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2011年6月27日 (月)

やっぱり歌舞伎:6月演舞場千穐楽夜の部

626日 六月大歌舞伎夜の部千穐楽(新橋演舞場)
未だ「淋しいのは…」に心残しつつ演舞場の千穐楽へ。でもやっぱり歌舞伎を見ると私は歌舞伎が好きだと思う。
「吹雪峠」
「陽の目を見ない秘密の間柄が燃えさせる」というおえんの言葉はまさにこの2人の関係を象徴している。そういう危うい関係であることをおえんは気づいていたのだろうし、その言葉を聞いて助蔵は「女ってこわい」と思ったのではないだろうか。
直吉に出会ってあんなに互いをかばい合っていた2人が豹変すると、客席から失笑というか苦笑というかが漏れた。
直吉が最後虚しい笑いを残しながら去るその顔を見たら可笑しげでもあり悲しげでもあり、「人生っていうのは笑えねえ喜劇だぜ」と言っているような気がした。
どうでもいいことだけど、小屋の中で消えかけた火を熾す場面が23度あり、そのたびにもうもうと煙が立ち上る。だけど誰も咳き込まない。新歌舞伎なのだからそのあたりもう少しリアル感があってもいいんじゃないかな、と思った。
「夏祭浪花鑑」
2
度見ても、吉右衛門さんの団七九郎兵衛はピンとこない。とりわけ義平次との立ち回りがあまりきれいに見えなくて…。
錦之助さんの磯之丞は他人様の世話にならなくては生きていかれないくせに、そうとはわかっていないようにも見える世間知らず、おっとりしたつっころばしのお坊ちゃまぶりがぴったり。バカだけど「しょうがねえなあ」と思わせる大らかさがある。そばで見ると時さまに似ていたな。
福助さんが前回観劇時と大違い。なんだか品がなくなっていてがっかりした。前回は表情もセリフも抑えられていたのに、今回は又口の動きが大仰になっていたし、セリフも粋を意識したのかもしれないが、私には下品にしか聞こえなかった。
義平次って、そばで見るとほんと、汚いの。イヤなじじいだ。段四郎さんがうまい。
歌六さんはそのかっこよさと大きさと愛敬に、女房でなくても「はりまやっ」と声をかけたくなる。芝喜松さんの女房は私は好きなのだけれど、上方というよりは江戸風な味わいを受けた。芝雀さん(ずいぶんスリムになった気がする)もかっこいい。仁左様のかっこよさは別格(格子の浴衣の写真がほしかったのに売れちゃったのか元々なかったのか…)。
要するに、この芝居はかっこよさが大事なんだと思うけれど…。
最後の「わ~しょい」の掛け声は、上方の「ちょうさや、ようさや」のほうが夏の強い陽射し・暑さがより強く感じられると思った。
この後の幕間で、金太郎が高麗屋ファンに囲まれていた。本当に上品できれいな顔立ちをしているなあ。で、その金太郎ちゃん、芝雀さんに連れられて歩く姿が6歳にしてすっときれいに決まっていて感心した。

「かさね」
時様がきれいで、花道七三すぐ近くにいた私はただただ見とれるばかり。時さまは手も小さくて指がほっそり。花道に置かれた傘をその小さな上品な手が取りあげた時には本当の女性のようでドキドキしてしまったわ。でも、後半醜い顔になった(醜くても「きれい~」)後は時々オトコが入っていたかなcoldsweats01 怒りの時蔵かさねはこわかった。殺しの場は凄惨な美しさ。
染五郎さんは<いい男>だわ~。与右衛門は悪事もそうなのだが、醜い顔になったかさねに無理矢理鏡を見せるところにその残酷さが象徴されているような気がした。本当の自分の姿を見せることは正しいかもしれないけれど、美しかった女性にそれを突きつける残酷さを与右衛門に感じた。
おまけ:帰り、楽屋口から種太郎クンが出てくるのに遭遇。歌昇さんも種太郎クンも今月昼の部がこの名前での最後の本舞台だったんだなあと、感慨を覚えた。

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コメント

こんにちは。
こちらにもお邪魔いたします。

>仁左様のかっこよさは別格(格子の浴衣の写真がほしかったの
>に売れちゃったのか元々なかったのか…)。
たぶんもともとなかったと思います。
でったいに買おう!と意気込んでじっくりと探しましたので。
期待していた筋書きにも格子の浴衣姿は1枚だけでした(涙)。

シネマ歌舞伎もう1回行っちゃおうかなぁのからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2011年6月27日 (月) 14時29分

夏祭りは上方物なのにもかかわらず、江戸っ子のようなカラッとしたかっこ良さが必要なお芝居ですよね。首抜きや市松の浴衣など、衣装もいいですよね〜!
仁左様はもちろんですが、なんと言っても歌六さんの三婦が絶品でしたheart04
私にとって、団七は勘三郎さんのイメージが強過ぎて、他の役者さんが浮かびません…(海老蔵で見たぐらいかな?)
意外とニンが難しいお役なのかもと思いますが、Swinging Fujisan様はどなたので見た事がありますか?

