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2011年1月 8日 (土)

役者も観客も楽しむ復活狂言:四天王御江戸鏑

17日 「四天王御江戸鏑」(国立劇場大劇場)
紅白の幔幕の張られた舞台。そこへ花道をやってくる奴たち。渡りセリフが勇ましい。脚を高くあげて舞台へ駆け込む姿も気持ちがよい。
幔幕が振り落とされると、そこには鯰坊主の形をした星鮫入道蒲鉾に女鯰風の鰊の局、そして真鯛太郎塩焼、寒鰤次郎照焼というふざけた名前の4人がいる。正月だからいいっか。
おや、蒲鉾・彦三郎(こういう役珍しいような気がする)、鰊・萬次郎は兄弟、真鯛・菊市郎、寒鰤・菊史郎も兄弟、と2組の兄弟なのね。彦三郎さん、一時セリフがもごもごしてよく聞き取れないことがあったがいつの頃からかはっきりしてきて、この一家(兄弟、親子)の声のよさがあらためて思われる。萬次郎さん、とてもきれい。彦三郎・萬次郎がここだけの出演というのは実にもったいない。
先日のテレビ放送でもちらっと見たが右近クンの踊りがとてもいい。やがて竜が出てきて一緒に踊るが、竜を扱う奴さんたちは大変そう。とくに先頭で頭を動かす辰巳さん(後に4人飛び越しをかる~くこなす)と光紀さん(じゃなかったらごめんなさい)は重そうで、力を込めている様子が窺える。
菊五郎さんの相馬良門は妖しげで悪人ぶりが大きい。でも、菊五郎さんが一番素敵だったのは世話物の綱五郎。粋で色っぽくて、こういう菊様がほんとなんだわと思うと、先月の合邦はやっぱり寂しいのである。
御所の屋根に大蜘蛛が現れが~っと息を吐いたら、その冷気がこちらまで届いて身体が冷えた。
時様は昨年に続いておババ役。今年はそれにプラスして源頼光も。時様の頼光はとても美しくて上品で適役。でもそれなのに、どうも私は立役の時様には落ち着いていられない。そわそわするような、どうしていいかわからない気持ち。リアルに素敵すぎちゃうのかな。女方の美しさのほうが安心するというか…。菊五郎さんとのカップルの時様も見たかったけれど、おババでも時様は品性を失わないから好き(時様、おババは正月だけにしてね)。ところで、だんまりの時様、どうなってるのぉ? 吹替えがそっくりだったよ(お面はかぶっていなかったよね。化粧で似せた?)。

菊ちゃんの土蜘蛛はあんまり凄みはなかったかも。でも線の細さは感じなかった。菊ちゃんの宙乗り、今回の席はこれが2階だったらなあというところだったけれど、糸が飛んできたから嬉しかったわ。菊ちゃん、宙乗りの間、ちゃんと足の親指が上がっていた。そういえば、もっと後で松緑さんも荒事のところで親指を上げていて、みんなよく忘れずに上げるものだなあと変に感心してしまった。
梅枝クンが菊之助、菊五郎を相手に一歩もヒケをとらなかったこと、菊十郎さんがチョイ役ながら存在感があったことを追記しておく。
お楽しみの第3幕世話物の場。AKBならぬMYZ48の踊りはかわいかった。いつぞやの岡崎のネコちゃんたちの踊りを思い出す。黒御簾の中でも「会いたかった♪ 会いたかった♪」と歌っていたのがなんとも愛敬で可笑しかった。踊りの後ろでは亀三郎さんが不器用そうに手まねをしていたのが芸が細かい。権十郎さんのAKBダンスなんてめったに見られるものじゃない。
お土砂の場面に渡coldsweats02陽一が出てきたのにはめっちゃくちゃ笑った(私、渡部さん好きだから)。扮するのは音二郎さんで、それほど似ているわけじゃないけれど、うまく出してきたな、と思った。ここは紅長のパロディで、菊五郎さんが楽しそうに何にでもお土砂をかけちゃうのがまた可笑しくて笑った笑った。渡辺さんも追いかけてきた女職員も、柱までもがぐにゃぐにゃぐにゃぐにゃ。
ツッコミどころ満載の復活狂言。役者も楽しめば観客も楽しむ。そういう芝居の醍醐味を味わった私にとって本年最初の初日でした。
上演時間もほどよく、気張らずに見られたのはありがたい。
<上演時間>序幕・第二幕40分(12:00~12:40)、幕間35分、第三幕35分(13:15~13:50)、幕間15分、第4幕60分(14:05~15:05)、幕間15分、大詰25分(15:20~15:45)

