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2011年4月19日 (火)

美術の4月④:光と陰のレンブラントから対決の岡本太郎へ 2

414日 生誕100 岡本太郎展(東京近代国立美術館)
11041901taro_2 太郎展、第2弾です。
5章 戦争との対決明日の神話
2章で太郎が兵役につき抑留も経験したと書いたが、私の中で太郎とそういう戦争体験は結びつかない。命令されて描いたという「師団長の肖像」を見ていると、太郎はどんな思いでこれを描いたのかなあと考えざるをえない。
ベ平連が196743日にワシントンポスト紙に出した反戦メッセージ広告「Stop the killing! Stop the Vietnam War!」のために太郎が書いた「殺すな」の文字には胸を衝かれた。
メキシコオリンピックにあわせ高層ホテルの依頼で制作しながらホテルの倒産により長年行方不明になっていた巨大な壁画「明日の神話」。今渋谷駅に飾られているのは周知である(私も見に行って写真を撮った)。ここでは横幅11mの最終下絵が展示されている。こんな大きな壁画がそんなにも長い間行方不明になっていたことも不思議なら、見つかったことも不思議である。よくぞ発見されたものだ。「燃える人」は恐ろしい。
6章 消費社会との対決パブリックアート、デザイン、マスメディア

太郎は、作品が個人の手に渡るとその人だけのものになり多くの人の目に触れなくなってしまうことを嫌い、自分の作品を他人に売ることはほとんどなかったそうだ。そこでパブリックアートを手がけたり、生活の中に芸術を導入したり、映画や舞台美術、果てはテレビ出演にも意欲を見せた。
毎週見ていた「今夜は最高」の映像にはしばし足を止めて懐かしさに浸った。この頃の岡本太郎は目をひん剥いて腕を広げ「芸術は爆発だ」と叫ぶ奇人としてマスコミに扱われていたような気がするし、実際そういう姿に私も奇人と思っていたフシがある。
1961
62日~28日に上演された東宝歌舞伎の装置と衣裳を太郎が手がけたことは全然知らなかった。「新形式による歌舞伎」は三味線とオーケストラが共演した三番叟で、出演は若き日の市川染五郎(現・松本幸四郎)、中村萬之助(現・吉右衛門)兄弟。衣裳は背中の装飾が放射状に伸び、舞台には抽象的な松を描いた背景が設えられた。2人が力強く踊る写真を見ただけで私は嬉しくて飛び上がりそうになった。
生活の中の芸術としては、食器やチョコレートの缶のデザイン、ネクタイ、椅子など様々な小物がある。水差し男爵、ほしい!!
7章 岡本太郎との対決
部屋の中は「眼」がいっぱい。私たちは、それ自体眼をもち「坐ることを拒否する椅子」に腰掛けて、壁じゅうに掛けられた「眼」の絵画に囲まれる。この眼は全部太郎の眼なんだろうか。強烈な空間ではあるが、決して厭な気持ちにはならなかった。

エピローグ:受け継がれる岡本太郎の精神
太郎の後述を養女・岡本敏子が筆記して何度も筆を入れた原稿が展示されている。岡本敏子という人については、かつて何だったかのバラエティ番組だと思ったが(「今夜は最高」だったかもしれない)、太郎の作品の素晴らしさを愛情と熱意をこめて紹介していた姿が忘れられない。NHKドラマ「岡本太郎物語」で敏子を演じた常磐貴子がこの展覧会の音声ガイドをやっている(今回も借りていない)。

こうして見てくると、岡本太郎の作品の一部は知っていても、それは全然知らないに等しく、ましてや岡本太郎という人物の考えていたこと、悩みなど全く知らなかったのだと痛感した。強烈な作品の数々を見て「わかる」のではなく「考える」ことをしてほしいというのが太郎が私たちに投げかけたメッセージであるように思った。
岡本太郎展はすでに日曜美術館でも取り上げられており、もっと混雑しているかなと危惧したが、意外にもゆっくり見られた(と言ってがらがらではなく、けっこう人は入っていた)。
最後に「太郎の一言」が11枚もらえる。三角くじみたいにして引くのである。私が当たったのは上の写真。

 

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