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2011年8月13日 (土)

8月演舞場第一部

811日 八月花形歌舞伎第一部(新橋演舞場)
ちょっと遅くなってしまったけれど、第一部、二部を通しで見てきた。初日はサッカーがあったのと、一部も二部も少し日を置いてから見たほうがいいかもと考え、かつ他の予定との関係で11日の観劇になった(一~三部ともリピートはしない予定)。
「花魁草」
北条秀司作の新歌舞伎。「残菊物語」(役者と女の悲恋)と「かさね」(親子で殺人の過去:かさねは父子、こちらは母子)に掛けた物語だそうである。
幕開きが安政大地震の翌朝といえば、どうしたって身につまされる。地震に続く火事で江戸の町は大混乱、大勢の人が逃げ歩いている。しかし、どこかのどかな風景なのは時代のせいなのか。
中川の土手下で一晩を過ごした歌江さんと橘三郎さんの小料理屋夫婦、土手を歩く玉之助さんと寿鴻さんの夫婦――どこかで無事に暮らしてほしいと願う。
ここの土手下で吉原の女郎・お蝶(福助)と大部屋役者・幸太郎(獅童)が出会う。
福助さんはとてもきれいなのに、ここの場面に品が感じられないのが残念。蓮っ葉な女郎の感じとその後の幸太郎の女房としての感じに差をつけようという気持ちはよ~くわかるけれど、蓮っ葉でも下品に落とさないのが歌舞伎ではないだろうか。村の豪農の娘(新悟)に嫉妬心を見せるところもちょっとやり過ぎなのはいつものことか。2人が頼る米之助(勘太郎)に自分の悲しい血を打ち明け、身を引く決意をする場面はとても哀れできれいで泣けたし、人気役者となった幸太郎の船乗り込みの見物人が船を追いかけて去ったあとの橋に1人残り、「芝居を見に行くからね、こうちゃん」ともう姿の見えなくなった幸太郎に呼びかけるお蝶にも涙が出ただけに、ちょっとした品の落とし方が残念で仕方ないのである。
私はこの芝居の獅童さんは、なんとなく物足りないものの、好きである。その物足りなさは、女より10歳も年下であることの頼りなさかもしれない。人気役者としての大きさももうちょっとほしかった。でも共に暮らした栃木の米之助の離れに6年ぶりに戻ってきたのに会いたかったお蝶はいない、「お蝶さ~ん」と悲しげに叫ぶ幸太郎にもうるうるした。
勘太郎さんの実直で面倒見のよいお百姓さん、その奥さんの芝のぶちゃんの真っ黒に日焼けした農家のおかみさん、この2人がぴったりといい夫婦で、心が和んだ。
お蝶と幸太郎が出た後の離れに住んでいるのが女按摩の芝喜松さん。みんなが大騒ぎしている船乗り込みを見たくても盲目の自分は見ることができないそれは悲しみというよりは諦めで、そういうことにこだわっていては生きていけないというような潔さみたいなものさえ感じられた。
船乗り込みは、実際に船を出すのかと思ったら人々の歓声と動きだけで想像するという趣向であった。まだ一度も船乗り込みを見たことがないからちょっと期待したんだけど…。
花魁草、植えてみたくなった。

「櫓のお七」
 
黄八丈の七之助さんの可憐な愛らしさ。大事に育てられたお嬢様のおっとりした風情がよく表れていた。下女・お杉の芝喜松さんに手を引かれて客席通路を歩くというサービスがある。「段々があるから気を付けて。お嬢様に怪我をされたら神谷町のおじいさまに叱られてしまいます」と芝喜松さんがさりげなく言うのに大笑い。この演目では芝喜松さんの味が活きていた。
 
人形振りは目を楽しませてくれるけれど難しいのだなあと思った。と同時に、燃える火のような熱さをもっと感じてみたかった。でも七之助さんの挑戦はこれからも見守っていきたいと思う。
 