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コメント

おはにちはbleah やっとシャッキリ目覚めたらもうお昼。
私は5日に見たので、SwingingFujisanさまのレポで、ふむふむと思い返しています。
去年のEXILEもそうですが、黒御簾の中で今の曲を演奏し歌うのが、やたら可笑しくて、中を覗きたくなります!
それと、お土砂。人々がグニャグニャはともかく(渡部さんね!)、柱には笑っちゃいました。ちょっと目を離してたんで、次はしっかりその瞬間を見なくっちゃ。
書いているとまた色々思い出しちゃって、一人で笑ってます。年の初めには、こんな気分的に軽い感じがいいなぁと、思うようになったのは、また一つ年を取った(数え年ね)証拠かしらん(爆)。

投稿: きびだんご | 2011年1月 8日 (土) 11時50分

SwingingFujisan様
 今晩は。今朝も寒かったですね。今日は、国立観てきました。毎年、恒例の菊五郎劇団の、疑似?復活狂言、肩がこらずに楽しめますね。正月らしくていいです。菊五郎の貫録、松緑の闊達さ、口跡の良さ、菊之助の怜悧な美貌はいつも通りですが、このくらいの座組みだと、次の若手群の活躍が目につきます。梅枝、右近、亀三郎、亀寿等々それぞれいいものを持っていますね。
 大詰めでの国立の手拭、昨年に引続き、今年もゲットしました。手を伸ばさなかったのですが、団蔵がポンと投げたのが、膝上にきました。
 ところで、先日の演舞場の感想で書き漏れです。歌昇親子が、とてもよかったです。さらに、良い役で活躍してほしいものです。
 

投稿: レオン・パパ | 2011年1月 8日 (土) 18時35分

きびだんご様
こんばんは。返事が遅くなってごめんなさい。「おはにちは」のきびだんご様に対し今日の私は早起きして浅草へ。あ~、国立の12時開演は本当に助かりますわbleah
黒御簾さんは、今回はうっすらと中が見えたのですが、多分大真面目に歌っていたと思いますよsmile EXILEだのAKBだの、選曲はどなたがなさるんでしょうね。菊五郎さんが音楽の方と相談して決めるのかな。だとして、その様子を想像するのも面白い(^^)
お土砂、柱にはびっくりしました。一瞬、何が起きたかと! それに菊五郎さんの定式幕なんて珍しいシーンも。
年のはじめは理屈抜きに笑えるものがいい--きっと若い方もそう思っていますよ。というのは希望的観測かしら (^-^;

渡辺じゃなくて渡部さんね。入力したとき何か違和感があったのだけど…。訂正しましたcoldsweats01 ありがとうございます。

投稿: SwingingFujisan | 2011年1月 8日 (土) 23時33分

レオン・パパ様
こんばんは。昨日、今朝と本当に寒かったですね。寒いというより冷たいくらい。

お正月は菊五郎劇団の復活狂言なしには語れなくなってきました。毎年、3回ずつは見ることにしていますし(^^)
いい役者さんが多すぎて、役の振り分けが大変ですね。亀三郎・亀寿兄弟にはもっと活躍してほしいし、松也クンなんかももったいないなあと思います。梅枝・右近クンは日生で又ぐんと伸びましたね。吸収の早い若手の成長には目を見張るものがあります。
2年連続の手拭ゲット、おめでとうございます!!
私の一画にはほとんど飛んでこなかったので羨ましいです。

演舞場昼の部、明日見てきます。歌昇さんが褒められるのはとても嬉しいです!!

投稿: SwingingFujisan | 2011年1月 8日 (土) 23時43分

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