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2011年10月12日 (水)

10月演舞場夜の部:當世流小栗判官①

1011日 10月花形歌舞伎夜の部(新橋演舞場)
「當世流小栗判官」
平成18年、国立劇場で大興奮した澤瀉屋一門による演目。国立では2部制にして、それぞれの部の最初に口上があるという趣向だったが、今回は一気上演、また亀治郎さんが判官とお駒の2役をやる(亀ちゃんは、ほかに浪七も)ため、2人の絡みのある宝光院門前の場、万福長者内風呂の場、奥座敷の場は国立版とはもちろん異なり、他にも三浦采女之助の役割を照手姫付きの局・藤浪に代えていた。セリフもあちこちでちょこちょこ整理され、その分上演時間も短縮されていた。
今日の席は1階最後列だったのに、なんとオペラグラスを忘れ、舞台の顔ははっきりわからず、まあもどかしいこと。
序幕「鶴岡八幡宮」は横山大膳親子の悪巧みにより、大膳の兄でもある照手姫の父・横山郡司が殺害され、照手姫もかどわかされるという場面。段四郎さんの大膳が、実際には見たことはないが歌舞伎チャンネルなどで見た昔の猿之助一座の芝居を彷彿させる。段四郎さんは病気回復後しばらくは精彩を欠いていたが、いつの頃からか存在感がぐんぐん増してきている。息子・次郎役の猿弥さんにはいつも大きさを感じるのに、その猿弥さんが小さく見えた(段四郎さんとの比較で)のは段四郎さんに国崩しの大きさがあるいっぽうで、猿弥さんが息子役に徹していたからなんだろう。白塗りの次郎に対し赤っ面の三郎は薪車さん。若さ(年齢的なものというよりは人間としての未熟さかな)が表現されていてよかった。
場面は「大膳館」へ。ここのお目当ては暴れ馬・鬼鹿毛とそれを乗りこなす小栗判官の活躍。鬼鹿毛は何度も後ろ脚立ちを見せ、館じゅうを暴れまわるが、小栗判官に手なずけられる姿は愛敬たっぷり。また、せっかくおとなしくなりかけたのに大膳家臣の1人から脚に悪さを受け驚いて再び暴れだすところなど、実にタイミングがよく馬の技術の高さに感心した。碁盤乗りも素晴らしい。背中に跨った小栗判官に促されて碁盤に足をかけようとするものの、数回ためらいを見せる様子も愛嬌あるし(あの暴れ馬が、かわいい)、狭い盤上で判官を乗せたまま見事な後ろ脚立ちをする。照手姫の笑也さんが初演時後ろ脚に入っていたそうだが、馬体と前脚の役者を合わせて約90㎏を持ち上げたそうだ(判官が乗った重さなのか、あるいは判官の体重をこれにプラスするのかはわからない)。おっとりと美しい笑也さんが、運動神経も体力も必要とする後ろ脚をやっていたと思うと、もしかしたら今入っている役者さんもいずれは照手姫になったりして…と考えるのも楽しい。
亀治郎さんの小栗判官は颯爽として適役だと思った(声がちょっとオッサンじみてるかな)。判官と、後に出てくるお駒が亀ちゃんの本役であろう。
判官が荒鹿毛と新たに名づけた元・鬼鹿毛に乗って花道を引っこむ際の先導は藤浪の竹三郎さん。悪を許さぬ心意気にきりっと気を引き締めた先導がかっこいい。

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