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2011年6月 6日 (月)

梅雨時に真冬→真夏へ:演舞場夜の部

六月大歌舞伎夜の部(新橋演舞場)
夜の部をこんなに早い時期に見るのって私としては珍しい。
「吹雪峠」
登場人物は3人だけという心理劇。超季節はずれの演目だけど、暑さを忘れさせてくれるという意味ではいいかもcoldsweats01
愛之助さんが助蔵初役? この演目は2年前の2月に愛之助・獅童・七之助で(松竹座)見ていて、そういえばあの時はラブリン直吉だったっけと思い出した。
モーレツな吹雪の中、人目を忍ぶ仲である男女(助蔵・愛之助、おえん・孝太郎)がよろよろと今にも倒れそうに登場する。松竹座ではこの2人、花道スッポンから現れたけれど、今回は下手寄りの舞台奥から。実は先に言ってしまうと、最後に直吉がスッポンから去っていく(松竹座ではどうだったか、自分の記録になく、記憶にも…)。ここに何か意味があるのかどうか、私にはわからなかった。
さて2人は1軒の山小屋を見つけ命拾いする。病身の助蔵を甲斐甲斐しく介護するおえん。やっと人心地ついた2人。ここへ1人の旅人が小屋へやってくる。あたたかく迎える2人だが、その旅人こそ直吉(染五郎)であった。そしておえんは助蔵のアニキ分である直吉の女だったのである。不義、偶然の再会、死の恐怖――ここからドラマは思いがけない方向に展開していく。
今回は3階最後列からの観劇だったので、3人の細かい表情がオペラグラスを通してもよく見えなかったが、おえんが口移しで薬を助蔵に飲ませる場面、直吉の表情はむしろ無表情に思えたのに、突然煙管を落とす。それだけ衝撃だったのだろうが、ちょっと唐突なような…。松竹座のラブリンの瞳の奥には燃えるような嫉妬があった。次回、もっと近くでそのあたりを確かめたい。
愛之助さんの助蔵はとてもよかったけれど、突然の豹変がよくわからなかった。獅童さんが豹変したのは「わかる」気がしたのに、愛之助さんの助蔵は誠実そうなんだもの(獅童さんはコミカルで、とにかく笑わされた。それが本人にとって不本意だったかどうかはわからない)。しかし、今思えばそういう誠実そうな人間でも極限状態に置かれたらエゴが表に出てくるということなのかもしれない。ただ、歌舞伎としてはもう少しわかりやすいほうが面白いのではないだろうか。
孝太郎さんは決して美形ではないけれど、おえんに合っていると思った。おえんと助蔵の仲を直吉に決定的に印象付ける場面である口移しのところなど、口の中でよく噛み砕いてさらに白湯を含む姿が色っぽかった。
小屋の中に残された2人は松竹座では大喧嘩、今回は呆然とするのみ。このラストの違いが2人の行く末の違いを暗示するようで興味深い。
染五郎さんがニヒルな感じでカッコよかった。
孝太郎さんと愛之助さんのセリフに、たまにだけど、プロンプターの声が聞こえたような気がしたのは気のせい?

「夏祭浪花鑑」
真冬のあとは夏へひとっ飛び。幕間の裏方さんたちは大変。幕間時間は大道具の組み換えというよりは雪の始末のためのようなものじゃないかと思うほど。
実を言うと、私は吉右衛門さんの団七はそぉ~んなには好きじゃないうえに早くも前半途中で少し眠くなってしまったので、あまりまともな感想は書けない。次回に、ということで。
歌六さんの三婦がとてもよかった。すっかり老け役が身についている。私が歌舞伎役者中ナンバーワンだと思っている美脚もすてきhappy01
仁左様はヒゲを抜く姿がカッコよかった。団七とのケンカはやっぱり若手役者のようにはいかない…。
福助さんのお辰もたまに口のゆがみは見られたものの、以前のように下品でなく、抑えられていた。こういう役のときのセリフも以前は妙に力が入ったようで好きでなかったのに、今回はとても小気味よかった。
錦之助さんの磯之丞はぴったり。
団七が三婦の女房(芝喜松)を突き飛ばして琴浦(孝太郎)を追う場面で、「薬が入っている」からと団七はタバコ入れを女房に向かって投げてやるのだが、今日は玄関の扉にぶつかって、三和土に落ちてしまった。
段四郎さんの義平次は痩せて汚らしくて、どうしてこんなオヤジからお梶が生まれてきたのかわからん(と、いつも思う)。私の中で一番イヤ~な義平次は市蔵さんだったなcoldsweats01
金太郎ちゃんが可愛らしかった。
「かさね」
時さまと染五郎さんで年齢差を危惧していたけれど、全然違和感なく、いいバランスであった。それほど時さまは若く美しく、可愛らしく一途であった。花道で御高祖頭巾を取る時さま、ちょっと手間取ってハラハラした。醜い形相になってからも時さまは美しい。
染五郎さんの美しさがステキ。海老蔵さんほどのワルさはみられず、むしろかさねを哀れに思う気持ちのほうが感じられた。
また、全体にドロドロ感は薄かった。でも、とにかく美しさが溢れていたからとても満足。
<上演時間>「吹雪峠」30分(16301700)、幕間25分、「夏祭浪花鑑」130分(17251935)、幕間30分、「かさね」50分(18051855

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。

昼夜ともの感想アップ、ありがとうございましたm(_ _)m
今週の木曜日にまず夜の部を見に行きまっす!

