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2011年5月28日 (土)

何度見ても後味の悪い「幡随長兵衛」:團菊祭昼の部②

「幡随長兵衛」
團十郎さんが実にいい男だと思った。幕間に私の席の近くに舞台へ上がる階段が置かれたので期待していたのだ。颯爽と登場した團十郎さんのカッコいいこと。私は團十郎さんの歩き方が好きである。役者さんの歩き方ってそれぞれ特徴があるんだなあと改めて思った。
橘太郎さんは舞台番もいい。小柄ながらきっぱりと舞台を守ろうとする心意気が気持ちいい(もっとも刀を振り回されるとしょぼんとしてしまうけれど。そりゃしょうがないわなbearing)。
「公平法問諍」にジャマが入ると、公平役の市蔵さんははじめ半分面白がっているような表情で、だんだん心配そうになり、幡随長兵衛(團十郎)がその場を納めに出てくると力が入って後ろから後押ししている心が窺えて面白かった。慢容上人がいい味だなあと思ったら寿治郎さんだった。
ここでの團十郎さんはギョロ目と凄みのあるセリフが素敵。
長兵衛内の場では子分たちがよい。どんな芝居でもそうだが、観客の目は主役あるいはその時一番目立ってセリフを言う役に集中するだろう。しかしだからと言って脇がサボっていては興ざめもいいところだ。子分たちが長兵衛の家の雰囲気を作り、長兵衛という人物のあり方を客に教えるんだと思う。長兵衛の子分たちはケンカもするけど仲もよい様子が窺える。親分を慕っている様子もよくわかる。萬太郎クンと右近クンが若い子分らしくて「似合う」(とくに右近クン、こういう役いいじゃないsmile)。出尻の翫雀さんが長州小力にカブっちゃって、一度そう思えたら可笑しくて可笑しくて笑いが止まらず困ったhappy02
子役ちゃんがめちゃくちゃ可愛い。
團十郎さんは着替えがきりっとしていてカッコいい。それを手伝う時さま(あら、役名もお時なんだわ)は心配で動きも鈍りがちな心持か。私の中で長兵衛女房は心配しながらも覚悟を決めたかのようにてきぱきと細やかに手伝う藤十郎さんがとても印象的だった。時さまは割とあっさりした芸風の人だからもっときっぱり見送るかと思ったが、表情が暗かったのは私としては意外だった。
水野邸での團十郎さんは死を覚悟しながらも風呂を勧められたときに「そうきたか」と残念そうな表情に見えた。同じ死ぬにも風呂では…という気持ちかな。
しかしこの芝居は本当に後味が悪い。なのによくかかるよね。水野はさすがに文句なくいい役者が演じるけれど、それでも許し難い。菊五郎さんが最後にそっと手を合わせていたけれど、やっぱり許し難い。あんな卑劣なやり方で旗本の意地もないものだろうに。
せっかくの團菊の顔合わせ、この芝居が昼の部最後というのはちょっとならずかなり残念だと思った。
<上演時間>「女暫」55分(11001155)、幕間35分、「汐汲」20分(12301250)、幕間25分、「幡随長兵衛」95分(13151450

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コメント

SwingingFujisanさま
大阪にいらしていたのですね。
今年の團菊祭、昼の部はチケットを取っていたのですが、諸事情で行けなくなってしまって、夜の部のみの観劇となりました。
SwingingFujisanさまのご感想を読ませていただいて、なるほど~と想像を巡らせている次第。
時蔵さんの「女暫」観たかったな。

「幡随長兵衛」が後味が悪いというの、全く同感です。
前に歌舞伎座で観た時も、水野があの仁左衛門さんだったにもかかわらず、全く心を寄せることができませんでしたもの。
でも團十郎さんの幡随長兵衛はイナセな感じもよくお似合いだと思いますので、やっぱり観たかったです。

投稿: スキップ | 2011年5月29日 (日) 18時51分

スキップ様
こんばんは。コメントありがとうございます。
けっこう強行軍で大阪に行ってまいりましたcoldsweats01 今回はホテルも松竹座の近くに取りましたし、大阪の町をほとんど見ることなく歌舞伎のみの旅となりました。

昼の部、残念でしたね。私も時さま初役の「女暫」をご覧いただけなくて残念bearing

仁左様の水野は私も見ましたが、全く心を寄せることがおできにならなかったことに同感、同感!! どう見たって悪い役なのですから逆に人気役者が演じるのでしょうが、それだけによけい納得がいかない気がします(当時の感覚と現代の感覚とでは違うのでしょうかしらねえ)。ともかくこの芝居は、長兵衛役者のカッコよさが引き立ちますね。

松竹座は7月も楽しみですね。ぜひ遠征すべく、いま日程調整中です。

投稿: SwingingFujisan | 2011年5月29日 (日) 21時29分

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