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2011年1月13日 (木)

浅草歌舞伎第一部再見②:私の期待とは違った「三人吉三」

111日 浅草歌舞伎昼の部(浅草公会堂)
順序が前後したが、「三人吉三」を。
「三人吉三」
全体にアツい思いが感じられず、ちょっと期待はずれ。前回寝てしまったのは体調のせいもあるが、そういう思いが伝わってこなかったこともあるのではないかと内心感じていたのが、今回あらためて確認された。
それは、とくにお坊が絡んだ場面で感じた。お嬢と和尚だけの絡みというのはほとんどないが、たとえば手拭でお互いの傷口を縛り合うという小さな場面ではこの2人の間に漂う気持ちが何となく伝わってきた。ところがお坊が入ると、3人がそれぞれ別個の思いをもっているような気がしてしまうのだ。と言って、3人バラバラかと言うと決してそうではない。お坊のニヒルさが他の2人にも伝播するのだろうか。いや、亀ちゃんのお坊はニヒルというのともちょっと違うな。一匹狼的なところが亀治郎本人と重なるのかな。う~ん、よくわからない。
吉祥院で、雪の本郷で、お坊とお嬢が再会する場面にも溢れるような思いがない。「会いたかった、会いたかった」と口で言われても、そこにこちらが思い入れるような熱さがない。この2人は一種同性愛的な友情をもっているはずだと思うのに、全然それが感じられない。和尚に申し訳ないから互いに自害しようかという相談も前回はどこか他人事のような気がして仕方なかった。ただ、今回は和尚への思いだけはいくらか伝わってきた。
比較してはいけないかもしれないが、松緑・和尚、愛之助・お坊、菊之助・お嬢(200911月演舞場)には思い切り心が入り込んで、3人に同化して泣いたものだった。今回もそれを期待したから、ちょっとはずされたなあと思うのである。
ただ、そういう演じ方は恐らく亀治郎さんのことだから確信犯的な考えによるのだろう。

あとは、身長のバランスがあまりよくないように思った。背の高い七之助さんに対し、亀治郎さんがいかにも小柄である。私が前回、七之助・亀治郎に力が入りすぎていると感じたのは、七之助さんの場合、男女(厳密には男女じゃないけど)を演じ分けようとする意図、亀治郎さんの場合には体格をカバーしようする意図が強いからではないかと勝手に憶測したのだが、今回は力みは感じられなかった。愛之助さんも七之助さんに比べ身長はないが、骨の太さでそれが気にならない。
新悟クンは身長も高く(こちらも相手は小柄な亀鶴さん)けっして美形ではないが、何とも言えない清純さが漂い、哀れで、私には今回はこのおとせが一番素直に入ってきたように思う。亀鶴さんはやっぱりもったいないなあ。2人が和尚に殺される場面がとてもよかった。犬の祟りを受けた2人は畜生道に墜ち、結局は犬死にか…weep
雪の中の立ち回りは亀治郎、七之助の形がとてもきれいで見ごたえがあった。とくに七之助さん動きは美しく、「仮名手本」で勘太郎さんと見せた激しい中にも美しさ溢れる立ち回りを思い出した。しかしまあ、3人ともあの雪の中裸足で、和尚ときたら片袖はだけている。そこをリアルに考えたらリアルに寒くなってしまった。
この感想は、あくまで私が演舞場の3人を引きずっているからのものであって、もう一度見ればそれを置いてくることができるかもしれない。千穐楽に期待したい。




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コメント

こんにちは,おかげんいかがですか?

自分のところにも書いたのですが,わたしも今回の三人吉三,あまりアツくなれませんでした。
なんか違う…なんか違う…と思っているうちに終わってしまいました。
おととし11月の演舞場のときは気が入りすぎて
見終わったあとにどっと疲れが…という感じだったのに。。。
お坊の一匹狼な感じ,わかります!
なんだかドライな感じがするんですよね。

わたしももう一度観に行くので,そのときにはもう少しアツくなれるといいな,と思っています。

今日もかなり寒いので,お大事になさってくださいねapple

投稿: あねご | 2011年1月13日 (木) 12時19分

こんにちは。こちらにもお邪魔いたします。

今回の三人吉三での収穫は「ああ、私って立ち回りが好きなんだわ」でした。先月の日生の庭先の場や今月の玉様の女伊達、そして三人吉三の大詰、ととても楽しく見ることができました。ゆったりだけど、ちゃんと動きがあって、その上美しくって、見ていて飽きません。気づくのが遅いかしらん?

演舞場へ行く前に東劇に寄って「わが心の歌舞伎座」の日時指定をしてきたからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2011年1月13日 (木) 18時22分

あねご様
ご心配をいただいてありがとうございます。1日うちにいれば、多少忙しくてもだらけたい時にはだらけられるので、すぐに回復しました。

あねご様もアツくなれなかったとのこと、他の方の感想に引きずられるといけないので、自分のを書き上げてから拝読しようと思っておりました。

比較するまいと自分を戒めても、どうしても演舞場の三人吉三を思い出してしまいます。浅草も決して冷たいわけではないのに、でもアツくはない。
お互い、次回の観劇に期待しましょう。
あ、そうだ、次回は愛之助さんの和尚は見られないのですね。
らぶりんファンのあねご様はさぞご心配でしょう。私も、ご挨拶での愛之助さんの笑顔が目の前にちらついて心配でなりません。来月も大きなお役があるのですから、しっかり治して元気な姿を見せてほしいと祈っています。

投稿: SwingingFujisan | 2011年1月13日 (木) 18時54分

からつぎ様
こちらにもありがとうございます。
私も立ち回り、大好きです。まったくおっしゃるとおり、日生も女伊達も(今日見てまいりました)三人吉三も、そして黒手組も、立ち回りは美しくて見ていて飽きません。わくわくします!!
殺陣師の力量、演じる側の力量、見事な芸術だと思います。

「わが心の歌舞伎座」、私は浅草でチケットを買いました。松竹の商魂につられましたが、歌舞伎座のためなら…とcoldsweats01 初日は地元で見るつもりです。

投稿: SwingingFujisan | 2011年1月13日 (木) 21時16分

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