>歌六さんの三婦がとてもよかった。すっかり老け役が身についている。
>私が歌舞伎役者中ナンバーワンだと思っている美脚もすてき
ぢつはここに反応(^_^;
うふ、大好きなんですもの→歌六さん♪

楽しみが増えましたぁ(^-^)

松竹座のチケットを無事ゲットしたからつぎでした(^-^)v

投稿: からつぎ | 2011年6月 6日 (月) 17時22分

からつぎ様
こんばんは。コメントありがとうございます。

木曜日ともなると舞台もだいぶ進化しているでしょうね。
仁左様はやはり何と言っても「連獅子」ですが、夏祭にちょっと姿を現しただけで舞台が華やぎます。

歌六さんは重厚さも軽妙さも持ち合わせていて、いいですよねえ。そして脚をお見せになる役がけっこう多いように思うのは、私が気にしているからかしらcoldsweats01 

松竹座、結局私もユーワクには勝てず、取ってしまいました。楽しみですね!!

投稿: SwingingFujisan | 2011年6月 6日 (月) 23時34分

おはようございます。

予定通り昨夜行ってまいりました。
まずは染様にクラクラ。続いて家六さんに惚れ惚れ。出番は少ないけれど仁左様にメロメロ。普通は着物は少し恰幅のよろしい殿方のほうがお似合いになるのですが、あの薄い(失礼)体の立ち姿、後姿は本当にめまいがするくらい素敵です。夕べも「かっこいい。。。。」と何度もつぶやいてしまいました。
そして最後は時様にドキドキ。

いやぁ、堪能いたしました。実は私3演目とも生観劇は初めて。そのせいもあるのかもしれませんが、今年の演舞場でいっちばん楽しませていただきました(^-^)

来週の昼の部も楽しみぃ♪のからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2011年6月10日 (金) 07時59分

からつぎ様
こんばんは。ご感想のコメントありがとうございます!!
染様、カッコよかったですね。私がおえんなら直さんから離れないと思うけど…coldsweats01
歌六さん、頼もしく、かつケンカに行くところなんて若やいで。惚れ惚れという表現がぴったり。
仁左様の格子縞の浴衣姿、今でもはっきり目に焼きついていますlovely
時様もきれいで、役者さん皆さん脂がのっている感じがしました。

からつぎ様が3演目とも初の生観劇とはちょっとオドロキでしたが、今年の演舞場で一番楽しまれたとのこと、私も嬉しいです。そういえば、仁左様、本年演舞場初登場かしらhappy01

投稿: SwingingFujisan | 2011年6月10日 (金) 19時11分

SwingingFujisan様
お早うございます。昨日、演舞場夜の部みてきました。吉右衛門の団七は初見ですが、吉右衛門の柄の立派さとこの役の本来の在り様(生きのいい若い上方の侠客)との乖離があり、最後までそのギャップが埋まりませんでした。ただ、仁左衛門との顔合わせはご馳走で、大変楽しめました。この二人の顔合わせ、「寺子屋」あたりで再現してほしいものです。
ところで、長町浦の場の神輿の掛け声、東京風の「わっしょい、わっしょい」というのを、私は初めて見ました。最近(中村屋ほか)は大阪風の「よおさや、ちょうさ」ばかりなのではないですか。今回のをみて、改めてこの場は、大阪風の掛け声のほうが、より盛り上がるきがしました。

投稿: レオン・パパ | 2011年6月12日 (日) 08時37分

レオン・パパ様
おはようございます。コメントありがとうございます。
吉右衛門さんの団七、やはりそうお感じになりましたか。私は2回目なんですが、あまり好きでない理由もその辺りにあるのかもしれません。仁左衛門さんとの絡みが見どころでしたね。
神輿の掛け声--さすがにレオン・パパ様! 最初に声が聞こえてきたとき、なんだか違和感を覚えたんですが、それだったんですね。吉右衛門さんを見ながら、頭の中では、あの掛け声を弱々しく呟きながら神輿にまぎれるように去っていく海老蔵さんが思い浮かべていました(記憶はあやふやなんですけれど)。
千穐楽には注意して聞いてみます。

投稿: SwingingFujisan | 2011年6月12日 (日) 11時06分

演舞場でひさびさに行く前からわくわくして、楽しんで、今、なんかちがうかもですが、勝利の美酒みたいなのに酔っちょります♪
時さま☆ホントに若くて美しくてかわゆらしくて素敵でした~
染っち(Swingさまはそめちでしたっけ?)とのバランスもいいですね~♪♪♪
時さまといえば菊パパ、と思ってましたが、この組合わせもアリだと思いましたわ~
吹雪峠は私の中で松竹座のリベンジ?ができました!これで正解な芝居なの?ともやもやしておりましたので、今日、正解を見れた気がします。
染っち、かっこよかったですね~♪
でも孝太郎さんがらぶりんに走った気持ちがわかるような気がして、なんか、今日のはなっとくでした。
松竹座ではなんで七クンが獅童さんに走ったのかあんまりわかんなく…
夏祭は私も今日のは、ん~…吉さまは昼の部を楽しみにしますね!
コクーンの楽のご感想、楽しみにしております♪私は菊ちゃんにかなりきました~

投稿: 七子 | 2011年6月18日 (土) 22時00分

七子様
おはようございます。
コメントの公開とお返事が遅くなりごめんなさい。
松竹座の「吹雪峠」はコメディみたいになってしまいましたものね。
染五郎さん、ほんとカッコよかったですねえ。でもどこかに冷たさ(ああいう状況だったからかもしれませんが、人をぞくっとさせるようなもの)があるのかなぁ。助蔵におえんが走る気持ち、確かに獅童さんではわからない部分がありましたけれど、愛之助さんなら、ねwink
そめちsmile、将軍、ヤクザ、色悪と今月も大活躍ですね。

投稿: SwingingFujisan | 2011年6月19日 (日) 11時33分

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