« わ~い、奇跡的に | トップページ | 苦しかった、遠かった、1点までの94分 »

2011年9月 2日 (金)

祝・ダブル襲名:秀山祭夜の部

91日 秀山祭九月大歌舞伎初日夜の部(新橋演舞場)
11090201syumei
私にしては珍しく夜の部からスタートしたのは、大好きな新又五郎・歌昇さんの口上があるから。席に着くとうれしい祝い幕が掛けられていた。襲名、おめでとうございます。
「沓手鳥孤城落月」
5
年前の4月に見た芝翫さんの淀君の印象がやたら強い。そのせいか、城内山里糒庫階上の場」の前に激しい戦闘場面があることをすっかり忘れていた。
前回と同じ錦之介さんが大住与左衛門として登場して千姫(芝雀)を助ける。裸武者石川銀八は児太郎クン。細い体で立ち回り、勇ましく頑張っていた。途中で槍の先が取れちゃってハラハラ(あれって、取れることになっていた? それともハプニング?)。階段落ちはやっぱり怖いんだろうなあ。
「二の丸乱戦の場」が終わると狂気の淀君の場面に。淀殿ご乱心は千姫に対する怒りのすさまじさのあまりだと記憶していたが、たしかにそれはそうであるものの、一度正気に返ってからの2度目の狂気はそうではなかったらしい。だらしなく笑い、完全に理性がどこかへいっちゃっている感じがした。吉右衛門さんの氏家内膳はセリフがちょっと怪しかったけれど存在感でそういう不安を消してしまう。梅玉さんの大野修理之亮がよかった。
歌昇さん、おっと、じゃなかった又五郎さんの秀頼からは狂気の母に対する悲しみと、敗戦の豊臣家御曹司としての苦悩が感じられた。若々しい声で好もしい。
11090202syumei_2
「口上」
客席の空席が埋まりだし、大向こうさんの数もぐっと増えた。
芝翫さんが「秀山祭」の挨拶をする。あれれ、襲名のことは?と思ったら、そちらは吉右衛門さんにお任せのようだった。吉右衛門→魁春→福助→松緑→芝雀→東蔵→藤十郎と上手へ。それから下手端の梅玉→段四郎→染五郎→種之助→錦之介→歌六と再び中央へ戻り、新歌昇クン(クンはやっぱり馴染まないか)、新又五郎さんの挨拶となる。以下、ごく一部をかいつまんで。
吉右衛門「先代又五郎さんは先代吉右衛門のもとで修業した。その名前が復活するのはうれしい」
魁春「先代又五郎さんには世話になった。新又五郎さんは歌右衛門の舞台に子供時代から出ていた」
福助「新又五郎さんとは同世代でたびたび相手役をやっている。新歌昇クンは平成生まれ。よく勉強している」(弟の種之助クンの名前を種太郎と間違っって言っちゃったけど、一家に対するあたたかみが感じられた)
松緑「新又五郎さんにはよく遊園地などに連れて行ってもらった。新歌昇さんは兄弟のいない自分にとって弟みたい」
芝雀「新又五郎さんとは子役の時から舞台一緒。そのご縁で口上の舞台にあがらせていただいた」
東蔵「新又五郎さん光輝時代から親しい。そのご縁で口上の舞台にあがらせていただいた」(光輝の名前が出てきて嬉しい。あの当時とお顔がほとんど変わっていない気がする)
藤十郎「月日が経つのは早い。新又五郎さんのお父様がまだ若い頃(私も若い頃)、お母様の住む京都にまで行って朝早くから遊んだ。そのご子息が又五郎、お孫さんが歌昇を襲名するのは誠に嬉しい。しかし襲名すると後が大変。芸道は生涯勉強です」
梅玉「新又五郎さんは歌右衛門の下で子役時代から親しく、一緒に修業した。歌昇でも又五郎でも私にとっては『みっちゃん』」
段四郎「色々な舞台で共演しているご縁で口上に出していただいた」
染五郎「舞台で色々教えてもらっている。新歌昇さんとは一生かけて芸の精進をする仲間」
種之助「父と兄の口上に列席されていただけることに厚く御礼」
錦之介「一族の1人として襲名はうれしい」
歌六「弟と甥の襲名は感慨深い。先代又五郎さんは大恩ある人。吉右衛門さんのおかげでその名を継ぐことができた。微力ながら力添えしていく」
歌昇「襲名はこの上ない喜び。なお一層芸道に精進していきます」(ちょっと緊張していたかな。そりゃ、当たり前だよね)
又五郎「1日も早く一廉の役者になれるよう精進します」
最後に芝翫さんが、今後とも又五郎・歌昇を、そして伝統歌舞伎をご贔屓にと締めて口上は終わった。
お祝いに手ぬぐいを買いましたhappy01

「車引」
 
藤十郎さんの桜丸はこれまで見たことない。なんと若々しい。御年79歳で少年桜丸に見えてしまうのだから(青年かな。でも藤十郎さんは少年といってもいい)。
 
又五郎さん(まだ、ついつい歌昇さんと打ってします)の梅王に荒事の楽しさを堪能。先月、子供のための歌舞伎ワークショップで、梅王の拵えの過程を見たが、6人がかりで衣裳を着せていく。横綱みたいな帯は左右両側から役者さんの腰に足をかけてしっかり締める。立っている役者さんもよほど力を入れていないとふらつくだろう。又五郎さんはその衣裳も軽々着こなしているようで、素敵だった。
 
