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2011年8月22日 (月)

第9回亀治郎の会:葛の葉

819日、21日 第9回亀治郎の会初日昼の部・千穐楽夜の部(国立劇場大劇場)
去年の超長時間上演に比べて今年は半分の超短時間上演。亀ちゃんらしいといえばらしいか。もしかしたら最後の「亀治郎の会」となる来年のために英気を養っている?なんて。
「葛の葉」
去年は忠信、今年は葛の葉と、2年続きの狐の変化。その狐も去年は男、今年は女。そして狐である葛の葉と保名の結婚には異属同士の結婚、信仰など歴史的に深い問題が関わっているそうで、亀治郎さんが演目として選んだのもわかるような気がする。
芝居は、どこがどうよくなったのかはわからないけれど、初日より千穐楽のほうがずっとよかった。
亀治郎という役者にはどうしても才気を感じるので、ただのお姫様とかただの女房や母親より、何かあるなと思わせる役のほうが合うと思う。これは私の勝手な思いなのだが、葛の葉姫にもこの娘がこれから何かやらかしそうなものを感じてしまった。でも、姫と保名女房としての葛の葉とは声を使い分けていて、姫のほうはきれいな高い声とセリフに可憐さが表れていた(きれいな、というのは亀治郎独特のハスキーというかちょっとクセのある声でなく、という意味。私が見ている範囲で、これまでこういう声は出していなかったんじゃないかな。葛の葉の声も今までの亀ちゃんとちょっと違うような気がした)。
亀ちゃんは袖萩(第5回)でも見事な母親像を見せたが、遊びから帰ってきた童子を迎える姫でないほうの葛の葉に細やかな愛情が溢れていて、その後の展開を思うと哀れを覚えた。
セリフと言えば、葛の葉のちょっと長めのセリフには芝雀さんの呼吸に近いものを感じることがたまにあって「おや」と思ったのだが、あとでプログラムを見たら京蔵さんにいろいろ教えてもらったとのこと、ご本人ではないけれど、そういう呼吸が京蔵さんから伝わったのだろうか。
狐の振りは自然できれいだった。

障子に書く「恋しくば~」は、「しくは」を下から、「信太乃森の」は左手で鏡文字、「葛の葉」は口に筆を咥えて。亀ちゃん努力したんだな。ただ千穐楽では「来」という字の左右の払いが書かれていなかったような…(初日は書かれていたと思うけれど…)。多分、母親を探す童子の出のタイミングが早かったからではないかしら(初日よりちょっとだけ早いような気がした)。この障子、20日のアフタートークで抽選でプレゼントしたのよね。私もトークの場にいれば欲しかったけれど、でも万が一当たったらどうやって保管しておくんだろ、なんて、どうせ当たりもしないだろうに余計なこと考えちゃった
 
幕外、スッポンから現れてローソクの差出しに導かれ、子への未練を見せての引っこみは幻想で哀しかった。そうそう、亀ちゃんは素足で歩くのを見ていたら、かなり足指を開いていて、ラストの草鞋(だっけ?草履だっけ?)も小指がはみ出しているように見えたのがちょっと興味深かった。
 
童子がかわいくってかわいくって、初日は花道の出であちこちから「かわいい」という声や、その可愛さに誘われた笑いが聞こえてきた。
 
段四郎さんと竹三郎さんの庄司夫婦がそれぞれの持ち味を出していてよかった。竹三郎さんのセリフにはいつも情感が籠っているなあと思う。しかし、両親が徒歩で、娘が駕籠ですか。女も若いうちはひ弱な箱入りだけど年をとると逞しくなるということか、なんてツッコンだりして。
 
安部保名の門之助さんが端正でとても素敵だった。こういう役の門之助さん、好きである。
 
幕間にロビーへ降りたら、なんと竹三郎さんが亀ちゃんのカレンダーの売り子をしていてビックリ。前日もやってらしたそうな。亀ちゃんがお願いするわけないと思うから、きっと竹三郎さんが自主的に販売に立ったのだろう。私も竹三郎さんのお役に立ちたかったけれど…、ごめんなさい。

