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2011年1月16日 (日)

役者玉三郎の意気・粋:ルテ銀「坂東玉三郎特別公演」

113日 坂東玉三郎特別公演(ル テアトル銀座)
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劇場のある
3階に上がると、まずは口上姿の玉様のパネルが目を引く。また場内には繭玉が飾られ、華やかな和ムードいっぱい。
開演前にはロビーで獅子舞がみられた。お獅子は頭を差し出す人々を噛みながらやがて客席の中を練り歩き、最後は舞台で見事な逆立ちのワザを見せ、獅子頭を取ってご挨拶。中に入っていたのは喜猿さんと笑三さんだそうです。
「阿古屋」
この芝居は演じるほうもむずかしいだろうが、見るほうもむずかしいと思った。セリフもむずかしく聞こえるし、音楽も私にはよくわからない。第一、舞台の緊張が客席にも伝わり、しわぶき一つしないのだから、こちらも緊張する(でもね、携帯のマナーのブルブルがなんと2度も聞こえてきたよっ)
玉様は私のブロックのすぐそばの入口から登場し、仮設の花道を通って重忠の待つ舞台へ引き出される。
輝くように美しい玉様からは阿古屋の心情、おんなの意地が玉様を通じて迫ってくる。演奏中、玉様は時々魂が身体を離れて玉さま自身を見つめているような、そんな気がした。演奏については私にはわからないのでどうこうは言えないが、胡弓はスゴかった。阿古屋の寂しさのようなものが胸に響いて感動した。
獅童さんの重忠は身体も大きく美しいしかっこいいし、声の太さもいいと思うのだけど、何かちょっと物足りなさを覚えた。それが何かは自分でもはっきりと摑めてはいないのだけど、あるいは包容力のようなものかも…。でも、獅童さんが歌舞伎で活躍するのは嬉しい。
猿弥さんの岩永は適役だろう。ただ、意外なことにやや小粒な印象を受けた。要するに、玉様の大きさには獅童さんも猿弥さんも追いつかないということなのかも。それは当然といえば当然かもどちらも大好きな役者さんだし、玉様に鍛えられてどんどん大きくなって、と期待する
阿古屋の役は玉様に続く若手が出ていないようだが、私としてはぜひ、梅枝クンに受け継いでほしい。いや、梅枝クンが適役だと確信している。厳しいとは思うけれど、楽器の稽古に励んで是非次代の阿古屋となってほしい。

「女伊達」
緊張の中で息を詰めるようにしていた重厚な「阿古屋」に対し、こちらは解放感たっぷりに楽しく玉様の粋な美しさが舞台を圧倒する。男伊達(坂東功一、片岡松次郎)や若い者を軽く気持ちよさそうにいなす玉様はかっこいい~。立ち回りの楽しさをここでも堪能(そういえば、玉様の上を返り越しなんていう珍しい場面があったわhappy02)。
途中、玉様の口上が入るのもお正月らしくて嬉しい。20年前、まだここがセゾン劇場と言っていたころ、1人で舞踊公演をして以来の付き合い。今回は急遽公演が決まったため下見はしなかったが、馴染んだ劇場でよくわかっていたので引き受けた。追加公演はせっかくお正月なので元日にしたが、歌舞伎の本公演で元日初日は関東では昭和21年以来65年ぶりである(関西ではあるらしい)。そのことは「知らなかったんでございますよ」
演目はお正月気分を味わっていただくよう、構成、演奏家と相談して決めた。口上は本来なら七草までなんでしょうが、20日までの公演で後半のお客様にご挨拶できないのも寂しいので…
というのが主な内容。
その後手拭撒きもあって(最近、手拭にはとんとご縁がありません)、粋で楽しい踊りは幕となる。席を立とうとする人もいる中、期待のカーテンコールで幕が再び開くと、舞台中央に玉様が1人平伏している。やがて立ち上がり下手へ回ると演奏家への拍手を促す。拍手の中、傳左衛門さんを始めとする囃子方が鳴り物を鳴らす。功一・松次郎の2人が登場し、最後は8人の若い者が出て全員でご挨拶。玉様の役者としての意気が大いに感じられた公演だった。
<上演時間>「阿古屋」75分(14:00~15:15)、幕間25分、「女伊達」25分(15:40~16:05)

