが三津五郎さんにお酒を注ぐ場面はミーハー的ににやにやしてしまった。
梶原景高の吉之助さん、上から見ると口をあいているように見えなくて、「いっこく堂か」なんてツッコみながらbleah、何度もオペラグラスで口を覗いてしまった(吉之助さん、好きです)。
最後に、同年代の女方役者の中で時様だけおばばかぁ、なんてちょっとひがんだけれど、それは時様の年に一度のお遊びなのかもね。


ところで、さっきチラシの整理をしていたら、昨日もらってきたチラシからは富十郎さんの顔が消えていた。先月のチラシにはもちろん入っていたので、悲しみが再び込み上げてきた。
<上演時間>「御摂勧進帳」55分(11001155)、幕間35分、「三笠山御殿」105分(12301315)、幕間25分、「対面」49分(13401429

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