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コメント

アフタートークと抽選会は19日と20日両日の夜の部の筈です。私も、亀ちゃん曰く運を使い果たさなくて当たりませんでしたが、賞品は「障子紙」のみで、戸から外されてました。考えれば当たり前なんでしょうが、毎回張り替えているんですね。

残りの4回分はどうするんでしょうか(笑)。

投稿: 亀ファン | 2011年8月23日 (火) 12時11分

亀ファン様
こんばんは。コメントありがとうございます。
アフタートークはそういえば、19、20の両日あったんでしたのね。
賞品が障子紙だけなのは当然ですよねえ(でも、どうしてもイメージとして枠ごと、っていう気がしてしまいます。1カ月公演の場合、文字が書かれた障子紙が80枚以上出るわけですが、どうしているのでしょうね)。それにしても障子紙1枚、どうやって飾っておきましょう。自宅の障子に貼るのかなeye
「運を使い果たす」機会すらなかった私が心配してもしょうがないことですがcoldsweats01

投稿: SwingingFujisan | 2011年8月23日 (火) 21時18分

私は19日夜に行って、スペシャルトーク&障子プレゼントありましたよ〜。とっても欲しくて欲しくて祈りながら抽選を見守りましたが、ダメでした…weep

やはり亀ちゃんはウマい!役の演じ分けもそうだし、仕草や形がいちいち綺麗。ただ台詞の息継ぎがやたらと大きくて、体調が悪かったんですかね?特にお姫様の時に感じたんですが昼の時はいかがだったでしょうか?
博打十王も楽しくって、以前何かの番組で自分は愛嬌が足りないとしきりに言っていましたが、十分愛嬌があって可愛かったですheart04
踊り出せば軽やかで美しく、グーっと見入ってしまいます。玉さまとは又違った引力があるんですよね〜。
それからなんと言っても竹三郎さん!品があって格式や慈愛が感じられて、本当に素敵でした。本興業などにももっと沢山出てほしいなぁ。

私は二階席だったのですが、あまりにガラガラでビックリしました。松竹では完売になってたのにどうして〜sign02もっとちゃんとバックアップしてあげて欲しいです。

投稿: 林檎 | 2011年8月23日 (火) 23時00分

わたしは亀治郎丈が登場した瞬間、そのしぐさから雀右衛門丈そっくりと思いましたけど、京蔵さんに教わったのですね。道理で似るわけですね。

投稿: うかれ坊主 | 2011年8月24日 (水) 01時14分

林檎様
コメントありがとうございます。
障子はほしいですよねえ。当たった方がうらやましいです。
セリフの息継ぎはよくわかりません…19日昼の部は気になりませんでした。21日夜の部では息継ぎが芝雀さんに似ていると思ったのですが、それも姫のときではなくて、童子の母のほうでそう感じました。
亀治郎さんの踊りは本当にいいですよね、見入ってしまいます、私も。
竹三郎さんの演技にはあたたかいものが感じられて、そのあたたかさに泣きそうになることが時々あります。9月は巡業ですが、お元気で全国を回っていただきたいと願っています。

二階席は私が見た2回ともやはりガラガラでした。大劇場での6公演はきびしいのかなあと思いました。松竹の扱い分は少なかったのかもしれませんね。

投稿: SwingingFujisan | 2011年8月24日 (水) 02時43分

うかれ坊主様
コメントありがとうございます。私は雀右衛門さんはあまり動かれなくなってからしか見ておりませんが、ああなるほど、そうだったかもしれません。その方の芸というのはお弟子さんを通しても伝わるものなんですね。
そういえば、いつだったかの浅草の「金閣寺」雪姫も雀右衛門さんに似ていましたね。

投稿: SwingingFujisan | 2011年8月24日 (水) 02時50分

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