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2011年6月 3日 (金)

演舞場初日昼の部まとめて

62日 六月大歌舞伎初日昼の部(新橋演舞場)
やっぱり初日観劇はウキウキするなあと思った(5月は初日を避けたので)。
ちょっと早めに東銀座に着いて、雨なのでそのまま演舞場に向かったら、前から見たことあるような人が歩いてきた。う~ん、誰だったっけ。と、すれ違った瞬間「歌昇さん?!」 いや、でも1020分頃だったから最初の演目に出演する歌昇さんがそんな時間に楽屋入りするわけないか。どなただったんでしょ。
演舞場入口前ではなぜか静岡朝日放送が取材をしていた。
後日もう一度見るので今回の感想は簡単に(ちょっと分量の多い仕事もあって)。
「頼朝の死」
ついこの間見たばかりのような気がしていたけど、前回上演は去年の10月だから一応半年以上は経っていたのか。
「法華堂門前」の場は非常にテンポが悪かったが、大江広元が登場してからよくなってきた。「将軍家御館」の場でも途中まで何となくぼんやりした印象だったが頼家が重保を問い詰めるあたりから緊張感が出てきて、ぐいぐい引き込まれた。
歌昇さんの広元に懐の大きさがあった。重保が問い詰められている間の鋭い目も印象的だった。
重保(愛之助)は、私は誰がやっても好きになれない。セリフの多い真山青果だからと言ってしまえばそれまでだが、その苦悩のセリフの多さ、泣きの多さがどうにも好きになれないのだと思う。男は黙って苦悩せよ…それじゃあ、芝居にならないか。
では頼家(染五郎)のほうはどうかといえば、こちらはさんざん苦悩を口にしてもそれが理解できるのだから、いやそれどころか同化してしまうのだから私もいい加減なものだ。父親ほどの存在感も求心力もないことを自分でわかっている頼家がいくら自分を主張したくても「家は末代、人は一世」の前にはどうしたって無力なのが何となく身につまされるからかな。染五郎さんにははじめのうち梅玉さんの影が感じられたが、激しさが増すにつれ吉右衛門さんが重なってきた。顔も吉右衛門さんに似て見えた。
時さまの政子はこれまで見た中で一番気性が激しいような気がした。いいかどうかはわからないが、人間臭さが見える政子だ。ただ、小周防が秘密を喋ろうとした時の慌て方はもう少し抑えてもいいのではないかしら。
孝太郎さんの小周防はひたすら重保を慕う様がかわいらしかった。
小周防に従う音羽は小周防より年上だと思うが、先月も「蘭平」で行平夫人で落ち着いたところを見せた梅枝クンが年長者らしさ、さらには侍女としての心を見せていて感心した。
先月、幸四郎一門になった中村紫若改め松本幸雀さんが侍女役で登場。
「梶原平三誉石切」
「石切梶原」がこれまで見た中で一番面白かったのは、みんなが苦しいだけの重いドラマの後だったから、だけでもあるまい(考えてみたらこの芝居も頼朝が絡むお話なのね)。
吉右衛門さんの愛敬(引っ込みがとくに)と大きさ、鋭さがいい。こんな名刀初めて見たと言う梶原の嬉しそうな顔、目利きをした自分を差し置いて試し切りをしようとした俣野をたしなめる貫禄、六郎太夫父娘に対するやさしさ(二つ胴の試し切りでてっきり切られたと思っていた父親が生きていたことを喜ぶ娘を見つめる吉右衛門さんの表情の変化)、この梶原はやっぱり吉右衛門よねえと思う。試し切りの前と石切りの後にさりげなく手指をボキボキやるのが可笑しかった。

歌六さんの六郎太夫と芝雀さんの梢父娘が情愛漂わせて、そっか「沼津」でもこの2人は父と娘だったんだわと思い出す。こっちはハッピーエンドでよかった。芝雀さん、顔から汗がぼたぼた落ちる熱演だった(劇場は、エアコンがかかっていたのかいないのか、けっこう暑かった。外が寒いから気持ちあったかめの格好をして行ったが、扇子を持たずに出たことを後悔)。
段四郎さんの大庭、歌昇さんの俣野、由次郎さんの剣菱呑助(私の中では秀調さんなんだけど由次郎さんも情けなさがよかった)と役者が揃っている。錦之助さんが飛脚・早助(剣菱呑助同様、名前が面白い)でちょいとだけ出演。
葵太夫の義太夫とともに、「歌舞伎」を堪能した。
「連獅子」
「頼朝の死」の前回上演が昨年10月なら、「連獅子」も同じく10月だった(御園座11月は見ていない)。そして獅子モノという括りなら先月松竹座「春興鏡獅子」に続き、来月は演舞場でも海老蔵の「春興鏡獅子」がかかる。3カ月連続お獅子だ(獅子モノ好きだから嬉しいけど)。
空席がいつの間にか埋まっていたのは「連獅子」お目当てのお客も多いのだろう。
感動した。ちょっと泣きそうになったりもした。
仁左様に緊張がみられた(そりゃそうでしょうねえcoldsweats01) でも仁左様嬉しそうでもあった(そりゃそうでしょうねえhappy01)。決して踊り巧者ではないと思うが、その踊りは清々しい。真っ直ぐな踊りで気持ちがそのまま伝わってくる。谷に蹴落とした仔獅子を案じる姿に胸打たれる。
千之助クン、なんて可愛らしく、なんてしっかり踊ったことだろう。千ちゃんが初舞台を踏むに当たってのドキュメントを見たことがあるけれど、あの時、千ちゃんの見得の首振りに合わせて、見守る仁左夫人と孝太郎夫人が一緒になって首を回していたのがとても印象的だった。その千ちゃんがしっかり首を回して決め、トンとジャンプも力強く、バッと両手を広げる勢いもよく、一生懸命親獅子のもとへ駆け上がろうとする姿に胸打たれる。
獅子の毛振りはゆったり振る仁左様、しっかり振る千ちゃん、胸打たれた。
間狂言は錦之助、愛之助の2人。軽妙で楽しかった。
傳次郎さん、傳左衛門さんの鳴り物が聴けたのも嬉しかった。
<上演時間>「頼朝の死」88分(11001228)、幕間35分、「石切梶原」80分(13031423)、幕間25分、「連獅子」52分(14481540

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コメント

おはようございます。初日のレポ楽しく読みました。私は10日過ぎの観劇です。吉右衛門の梶原、仁左衛門の連獅子大変楽しみです。
 8月、9月の演目も結構楽しみな演目が多いですね。私としては、最近の吉右衛門は内面を鋭く掘り下げる反面、やや派手さがないのが気になるのですが、寺子屋、やはり期待です。ところで、8月の新作歌舞伎のG2については、全く不案内なのですが・・・・

投稿: レオン・パパ | 2011年6月 4日 (土) 10時19分

レオン・パパ様
おはようございます。コメントありがとうございます。
吉右衛門さんはおっしゃるとおり、ちょっと地味だと私も思います。そのせいか、「見たい!」という気持ちがあまり高まりません。そのくせ舞台を見るととっても感動するのですcoldsweats01 この梶原は演目自体が明るいせいか、そういう意味でもよかったと思います。

G2は以前に何か見たはずなんですが、忘れてしまったcoldsweats02 その後「江戸の青空」のチケットを取っていたのに行かれなくなり…ということで私もよくわかりません。意欲的な舞台を次々に作っているようですので期待しましょう。

投稿: SwingingFujisan | 2011年6月 4日 (土) 11時05分

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