<上演時間>「花魁草」82分(11001222)、幕間35分、「櫓のお七」32分(12571329

 

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コメント

初日の思い出?がよみがえってきました!どうもありがとうございます!
SwingingFujisanさまも初日にいらしてるのかな~と思ってました。
私も一回ずつの予定でしたが、思いがけずチケットをいただけることになり、二部と三部はもう一回ずつ見ます♪
人形振りはある意味得意かと思ってましたが、やっぱり意識してやるのはむずかしいんですね~…。亀ちゃんの見ちゃってますしね!でもこれからも見守っていきましょ~。どうぞよろしくお願いします!
次回の二部は萬次郎さんと橘太郎さん好きの妹と見ます♪妹の好き度が上がりそうで今から楽しみです!
間もなく稚魚の会(でいいんですよね?)ではないですか?亀ちゃんの会もありますよね!今年の夏もアツイですね☆
私も趣向の華のレポ、とってもうらやましくそしてまるで行ったかのような満足感で読ませていただきました。来年こそチケ取り参戦かな~…。先輩との夏休みかぶらなければ…。
また素敵なレポ、楽しみにお待ちしております!

投稿: 七子 | 2011年8月13日 (土) 22時21分

七子様
こんばんは。コメントありがとうございます。
8月は毎年、色々な公演があってうれしい悲鳴ですわ~。
七之助さんのお七は今後を楽しみにしましょう(私にとってもお七はやっぱり亀ちゃんなんですよねぇ、ごめんなさい)。
稚魚の会の公演は正式には「稚魚の会・歌舞伎会合同公演」だと思うのですが、長いのでつい「稚魚の会」と言ってしまいます。「合同公演」と言ったほうがいいのかしら。こちらも夏の大きな楽しみです!!

妹さん、萬次郎さんと橘太郎さんのファンでいらっしゃるのですねgood 私もお2人がだ~いすき。よろしくお伝えくださいねhappy01 妹さんとの第二部ご観劇、楽しいでしょうね。大いに盛り上がってくださいね。

趣向の華、来年のチケット取りは覚悟しなくっちゃcoldsweats01

投稿: SwingingFujisan | 2011年8月13日 (土) 23時39分

SwingingFujisan様
 おはようございます。一部のレポ楽しく拝見しました。私は北條秀司の作品が好きなので楽しみです、北條作品は新派、新国劇に書き下ろしたものにも傑作が多いので、可能な限り歌舞伎でアレンジして上演し続けてほしいものです。
 一二部は来週観劇ですが、三部は数日前に見てきました。予想通り、勘太郎がよくやっています。特にいいのが、うわばみ三次のいきの良さでしょう。みえのスパット決まる小気味の良さは若さ故でしょうか。
 ところで、前回の中村屋の所演から、最後の乳房榎の場が落語口演に変更されていますが、乳房榎の場を出した方が打ち出しには相応しいと思います。乳房榎の装置のチープさになんとも歌舞伎らしさがあるのですが。

投稿: レオン・パパ | 2011年8月14日 (日) 08時56分

レオン・パパ様
こんにちは。コメントありがとうございます。
北条秀司の作品(歌舞伎)は私も好きです。「花魁草」では福助さんが1~2の問題点を除けば(私にとって、品はかなり重要な問題点なんです)とてもよかったですよ。勘太郎・芝のぶ夫婦もいなかの人の大らかさと温かみが感じられて、いいお芝居になりました。

三部は、私は千穐楽までお預けです。勘太郎さん、好評ですね。一部・二部でも大活躍でしたから楽しみです。
「乳房榎」は前回が初見ですので違いがわかりませんが、そうおっしゃられると実際の場面を見てみたくなります。早替り3役は延若さんの後は勘三郎さんしかやっていないのですね。今後もこの役は勘太郎さんへと引き継がれていくのでしょうが、いずれは口演でない舞台もかかかるといいなと思います。

投稿: SwingingFujisan | 2011年8月14日 (日) 16時40分

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