« 10月演舞場夜の部:當世流小栗判官① | トップページ | 10月演舞場夜の部:當世流小栗判官③ »

2011年10月12日 (水)

10月演舞場夜の部:當世流小栗判官②

1011日 10月花形歌舞伎夜の部(新橋演舞場)

「當世流小栗判官」
二幕目は小栗の元家臣で今は漁師となっている浪七を中心とした物語。国立では段治郎さんがスケールの大きな浪七を見せてくれたが、亀ちゃんは体が小さい分スケール感で劣るのはやむを得ないだろう。しかし演技でそれをカバーし、予想していたよりずっと役に合っていたし、春猿さんとの夫婦役も違和感なかった。
春猿さんのお藤は浪七とのささやかな幸せを、どうしようもない兄に踏みにじられ、哀れな最期を遂げる薄幸さがよく表れていた。
中盤にはこれもお楽しみの一つ、獅童さん、右近さん、猿弥さんのチャリ場が入る。何しろ舞台での顔はよく見えないんだけど、花道を引っこむ時に間近で見えた獅童さん!! 適当な白塗りのヒドい顔bearing
胴八(右近)にやられた瀬田の鰻蔵(猿三郎さん)、「胴八の野郎が毎朝飲んでるウコンの力がほしいよぉ」。
胴八と四郎蔵(猿弥)に浪七を詮議するニセ代官役が出来るかと問われた橋蔵(獅童)、「村芝居の『一心太助』で将軍様の役もやったわい」。ということでニセ代官役をつとめたからひどい白塗りになったわけ。ニセ者であることが浪七にバレて引っこむ際、「このまま花道引っこんではあまりに役が悪い。亀さんも来年襲名だし、私も負けてはおりません。やりたくないけど、やらせていただきます」で細マッチョを踊る。客席からは手拍子が。踊り終わると「微妙な拍手をありがとう」。獅童さんにはなんだったか女性からの声がかかり「こういうところで個人的に声をかけられても…」と笑っていたが、たしか「淋しいのはお前だけじゃない」でも同じことが起こったっけ。
花道七三でおどける獅童さんに右近さんも猿弥さんも笑いをこらえているように見えた。私も笑った笑った。獅童さんにはこういう役をテレずにまっすぐやれる才能があると思った。細マッチョをもっと近くで見たかったな。
浜辺の場では、胴八からもちかけられた金儲け話を漁師仲間にしている猿三郎さんが胴八にはさっきやられて遺恨があるんじゃないかと問われ、再び「いこんもうこんもあるものか。あの右近が言うことにゃ、じゃなかった、あの胴八が言うことにゃ」と、シャレる。花道では澤五郎、喜猿、猿琉の3人による(喜猿さんだけ、私の記憶が怪しい。違ったらごめん)エグザイル風アクションも。
余談だけど、「演劇界」11月号で猿琉さんと梅之さんが褒められていた。嬉しい。
チャリ場が終わると、いよいよ浪七奮闘の場となる。大きな岩と浪布は「俊寛」を思い出させ、浪七は「逆櫓」の樋口次郎兼光や「渡海屋」の銀平を思わせる。船を漕ぐ右近さんの「ヤッシッシ」も「逆櫓」の記憶につながる。
亀ちゃん、漁師との渾身の立ち回り。今回、ここの立師は猿四郎さんだそうで、船の櫂を使って「亀」の文字をつくるといった趣向も見せる。

浪七が腹から摑みだした五臓六腑を浪間へ投げると血が岩を滴る。すると沖へ漕ぎ出した船が戻ってくる。船の入りと戻りは花道そばで見るから臨場感があった。
胴八と浪七の立ち回りも見応えあった。死んだと思った胴八が何度も起き上っては向かってくる。浪七も瀕死の状態で戦っているから止めを刺せないのだ。2人の最期は、胴八は岩の向こうへ、浪七は岩の前面をずりずりと落ちる。壮絶な最期は碇知盛の最期の逆のようでもあり、義賢最期の仏倒しを思わせるようでもあり。

|

« 10月演舞場夜の部:當世流小栗判官① | トップページ | 10月演舞場夜の部:當世流小栗判官③ »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

国立での通し上演の段治郎丈の浪七(駄文ですみません)、思い出しますネ~。大きくて勇ましくて、カッコよかったですよね!
あの時は右近丈が橋蔵で、「段チャン、カッコイー♪」と縁の下でヒューヒュー騒いでいたのが可笑しかったです。

猿弥丈、昼の部でも、テンション上がっちゃう太助に、「落ち着け、落ち着け!」って諌めてみたり、夜の部でも「はよ引っ込め」と言ったり、獅童丈のテンション収め係ですね(笑)。猿弥丈の「トン」の絶妙の間は可笑しくって笑いが止まりませんでした。

「やっししー」の船上の右近丈。悪いのになんだか色気があってカッコ良くて、照手がうらやましー!なんて思っちゃいました(笑)。

投稿: はなみずき | 2011年10月14日 (金) 20時11分

はなみずき様
こちらにもありがとうございます。
段治郎さんの浪七は堂々と大きくて本当にステキでしたね~(駄文だなんてとんでもない!!)。そうそう、右近さんの橋蔵、可笑しかったですね。
猿弥さんは何をおやりになっても上手ですね。今月は善玉でも悪玉でも天性の愛嬌が活きていて、見ているこちらも楽しくってしょうがありませんでした。獅童さんもお目付け役がいるおかげで安心して暴走しているようですねsmile
右近さんの色気、私も間近で見てドキドキしてしまいました。櫓を漕ぐ姿も力強く、「やっしっし~」の声も素敵でした。あの船に乗りたかったですねwink

投稿: SwingingFujisan | 2011年10月14日 (金) 21時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/42469426

この記事へのトラックバック一覧です: 10月演舞場夜の部:當世流小栗判官②:

« 10月演舞場夜の部:當世流小栗判官① | トップページ | 10月演舞場夜の部:當世流小栗判官③ »