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2011年2月19日 (土)

あと2日だけど是非:「ダ・ヴィンチ特別展~モナ・リザ25の秘密」

218日 「特別展 ダ・ヴィンチ~モナ・リザ25の秘密」(日比谷公園特設会場)
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ダ・ヴィンチが天才であることは周知であるが、今回の展示ではその片鱗を実際に目にすることができ、知的好奇心を満足させられる。一味も二味も違う楽しい展覧会である。

①画家としてのダ・ヴィンチ
この展覧会には本物の絵は1枚も展示されていない。実物ではないが、本物だったら絶対に一堂に集められることの不可能な作品(門外不出の作品もある)がここで見られる。
しかし画家としての才能は彼のほんの一面に過ぎない。
②自分のためだけの手稿
この展覧会のすごいのは、絵画を集めたことではない。ダ・ヴィンチの手稿と設計図をもとに、彼が考案した様々な道具、機械を製作再現していることである。ダ・ヴィンチの手稿は彼の死後愛弟子が保管していたが、その愛弟子が亡くなると相続人たちによって散逸の憂き目にあう(まったく、何たることかcrying)。現在残っている断片は6000ページあまりだそうである。
手稿はイタリア語で書かれてはいるが、当時のフィレンツェ方言、鏡文字で走り書き、単語の羅列だけだったり、句読点もほとんどなかったり、図面も複雑だったり単純だったり、自分だけがわかればいいというものである(あるいは他人にアイディアを盗まれないようにする目的もあったらしい。わざと間違ったことを書き込んでいたりもするのだそうだこの手稿の一部は2005年「レスター手稿展」として日本にも来て、私もそれを見ている)。それを解読して、15世紀当時のイタリアで使われていた材料や技術で道具を作る作業は困難を極めたとのこと(作ったのはイタリアの技術者チーム)。実際の作品に並べて置かれた手稿を見れば、その困難さは想像に難くない。
③手稿に基づいて製作された道具や機械によりその天才ぶりを肌で感じる
私はテレビで自動的に○○が作られる場面などを見ると、製造の流れの見事さより、その元となる機械を作った人のアイディアにまずは感銘を受ける。と言って理科系のアタマはほとんどない私であるから、ダ・ヴィンチの道具や機械の原理・仕組みについてはわからないことばかりであるが、実際に触って動かすことのできる作品もあり、力の伝わり方などが理解しやすくなっている。それにしても、そういう思考が今から500年以上も前になされ、ネジ1つから手作りしてアイディアを実物化したダ・ヴィンチの天才ぶりにはあらためて驚愕を覚えた。
天才というのは、その分野の広さについても言える。フライホイール、ボールベアリングシステム、コイルバネ、偏心カムなどは現在でも使われている、あるいはそこから発展している。飛行機、自動車、軍事技術(潜水艦、潜水服、戦車、機関銃など)、土木機械、水力機械、舞台装置、楽器、時計、光と視覚に基づいたスポットライトなど、果ては都市計画までアイディアは及んでいる。さらには当時かたく禁止されていた解剖に基づく正確な人体の把握。神経や血管の11本が細かく正確に記載された解剖図が15世紀のものとはsign03
「ウィトルウイウス的人体図」というコーナーでは人体を構成す各部の黄金比が示され、実際に私たちも測定してもらえる。しかし黄金比からは程遠い身体をもつ私は大勢の前で自分の数字が出てくるのは悲しいしcoldsweats02けっこう並んでいたのでパスしてしまった。

④モナ・リザ25の秘密
さて、この展覧会のサブタイトルにもなっている「モナ・リザ25の秘密」。フランス人工学技師パスカル・コットが24000万画素で撮影し解析した結果、25の秘密が解き明かされたのである。
ダ・ヴィンチが描いた当時の鮮やかな色彩が再現される(長い年月ゆえの顔料の退色、ニスの化学変化などで現在はくすんで見える)。元の絵には睫毛も眉毛もあったらしいことがわかる(これも時間の経過とともに油が溶けてしまったとか)。膝にはブランケットがかかっている(ブランケットを摑む指がはっきり見える)。肘は肘掛け椅子にのせられている(肘掛け椅子がちゃんと見える)。左目の脇にある「できもの」のようなものは、実はナポレオンが浴室に飾っていた際ニスに水滴が飛んでできたものである。等々。
そして最後には「最後の晩餐」が実物大で展示され、圧巻である。
今日明日の2日を残すのみになってしまったが、お時間と興味のある方は是非是非sign03(なお、会場にはトイレtoiletがないのでご注意を)

ちなみに、私は一般当日券1800円のところ火~金18時以降のみ入場可能な500円のナイトミュージアムチケットを購入しておいたのだが(そのうえ、図録も500円に値下げされていた。ビックリして販売員さんに確認したほど)、このような素晴らしい展覧会をこんな低料金で見られたのは超お得であった。音声ガイドを借りてみたが、参考程度というところか。
この展覧会には「ダ・ヴィンチもう一つの秘密」という謎解きゲームらしき日にち限定イベントがあったのだが、日程が合わず(本当は先週行く予定だったのに天候やらなにやらで延期になってしまったのも一因)残念ながら参加できなかったのがとても残念bearing

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コメント

>S.F.さま
アート映画を3Dで見るような展覧会でしたね。不思議な企画でした。会期末は70%オフのチケットが発売になっていたような記憶があるのですがナイトミュージアムでしたか。
ナポレオンの仕業が笑えました。

投稿: とみ(風知草) | 2011年2月21日 (月) 20時22分

とみ様
コメントありがとうございます。
とみ様がこの展覧会にいらっしゃったので、私も俄然気になり出したんですよ。見ることができて、本当によかった!!
とみ様のおかげです。ありがとうございます(^^)
ナイトミュージアムは、チケット代もさることながら、お勤めの方にはいいアイディアだと思いました。
ナポさん、まったくやってくれましたねえcoldsweats01 しかし、あの絵を浴室に飾るとはなんという贅沢!!

投稿: SwingingFujisan | 2011年2月21日 (月) 21時07分

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