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2011年7月 3日 (日)

海老蔵復帰、七月演舞場初日昼の部

72日 七月大歌舞伎昼の部初日(新橋演舞場)
11070301enbujo こっちがドキドキしてしまう海老蔵復帰の初日。演舞場に入ったら汗が噴き出してきて、落ち着くまでけっこうつらかった(歩いている時よりも止まった時のほうが汗って気持ち悪い。建物に入ってす~っと汗が引く気持ちよさは今年だけでなく当分期待できないだろう。でも、体が慣れてしまえば設定温度高めの冷房でも全然OK。ほんの数分なのよね、つらいのは)。
「鳥居前」
先月名古屋に行かれなかったし、本当に久しぶりの澤瀉屋。そして演舞場で澤瀉屋を見るのもかなり久しぶりな気がする。
門之助さんの義経の気品と大きさ。最後、静に「堅固で暮らせよ」と声をかけたときにはぐっときた。笑也さんの静も悲しみと愛を滲ませ、2人の間に通い合う切ない別れの感情にうるうるした。
早見藤太が寿猿さんでびっくり。可笑し味はあまりなく、意外とあっさりしていた。
弁慶の猿弥さんは、なぜかはじめあまりしっくりこなかったのだけれど、義経に怒られて大泣きするあたりからよくなってきた。静に、「とりなしてあげたんだから、今度は私のこともお願いしてちょうだい」と頼まれて断るのも納得できる弁慶であった。
右近さんの忠信は決めがとてもきれいで、怒りの凄まじさ、誠実な忠義心がよく感じられた。本舞台での立ち回りは初日のせいか、全体としていまひとつキレが悪かったような気がしたが、ラスト花道での立ち回りにはワクワクした。狐六方がしなやかかつ力強い。
とても楽しく見た。
「勧進帳」
3F
上手側、座席の後ろにずらっと並んだ大向こうさんの数がハンパない!! 山川静夫さんも立って声掛けしていらした。
五色の揚幕から登場した海老蔵さん、少し顔が痩せたかな。しばらくの間はあの海老蔵にして緊張している様子だったが、恐らく舞台にじ~っと坐っているうちに落ち着きを取り戻したのではないだろうか。声は、はじめは低調子で、弁慶の読み上げる勧進帳を覗き込むあたりから高調子に変わったような気がした。全体に富樫の心情がよくあらわれており、とくに強力が義経でないことを認め早く通れと促す時、自らの切腹の覚悟が見えて感動した。海老蔵オーラは決してなくなっていないことを感じて嬉しかった。
團十郎さんが海老ちゃんとの比較で妙に体が小さく見えてしまった。少し足が流れるようなところが見えたのは(1回、ハッとしたところがあった)、舞台が滑るせいなのだろうか。「おおなりた」の声がかかったのは初めて聞いた。
緊張感溢れる弁慶と富樫のやりとり、よかったです!!

梅玉さんの義経がとてもよい。花道で、行く末を弁慶に丸投げする義経、危機を脱し弁慶に手を差し伸べながらやっぱり弁慶に頼るしかない義経、そんな義経の気品と悲しみと、この方のためならと家来に思わせる人間性が出ていたように思った。

「楊貴妃」
初めて見るので楽しみにしていたが、これが意外とつまんなくて随分寝てしまった(寝てしまったからつまらなかったのか、つまらなかったから寝てしまったのか)。
幕開きは喜昇さんと歌江さんの絡みで「イエイ」と思ったけれど、その後は全体になんとなく「変なの」という感じ。中国物は「華果西遊記」も「国性爺合戦」も見ていて別に違和感ないのに、「楊貴妃」が変なのというのは、新歌舞伎だからだろうか。
天真(楊貴妃が貴妃になる前の名前)の3姉妹、気が強くておきゃんでハッキリしている春猿さんが笑わせ役。笑三郎さんは長女らしい落ち着きがあり、芝のぶさんはおとなしく可愛らしい。天真の福助さんは最初の場面ではあまりきれいでないし、どことなく男が入っていてピンとこなかった(4姉妹の中で美しさは春猿さんが一番)。もっとも楊貴妃となってからは高慢で妖艶な美しさがぴったりと思ったが、それでも時々男を感じてしまうのは、衣裳のせいなのかもしれない。たとえば2人がひしと抱き合う場面は、男性同士が抱き合っていることを意識してしまい、なんだかなあ…(「染模様」のほうがずっときれいだった)。様式美でいったほうがよかったのではないかしら。
海老ちゃん(高力士)はきれい。本当にきれい。でも、なんだか一本調子で宦官としての鬱屈したものが感じられず、つまらない。耐える役だっていうのはわかるんだけど、オーラもなかったし。
楊貴妃と高力士はともに氷と火の両方を内在させているのではないかと思うのだが、そのへんがイマイチな気がして。一方が火のときにもう一方は氷、氷が火になった時には火は氷に化す。その面白さが感じられなかったのだ。福助さんのほうがまだそういう感じを出していたけれど、セリフが上滑りするようで…。
そういう中で梅玉さんの玄宗皇帝がとてもよかった。女に溺れ自分を失ったことを自覚しながらどうにもできないでいるこの皇帝を「バカなやつだ」と笑えない何かがみられるような気がした。
次回観劇時にはもっと楽しんで見られるといいなという期待を残しておこう。

