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2011年2月 3日 (木)

遠くで自分を見ているような与兵衛

21日 二月花形歌舞伎第二部初日
第一部が15時過ぎに終わった後、第二部まで1時間強ある。第一部も第二部も食事の時間がないので、通しだと案外おなかがすく。で、ファストフードでもと思ったが、うろうろ歩いているうちにナチュラルローソンをみつけ、ついにアサイー(どれくらい前の話だったかしら。三津五郎さんが「はなまる」か何かの番組で、目がしゃきっとするんだと言っていて、以来ず~っと探していたのだ。その後aki様がナチュラルローソンで見つけられたとブログに書いていらしたのだけど、ナチュラルローソン自体がなかなか見つからなかった)を買ったscissors
「女殺油地獄」
定式幕の裾から水布が見えたので「?」と思ったら、舞台は野崎参りの船が行き交う川になっていた。与兵衛の思い人・小菊も好かない客と屋形船に乗っている。いつもは「徳庵堤」から始まるのが、今回は「屋形船」の場が入るのだ。すれ違う船ではそれぞれの客どうしがケンカしたりして賑やかである。この場は初めて見る。
あら、小菊の役に笑也さんが。筋書きには高麗蔵さんとあったけど…。幕間に係りの人に聞いたら「高麗蔵さんは休演です」って。もっとも、終演後ホワイエに降りたらちゃんと貼紙が出ていた。体調不良のため休演だそうで、係りの人の話では、復帰についてはまだ何もわかっていないとのこと。
笑也さんは第一部でも美しかったが、小菊もとてもきれいで、でもふと「大地の詩」の写真を思い出してしまっていかんいかんと、慌てて悪役・笑也のイメージを追い出した。
与兵衛の最初の登場は仁左様かと思った。染五郎さんの与兵衛は小心なお調子者で、こういう若い子、今でもいるいると思う。無邪気にやんちゃをしている時はいいが、ふと心ここにあらずという感じの時がある(上の空というのではなくて、どうでもいいや、というか…。投げやりというのともちょっと違うが…。う~ん、うまく表現できない)、そういう自分をどこか遥か遠くで別の自分が他人事のように眺めているように見えた。そこが実に怖いのだが、与兵衛はそういう自分が一番かわいく、自分に甘えきっている。仁左様に比べて現代的な印象を受ける染五郎さんの与兵衛(はっとするほど仁左様に似ていると思うことがある)は暴れ方もリアルで家庭内暴力さもありなん、怖さがある。お吉を殺して花道を引っ込む染五郎さんには蒼白感があってドキドキした。花道が短いのが残念。

彦三郎さんはほとんどプロンプ付きだったが私にはそれが邪魔になることはなかった。芝居に味わいがある。ただ、徳兵衛にはちょっと立派過ぎるかなというきらいもないではないが。それと河内屋の場面では、裏で準備する大道具の音がけっこう聞こえてきたのがちょっと…。
治郎さんのお吉は
2度目だが、今回はよりはっきり「亀治郎のお吉」が感じられたような気がした。勝気な性格が前に出て、しょうのないやんちゃ坊主をほっとけない世話焼きも押し付けがましくなく自然で、私はとても好きだ。前回の松竹座では「死にたくない」という悲痛な叫びが耳に残ったが、今回はその言葉はむしろ独り言のようで、なぜ殺されなくてはならないのか、という不条理感が強く漂っているような気が私にはした。
お吉殺しの後、平然と小菊のもとへ通う与兵衛。客席通路を通って姿を現すのだが、そこで客席いじりのサービス。同行の仲居(千寿郎さん? ごめんなさい、違うかも)に謎掛けを吹っかけられ、困りきっていた染五郎さんだが、「美しいお着物とかけて?」に「整いました、ルテアトル銀座と解く」「その心は?」「一度はきてみたい。よへっちです」。そのほかの客いじりはよく聞こえませんでした。
あの凄惨な場面の後だから、こっちはちょっととまどうが、他人事のように自分を眺めている与兵衛だからそういうことができるのか、と思った。ここまで上演されることによって、美学で終わらないリアルさが再び感じられた。

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コメント

こんばんは。
高麗蔵さんは義弟の門之助さんブログによれば、「予防注射したのにインフルエンザ」だそうです。
私は注射打っていないので、外出は要注意ですヮ。

投稿: とこ | 2011年2月 3日 (木) 23時48分

とこ様
情報、ありがとうございます!!
高麗蔵さん、やっぱりcoldsweats02 これだけ流行っているのでインフルではないかな、と思っておりました。
母の施設でも予防注射をしたのに感染した方がいらしたようですよ。甘くみることはできませんね。私も毎年脅かされながらかかったことがないので油断していたらやられましたし。これじゃあ、一度かかったから免疫ができたと安心してもいられませんねwobbly
とこ様はどうぞくれぐれもお気をつけて。

投稿: SwingingFujisan | 2011年2月 4日 (金) 02時30分

>S.F.さま
9年前に拝見したときから、与兵衛は染ちゃんのもんと思うとりました。ちゃらんぽらんで、ええ加減でどないしょもない子やけど、甘えたで可愛げがあって…。
卑怯と豹変(ほんまに)が似合う役者さんですなあ。

投稿: とみ(風知草) | 2011年2月 5日 (土) 09時46分

とみ様
卑怯と豹変が似合う--ああ、実にうまいことをおっしゃる。本当にその通りだと思います。
どうしようもない子だけど可愛げがあるから、亀治郎お吉も放っておけなかったんですね。
華もあるし、染五郎さんなりの与兵衛が確立されたように思いました。

投稿: SwingingFujisan | 2011年2月 5日 (土) 18時14分

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