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2011年1月10日 (月)

荒唐無稽、大らかな荒事「御摂勧進帳」:演舞場昼の部①

19日 初春大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
ミーハー歌舞伎ファンの私の中では一番関心度が低く、と言って現在歌舞伎の拠点であるからにはスルーはできず、とりあえず1回は見ておけばいいかな程度だった演舞場。これがと~ってもよくて、時間さえあればもう一度見たいと思ったくらい。
「御摂(ごひいき)勧進帳――加賀国安宅の関の場」
初めて見る。「勧進帳」のバリエーション、こんなのがあるなんて知らなかった。息詰るような緊張感が魅力の歌舞伎十八番の「勧進帳」とはまったく違い、荒唐無稽、大らか、豪快かつ滑稽。劇画チックな感じもする。
「勧進帳」であるから、義経一行の登場は花道から。私は例の3F上手側コーナーでも最上列を取ったので花道は椅子を上げた上にお尻を乗せて見たが、それでも一部しか見えなかった。
「勧進帳」ではあるが、この登場場面に弁慶はいない。そして家来が6人もいる。関守側も富樫(歌六)だけでなく悪役風だがコミカルな面も見せる斎藤次祐家(彌十郎)がいる。義経(錦之助)は最初から強力姿なのではなく、弁慶抜きの家来たちのアイディアで変装する。それでも斎藤次(彌十郎)がしつこく疑い、ああ義経危うし。
その瞬間、一足遅れた弁慶(橋之助)が駆けつけ、お馴染みの勧進帳の読み上げ、打擲の場面がある。弁慶の打擲は「勧進帳」よりずっと激しく、主君の背中に足をかけたりもする。弁慶が義経に詫びる場面はなく、義経が逆にその場で「迷惑をかけて申し訳ない」みたいなことを言う。斎藤次はそれを見て「そんならいいわ」と一時は許し、富樫が通行手形を与えるが、結局斎藤次は弁慶に縄をかける。
この弁慶が面白い。番卒たちにいじめられると義経たちは「もうどこまで行ったかな」と番卒たちに訊きながら時間稼ぎにわんわん泣いたりするのである。弁慶は「弁慶上使」でも大泣きするが、そっちはシリアスな泣きで、こっちはコミカル、わざと泣きである。義経たちが安全なところまで落ち延びたことを見計らった弁慶は番卒たちの首をぽいぽい引きちぎり、天水桶に投げ込む。そして桶の蓋に上り、大きな金剛杖2本で桶の中をかき回す(「芋洗い勧進帳」の別名はここから)。まったく子供みたい、豪快かつ稚気たっぷりなのである。

弁慶が桶をかき回すとそのはずみか、今度は首がぽいぽい外に飛び出してくる。それを三津之助さんと新十郎さん(斎藤次の家来)が「エコな掃除」と称して、熊手と箒[「常盤の松の尉(じょう)と姥(うば)」なんだそうである]でかき集め、再び首を桶に投げ入れる。この桶はやたらデカくて口は高いところにあり、しかも3分の2くらいは蓋がかかっているので、下から首を投げ込むのはけっこう難しいと思う(玉入れみたい)。実際、1つの首は蓋の上に乗っかっちゃったし、最後のほうは2人ともヘロヘロになりながら投げていた。ご苦労様。なのに、この2人も弁慶に首を抜かれちゃうのだ。
橋之助さんが弁慶を好演。とってもカッコいい。そばで見たらさぞかし顔が大きいだろうなあ(褒めている。豪快な弁慶が顔が小さかったら話しにならないもの)。
富樫はここでは斎藤次と弁慶に隠れそうな感じがする。おまけに彌十郎さんも橋之助さんも柄が大きいものだから小柄な歌六さんがますますほっそり見えてしまった。
駿河次郎の種太郎クンが若いのに家来の中では一番のまとめ役として立派。声も太くセリフもよく、大きさがあって頼もしい。あら、いつの間にこんな成長を、とビックリした。
昼の部は荒事3題で、まず第1弾がこのなんとも大らかな「芋洗い勧進帳」なのであった。

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