<上演時間>「鳥居前」35分(11001135)、幕間25分、「勧進帳」71分(12001311)、幕間35分、「楊貴妃」95分(13461521

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

「おおなりた」は以前、仁木弾正の時に聞いたことがあります(^ー^)

今月は後半までお預けなので…それまでソワソワしそうです(゜ロ゜)

投稿: aki | 2011年7月 3日 (日) 12時36分

SwingingFujisan様
 こんにちは、今日も暑いですが、昨日も暑かったですね。最初、なかなか汗が引かず大変でした。私も昨日、海老蔵復帰の昼の部見ました。Fujisanさんとは、ニアミスでした。
 なんといっても、「勧進帳」です。あまり、あれやこれや思わず、歴史的な場面にいる自分を楽しみました。海老蔵の口跡というのは、いつも思うのですが、優しいお兄さん風の声ですね。団十郎の弁慶、熱演でしたが、延年の舞いで、足元が危なっかしい部分がありはらはらしました。
 「楊貴妃」私も同一の感想(初見です)です。大仏次郎らしい純愛物ですが、新派も関係があるせいか、楊貴妃姉妹のせりふが、大正・昭和の山の手言葉そのもので妙なレトロ感がありました。しのぶが良い役だなと思いましたが、笑三郎、春猿も同じ国立研修生出身なのですね。あと、私は猿弥の将軍に存在感を感じました。

投稿: レオン・パパ | 2011年7月 3日 (日) 15時42分

aki様
こんにちは。
おお、そうでしたか。「おおなりた」は以前にもかかったことがあるのですね。団十郎さんももうじきおじいちゃまですものねsmile

楽しみが先にある分、たくさん期待してください(^^)  何と言っても富樫がステキです。

投稿: SwingingFujisan | 2011年7月 3日 (日) 17時16分

レオン・パパ様
こんにちは。暑いですねえsweat01 明日はもっと蒸し暑いとか。ガマンするのみです。
初日がご覧になれてよかったですね!! 私もあの場で「勧進帳」を見られる幸せを噛み締めました。
小泉元首相もいらっしゃったようですが、気がつきませんでした(夜の部のご観劇だったのかしら。もっとも同じ昼の部だとしてもこちらは3階席ですからcoldsweats01)。

海老蔵さんの声には確かに優しさを感じることがあります。容姿にも声にも恵まれているのですから、一層の精進を望みます。

「楊貴妃」はなるほど、新派なら合うかもしれませんね。笑三郎・春猿・芝のぶの3姉妹は嬉しかったのですが、もうそこからついていけなくなりましたcoldsweats02

春猿さんと芝のぶさんは養成所の同期(9期)ですが、笑三郎さんは養成所出身ではなかったと思います。笑也さんは養成所5期です。芝のぶさん、可愛かったですね!!
猿弥さんの将軍、そういえば「鳥居前」の弁慶よりいいなと思ったのを思い出しました。

投稿: SwingingFujisan | 2011年7月 3日 (日) 17時38分

こんにちは。 昨日は私も昼夜参加しておりました。海老さま復帰で注目されておりますが、澤潟屋一門久しぶりの演舞場出演がとても嬉しいですwink

御年80歳の寿猿さんの藤太はギネス級ではないかしら? 夜の部の歌江さん共々嬉しい出演ですが、ただ、この時期体調が心配ではありますcoldsweats01

「楊貴妃」は三人の姉の場面がとても楽しく、特に春猿さんの二の姉のキャラが春猿さんにぴったりで良かったです。
春猿さんのお父さま、お母さまもご観劇でしたので、幕間にその事をお話することが出来、嬉しかったです。 その後の楊貴妃sleepyタイムになってしまったのが残念です。 

投稿: maroon6 | 2011年7月 3日 (日) 18時41分

maroon6様
こんばんは。コメントありがとうございます。
澤瀉屋さん一門は正月公演がなくなってしまって淋しい思いをしていましたので、このたびのご出演、私も嬉しく嬉しく拝見しました。
寿猿さん、80歳ですか!! 貴重な藤太にですね。可笑し味という点ではあっさりしているように思いましたが、飄々とした感じはよく出ていましたね。お体に気をつけて、1カ月無事に務め上げていただきたいです。