投稿: 林檎 | 2011年6月27日 (月) 22時59分

からつぎ様
こちらにもありがとうございます。
浴衣姿はなかったのですか、やっぱり…。筋書きにはきっと載っていると期待していたのです。ポスターも浴衣じゃないし、あとは「お願い『演劇界』」というところです。

シネマ歌舞伎、まだ行かれないんですよ。私もリピートするつもりで張り切っていたのですが、初回いつ行かれるやらgawk 自分で時間を作って行かなくちゃダメですね。

投稿: SwingingFujisan | 2011年6月27日 (月) 23時40分

林檎様
こちらにもありがとうございます。
私もこのお芝居に何となく江戸の空気を感じます。演じている役者さんがお江戸の方ばかりだからなのかなあ。上方の役者さんも時々演じているようですが、圧倒的にこっちのほうが多いですね。
私が最初に見た団七は吉右衛門さんでした。その後、コクーンの勘三郎、歌舞伎座の海老蔵、そして再び吉右衛門です。私も団七というと勘三郎さんと思っていたのですが、今記憶に強く残っているのはどういうわけか海老蔵さんですcoldsweats01 おっしゃるとおり、誰でもできる役ではないなあと思います。

投稿: SwingingFujisan | 2011年6月27日 (月) 23時56分

おじゃまいたします。
私は断然!愛之助さんの団七が好きです。大阪・堺出身の愛丈ですからね、捨て台詞っぽいひとことも浪花の男そのものですし。個人的にはニンだと思いますし、ダントツで大好きです。

投稿: aki | 2011年6月28日 (火) 02時00分

aki様
おはようございます。コメントありがとうございます。
上演記録を見ると、平成以降に限っていえば上方の役者さんは翫雀、藤十郎、愛之助の3人しかやっていないんですね。あちらのお話なのに不思議な気がします。
上方の役者さんの団七は見たことがなく、ですから愛之助さんの団七も見たことがないのですが、aki様の「断然!」に愛之助さんの刺青姿、浴衣姿が目に浮かんできて、本物の浪花男を見たくてたまらなくなりました!! 

投稿: SwingingFujisan | 2011年6月28日 (火) 10時53分

たびたび失礼いたします。

愛之助さんの団七は、松竹座と御園座でしたからね…東京でも見たいです。季節感は完全無視ですが新春浅草とかでどうでしょ。浅草もお祭りに合う町だと思うので、けっこう良いかなぁと思います。もちろん亀鶴さんとのコンビで(^ー^)

投稿: aki | 2011年6月28日 (火) 11時57分

aki様
東京でもぜひやってほしいですよね。
浅草、いいですね!! 演舞場では真夏に「吹雪峠」ですし、年に1回しかない浅草ですもの、季節感無視OKだと思います。ほんとほんと、お祭といったら浅草ですしね(^^)
亀鶴さんとのコンビにお辰は亀治郎さんで(これ、御園座トリオですね)、是非見たいものですわ~。

投稿: SwingingFujisan | 2011年6月28日 (火) 17時01分

再び、失礼します!
akiさんのコメントを見て、そうそう、愛之助丈がいましたね。
う〜ん、絶対カッコいいわぁぁ。亀鶴丈、亀ちゃんとの配役に私も一票!
あ!でも海老、らぶ、菊ちゃんでも見たいなぁ。
松竹にリクエストしたいぐらいですねheart02

投稿: 林檎 | 2011年6月28日 (火) 20時44分

林檎様
愛之助さんの団七だったら文句ありませんよね。
海老蔵、愛之助というのは演舞場でもありそうな気がします(お辰は誰なのか…菊ちゃん、いいですね)。
そのうち、明治座でもかかるかもしれませんね。

投稿: SwingingFujisan | 2011年6月28日 (火) 23時37分

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