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2011年5月 8日 (日)

願・再見:明治座花形歌舞伎昼の部

56日 五月花形歌舞伎昼の部(明治座)
明治座は3度目か4度目かなんだけど3階席は初めてで、階段がわからずに迷ってしまった。2階席からの専用階段があったのね(1階客席は建物の3階にあたるから、3階席は5階ってことね)。
「義経千本桜――川連法眼館」
亀治郎の立役を初めて「いい」と思った。私はこのブログにもよく書くが常々亀治郎は女方役者だと決め付けていた。立役をよくやるようになってからも、いい点があったとしても最終的には「やっぱり女方よねえ」となる。
それがこの忠信と狐はその考えを見事にひっくり返してくれた。
まずは忠信。堂々と立派で凛々しい若武者ぶり、線の細さは全然感じない。1000回は演じるであろうと亀治郎さん本人が語った「四の切」は、去年8月の亀治郎の会が出発点だった。あの時もそれなりによかったけれど、今度のほうがずっと見ごたえがあった。駿河次郎と亀井六郎に挟まれ引っ込む場面など、ぞくぞくするような美しい立ち姿であった(去年亀井をやった亀鶴さんが駿河次郎にまわり、亀井は弘太郎さん。3人の中で亀ちゃんの形が一番きれいだった)。
狐。悲しみと情に溢れ、狐ことばも全く違和感なく本当に狐が悲しい身の上を語っているようで、親を失った子狐の寂しい暮らしが目に浮かび、鼓をもらい浮けたときには思わず涙が滲んだ。
ケレンも見事。神出鬼没の出の早さには驚いた。ほんと、瞬間移動だゎ。膝を軸にしての回転は、軸が全然ぶれないのがすごい。ジャンプも高く、海老反りもきれい。亀ちゃんって何となく本ばかり読んでいて運動できなさそうなイメージが私にはあるのだけれど、踊りもやればこういう激しい動きもするんだもの、身体能力高いんじゃないね。荒法師との立ち回りもたっぷり楽しめる。
クライマックスの宙乗りは、最初に座席に坐った時に「もしかして」と期待したとおり、亀ちゃんはまっすぐ私目掛けて飛んできたのよ~(ってわけじゃないけど、位置的にそうなる)。バラしてしまうと、明治座の宙乗りの鳥屋は3階席より上にある――だから座席表に出てこない――。高い。そして最後に亀ちゃんが鳥屋に吸い込まれていく時の顔は私の席からは見えない。でも、桜の花びらがい~っぱい飛んできた。
型と心、その両方が亀治郎さんの芸に見られたように思った。
義経は、亀治郎の会と同じく染五郎さん。義経という人物はきっとこういう人だったんだろうなと思った。1000回の公演全部を染五郎さんが付き合うわけにいかないかもしれないけれど、私はこのコンビでできるだけたくさん見たい。
猿之助さんの歌舞伎をほとんど見ていない(見たとしても忘れている)のがとても悔やまれるけれど、亀治郎さんが継ぐことによってその残念さが埋められると思うし、それ以上のものが得られるだろうと期待している。
「蝶の道行」
前に梅玉・福助で見てとてもよかったから、ちょっと楽しみにしていた。上から見ているせいか、最初暗闇の中を差し金の先で飛び交う2羽の蝶(敢えて2羽と言わせて)が本当に飛んでいるみたいで幻想的だった。七之助さんの燃えるような情念が痛々しかった。どうもこれを見ると「緑の館」で火に焼かれる蝶(確か翻訳本では「蛾」とあったような記憶が…)が頭に浮かんでしまう。

「封印切」
歌舞伎座が閉場した翌月、演舞場で若手がオヤジ様たちが前月にやった演目に挑んだことを思い出す。先月藤十郎さんが円熟を見せた同じ演目をお江戸の若者がやる。まさにチャレンジである。そして私はなぜか忠兵衛は染五郎さんかななんて思っていた。イメージ的にも染五郎・忠兵衛、勘太郎・八右衛門なのかなあ、なんて。
でも途中ちょっと眠気に襲われてしまい(つまらなかったからではなくて、原因というか言い訳①朝アシがなくて遠回りせざるを得なかったため早起きした、②時間が経つと暖かい空気が淀む)、あんまりちゃんと見ていなかった。
勘太郎さんは愛敬のあるキャラなので、出も梅川とのじゃらじゃらも微笑ましく、ごく自然に楽しめた。演じる人が若いせいか、八右衛門とのやりとりも子供のケンカみたいなのについつい乗っかってしまって追い詰められていくのは忠兵衛におっちょこちょいなところがあるからだという気がした。偶然切れてしまった封印に蒼ざめながらも覚悟を決める、その成り行きにけっこうハラハラさせられた。しかしこっちの緊張がその辺で切れてしまい、その後はあまり覚えていない。
染五郎さんは八右衛門を楽しんで演じていた感じ。忠兵衛はガマンの役どころだろうが八右衛門はどうイビッてやろうかと、きっとどの役者さんも楽しいんじゃないだろうか。で、やっぱり染五郎さんの八右衛門が素敵に見えてしまう。
七之助さんの梅川は肝心のところをちゃんと見ていなかったのでなんとも言えないが、せっかくの喜びが実は悲劇だったことを知った後意外としっかりしているような気がした。それは悪い意味ではなくて、好きな人と死ねるのだからという梅川の芯の強さのようなものなのかな。

中村屋兄弟奮闘。父親の病気休演をカバーするような頑張り。勘太郎さんは自分が父親になった責任感もあるだろう。そういえば、嵐のメンバーはもう明治座に行ったのかしら(4月28日の「VS嵐」に兄弟が出演した時「見に行く」って言ってたものねえ。7日の「スマステ」ではもうコクーンの告知をしていたよ)。
おえんの吉弥さんが秀逸だった。秀太郎さんの影が時々ちらつきながら吉弥さんの個性もしっかり見えており、この先おえんは吉弥さんの役になるだろうなあと思った。今月の「演劇界」、吉弥さんのインタビュー記事が大変興味深い。
亀蔵さんの治右衛門はどうなんだろうと思わないではなかったが、雰囲気も意外にぴったりしていてよかった。
仲居おふさ役で小山三さんが元気な姿を見せてくれる。嬉しい。まったく予期していなかったのでびっくりして、登場の時には拍手を忘れてしまった。
再見するかどうか一度見てから、と思ったのが間違いだった。4日の時点ではチケットけっこう戻っていたのに、今はほとんどない。以後こまめにチェックするのみ。
<上演時間>「四の切」70分(11001210)、幕間30分、「蝶の道行」25分(12401305)、幕間30分、「封印切」80分(13351455

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