春猿さん、とてもきれいでしたねえ。ああいうキャラもぴったりですが、楊貴妃を演じられてもいいのではないかと思いました。それに、この芝居も猿之助風に味付けしたらもっと面白くなるでしょうし(maroon6様もsleepyでしたのね。私も気がつくとsleepyでしたわ)。

投稿: SwingingFujisan | 2011年7月 3日 (日) 22時14分

いらっしゃってるだろうと思っていましたが、Swinging Fujisan様も3Fでしたか!
いやぁあの大向こう総出sign02かと思うようなスゴい数でしたね!劇場の方も入ってきて見ていましたね。
幕が開く前の「成田屋ぁっっっ」で思わず涙。海老蔵が出てきてあの満場の拍手で更に涙、涙でしたweep
最初は声が少しうわずっているようでちょっとハラハラしましたが、Swinging Fujisan様が仰るように座っている間に落ち着いたんでしょうねcoldsweats01顔にメスを入れた訳ですからまだ違和感は残るでしょうし、初日ですし、今後を見守っていきたいと思います。相変わらずオーラは健在だったし、復帰できた事が素直に嬉しいですhappy01
皆さん感じてらっしゃったようですが、私も團十郎さんがいつもよりキレがないようで気になりました。体調は大丈夫なのでしょうか?心労が続いたと思うので心配です…
「おおなりたっ」は私も以前聞いた事があります。花道の引っ込みで「当代一っっ」ってかかったのがとーっても嬉しかったです!

楊貴妃はあの三姉妹が出てる場面以外は私も寝てしまいました〜。
そうそう、吉野山の時に空席が目立っていたのがちょっと残念でした。オモダカ屋さんはもっと見たいですよね〜!寿猿さん、80歳とは大したものです♪

投稿: 林檎 | 2011年7月 4日 (月) 22時15分

林檎様
ねっ、あの大向こうさんの数、びっくりするほどでしたね。あれを見て、この日をみんなが待ち望んでいたんだなと改めて思いました。小泉元首相の言うとおり、まさに千両役者ですよ。富樫は本当によかった!! 海老蔵さんにはもう驕ることなく皆の期待をしっかり心に留めおいてほしいですね。
團十郎さんは心労もあっただろうし、相当お疲れなのかもしれません。暑いし身体に応えなければいいけれど…。
「おおなりた」は私も聞いたことあるのかなあ?? だとしても記憶から飛んじゃってますcoldsweats01

楊貴妃、やっぱりおネムでしたか。盛り上がったのは三姉妹のところだけでしたね。これから少しは進化するのかしら。

「鳥居前」、もっと多くの方に見ていただきたいです!! 朝一番の演目はどうしても空席が多くなりがちですが、久しぶりの澤瀉屋一門の演舞場出演ですし、いいお芝居なので見逃してはもったいないです。
寿猿さん、お若いですね!! 

投稿: SwingingFujisan | 2011年7月 4日 (月) 23時38分

こんにちは!
私は高力士が一番好きでした。
新しい海老ちゃんの魅力!
優しい女の子のようなイケメンが貴妃を殺すと決めた時、身体の線から代わり目には凄まじい狂気が。
玄宗皇帝にその役を持って行かせるところの狡猾な表情。
11代目の為のオリジナルだそうですが、この役こなせるのは歌舞伎役者では海老ちゃんだけでしょう。多分11代目も彼と同じ両性具有の魅力があったのでしょう。
2日からは幕間も短くなっていました。
江戸の夕映えの台詞も素晴らしくなっていましたね。歌舞伎十八番の素晴らしさは元よりこの四役を演じ分けさせた團十郎さんの真意が痛いほど分りました。
あと昼夜3かいづつ行きます!

投稿: 祐子 | 2011年7月 6日 (水) 15時04分

祐子様
こんばんは。
コメントありがとうございます!!
高力士は海老ちゃんにしかできない役--確かに!! その美しさはこの世のものとは思えないほどでした。ただ残念ながら私は「楊貴妃」のお芝居そのものが全体に楽しめませんでした。でも昼の部は後日又参りますのでその時はぜひ、海老ちゃんの新しい魅力の虜になってお芝居にも入りこみたいです!! 
夜の部は今週末を予定しておりますが、「江戸の夕映」は以前見たときの海老ちゃんが素晴らしくよかったので期待大です。

祐子様はこれから昼夜各3回ご覧になるのですか!! ということは全部で4回ずつも!! 
素晴らしいshine 

投稿: SwingingFujisan | 2011年7月 6日 (水) 21時16分

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