吉衛門さんの松王と、ぜいたくな3兄弟。
 
歌昇クンの杉王は形がきれいに決まり、声もよかった。
 
歌六さんの時平が体は決して大きくないのに、さすがの存在感。
 
今月、播磨屋が4人勢揃いするのはここだけだから見逃せない。
 
「石川五右衛門」
 
チケットを取ったとき、吉右衛門さんが五右衛門だとばかり思って、とくに宙乗りのことを意識しなかったのだけど、後になって染ちゃんと知り、上手側を取らなかったのは失敗(千穐楽は少し近づけるかも)。
 
染五郎さんの五右衛門に吉右衛門さんの芸が反映されているのは当然か。呉羽中納言に化けた姿は品よく、ただの盗賊ではなくなるほど大内義隆の落胤であるわな、とうっとりする。松緑さんの此下久吉とのコンビがぴったりで、2人で寝そべって昔話に打ち解けるところなんか、嬉しくなってしまう(この姿勢、とっても大変そう。頬杖の手は頬を支えておらず、足はあげているんでしょう。それでセリフを言うんだから)。
 
葛籠抜けをして悠然と空を引っこむ宙乗りは五右衛門の大きさが感じられて、すごく素敵だった。ところが、南禅寺山門になると、吉右衛門さんのような大きさが感じられなかったのは顔が小さいからだろうか。
 
本物の呉羽中納言の桂三さんが品よくユーモラスで、虚勢の張り方なんかもとてもうまい(この役は桂三さんの持ち役だったかしら)。
 
夜の部は、女方が口上は別として最初の演目しか出ないのねえ。
 
<上演時間>「孤城落月」40分(16301710)、幕間25分、口上25分(17351800)、幕間35分、「車引」30分(18351905)、幕間15分、「五右衛門」79分(19202039
 
実際には口上が5分ほど早く終わり、終演もそのまま約5分早かった。

|

« わ~い、奇跡的に | トップページ | 苦しかった、遠かった、1点までの94分 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

こんにちは!私は初日は1日演舞場でした。初日に伺うなんて久しぶりでドキドキでした。
槍の先が壊れたときは私もビクッとしちゃいました。児太郎クンはじめ、昼も夜も御曹司の皆様の成長が拝見できて嬉しいです!

梅玉さんのおっしゃっていたとおり昼のほうが、歌昇クンが沢山見られるので!昼の方がリピートが多くなりそうです~

投稿: enachan | 2011年9月 2日 (金) 22時07分

enachan様
こんばんは。コメントありがとうございます。
昨日は通しでご覧でしたか。
歌昇クン(なんか、自分で自分がくすぐったい感じ)、ぐっと頼もしくなったようで素敵でしたね。私は昼の部は1回だけの予定なんですが、1度見てよかったら、かつスケジュールが許したらリピートするかも、です。涎くりが楽しみsmile 又五郎さんの武部源蔵とともに、期待しています。

槍の先はやっぱりハプニングだったんですね。大勢に影響なくてよかった(ホッ)。

投稿: SwingingFujisan | 2011年9月 2日 (金) 23時22分

おはようございます。昨日、夜の部みてきました。芝かん、急病とのことで、福助が代演でした。役のエキセントリックさで、福助の方が、適役なのでしょうが、芝かんで見たかったというのが本音です。吉右衛門、梅玉を従えて、新又五郎の秀頼、悲壮感が十分で、なかなか結構でした。
 「口上」のFujisanさんのレポ、いつもながらさすがですね。当方は、いつもながら、ボーット聞いているだけです。先代歌昇について言及した藤十郎の口上が一番、じんときました。
 「車引」、座頭、吉右衛門の力感あふれ、気力の充実した、松王が傑作でした。又五郎は足を痛めているらしく、大道具も変え、眼目の花道の引っ込み、出がなく、舞台下手からの出入りになったのは、襲名披露の出し物だけに、気の毒で残念でした。藤十郎は、演技自体は悪くはないのですが、上方風の化粧、衣裳で通し、江戸歌舞伎としての統一感がないのがきになりました。
 「双級巴」、松緑、染五郎、二人ともよくやっています(特に松緑の演技に厚みが出てきたきがします)が、本来、役どころは逆なのでしょう。

 ところで、平成中村座、案内が出始めましたが、今後の当方の予定を調整するのはともかく、お財布と相談するのが大変ですね。

投稿: レオン・パパ | 2011年9月 4日 (日) 07時22分

レオン・パパ様
こんばんは。コメントありがとうございます。

芝翫さん、2日目から休演だったそうですね。新聞で見てビックリしました。代役は福助さんをおいてないとは思っていましたが、例のごとくやりすぎないことを願います。
又五郎さんの足のけが、お気の毒です。私は今日昼の部を見てきましたが、石膏で固定してあったように見えました。あれで梅王は大変だろうなあ…とにかく又五郎さんを心の中で応援するのみです。

染五郎さんと松緑さん、よかったですね!!

平成中村座はほんと、お財布が泣きますわweep 

投稿: SwingingFujisan | 2011年9月 4日 (日) 19時09分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/41469566

この記事へのトラックバック一覧です: 祝・ダブル襲名:秀山祭夜の部:

« わ~い、奇跡的に | トップページ | 苦しかった、遠かった、1点までの94分 »