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コメント

とてもお久しぶりなコメントになってしまいましたsweat01。新年早々バタバタしておりまして(自分のことで精一杯…)、大変失礼しておりました。

『阿古屋』は、本当に緊張感のある舞台でしたねー。それでも携帯バイブ音が2回ですか。私の回は、前列の方がメール着信と思われるバイブ音がしたあと、なんと、メールの返信を続けていらっしゃいました…。(画面を覗いていたわけではないのですが、カチカチ打ってらしたので、多分返信してたのかなー、と…。) 梅枝丈の阿古屋、是非、見たいです!!(その前に、時サマも、是非♪ 亀丈もお上手でしょうね~。)

投稿: はなみずき | 2011年1月17日 (月) 21時17分

はなみずき様
コメントありがとうございます。
ご無沙汰はお互い様、どうぞお気になさらないでくださいね。

あの緊張感に包まれた空間でバイブ音が2回でもオドロキなのに、メールに返信とは度胸があるというか何というか…あるいは緊急の用件でもあったのかもしれませんが、そういう方のために電波制限が行われるようになったら不便で困りますわ(国立でも演舞場でも、せめて客席を出たらすぐ電波が通じるようにしてくれるといいのに)。

阿古屋の後継者にはぜひどなたかご自分から手を挙げてほしいものです。もちろん時様が阿古屋をやられたら嬉しいのですが、楽器の熟練が必要なことを考えると、若手の成長を待つしかないのかなあ、と思います。それだけ大変なお役を涼しいお顔で演じる玉様の偉大さ、素晴らしいですね!!

投稿: SwingingFujisan | 2011年1月18日 (火) 01時33分

>S.F.さま
豊穣な時間でした。夢のようです。玉様は、歌唱でも演奏でも卓抜した技術に裏付けられた表現力に加え、ご自身を媒体とした美の体現者であられます。やはり奇跡なんでしょうねえ。
自分の経済力と足腰の限界が近づいてますので、頑張って見ます。きりぎりす状態のおとみでした。

投稿: とみ(風知草) | 2011年1月19日 (水) 12時19分

とみ様
お疲れ様でした。でも、豊穣な夢のような時間はお疲れを和らげてくれたかもしれませんね。
ご自身を媒体とした美の体現者--ああ、まさにその通りその通り!! 表に見えるものだけでなく内面からにじみ出る美しさが玉様をさらに輝かせているという感じでした。
とみ様ご同様、私もきりぎりす状態です…。

投稿: SwingingFujisan | 2011年1月19日 (水) 13時30分

SwingingFujisan様
今晩は。Fujisanさんと同じ日に、ルテアトル行きました。ニアミス?でした。
玉三郎の阿古屋、マスコミの異常な持ち上げようは論外として、これほどの格調の高い阿古屋(これこそ人間国宝。なぜ、人間国宝にお国は処遇しないのでしょうか。ご本人が辞退しているのでしょうか)は、やはり、歌舞伎座で観てこその演目との感を深くしました。豪奢な衣裳をまとった花道の出から、桟敷を背景に歩く姿がないと、あとの演技が映えない気がします。周りの配役は(ことに猿弥は贔屓なのですが・・)、よくやってはいますが、吉右衛門、段四郎クラスとの比較は所詮無理です。新しい歌舞伎座の開場記念演目で、仁左衛門(13代目のこの役は絶品でした)の重忠で是非出してほしいものです。
ところで、当日、木戸御免の大向うが締め出しを食らっていたのか(そこが玉三郎の潔癖なところ?)、誰も声をかける風がなかったので、すこし大向うをしました。阿古屋は極力控え目、但し、階段に身を投げかける箇所はやはり必須です。三曲の場面は、演奏中は勿論、演奏直後もタブー、しばらくして起きた、感動の拍手に重ねるように掛けました。一方、女伊達は大向うがないと逆に寂しい演目、決まり決まりは、やや大き目、高めの声で掛けるようにしました。当日の観客には自分なりに配慮したつもりですが・・。

投稿: レオン・パパ | 2011年1月22日 (土) 17時08分

レオン・パパ様
こんばんは。お返事が遅くなり、すみません。
ルテ、あら、ニアミスでしたのね(^^)

花道がないのはどうしようもありませんね。私もその点、かなり物足りなさは覚えましたが、ギリギリあれを作っただけよしとするしかないのかもしれません。来月の与兵衛の引っ込みもあそこを通るのかなあと思っておりました。

新しい歌舞伎座の杮落としに「阿古屋」は相応しい演目ですね!! 仁左様との共演、ぜひ見たいものです。玉三郎さんの人間国宝、ご本人の辞退説はありうるなあと思います。

おお、レオン・パパ様が声をかけていらしたのですか!! ビックリしました (^-^;

投稿: SwingingFujisan | 2011年1月22日 (土) 22時44分

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