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2011年10月 4日 (火)

気分は正月:開幕驚奇復讐譚

103日 「開幕驚奇復讐譚」初日(国立劇場昼の部)
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とにかく面白かった。休憩になるたびに「面白かったねえ」という声があちこちから聞こえる。1人の私は心の中で「うんうん」。
定式幕が開くのと場内が闇に包まれるのとどちらが先だったろう。闇の中、幕を引く音だけが響く。やがて舞台上方に黄色のライトが並び、それが上へあがっていくと、下から足利義満と家臣たちがセリ上がる。黄色のライトは金閣寺を象徴していたのだろうか。義満が楠と新田の残党を根こそぎ絶やすように家臣たちに命令したところで、全員再びセリ下がる。なんと、欲深な義満は田之助さん。ピンと張ったお髭の田之助さんも珍しいが、なかなかお似合い。
場内は再び闇に包まれ、ちょっと変わった趣向で新田貞方討ち死にの場面が展開される。
初日なのでここまでにしておきましょう。あとはなるべくネタばれしない程度にポイントだけ。
★梅枝クンは今回は前髪立ちの若党役。若者らしい瑞々しさと凛々しさ、前髪立ちのやわらかさもあり、やはりうまい。
★時さまの役にはちょっと笑ってしまう。いや、敵と味方の狭間で生き抜こうとする女のしたたかさはなかなかである。時様って復活狂言ではなかなか個性の強い女性を演じるから楽しそう。久しぶりに見る菊五郎さんとのコンビはやっぱりドキドキするような色気が漂う。
★ビックリしたのが松也クン。思わず「え~!!」と叫びそうになってしまった。これからご覧になる方、お楽しみに。しかし、松也クン、脚ふと~い。脚はともかく体型的にももう女形はきついかもしれない(ごめん、でも松也クンの女形好きだから)。
★菊十郎さん、寿鴻さん、橘太郎さんたちがぱっと時代の、役の、空気を醸し出す。菊五郎さんがプログラムの中ではからずもこう語っている。「歌舞伎というのは脇役が面白くないと芝居が面白くない」「今の若い人たちの中から面白い脇役が出てくると歌舞伎自体が盛り上がる」。面白い脇役というのは、芝居の空気を的確に表現できる人だと私は思う。そうしたら、そのあとの菊五郎さんの言葉が「うまい役者になってくれよと皆に言っている」。深く強くうなずいたのでした。
★菊五郎さんのレディ・ガガ風衣裳は見ものであるが(毅然としていてお似合い。東京新聞やNHKニュースでその思いを語っていたが、それが十分伝わってきた。「忠信の衣裳」という声がどこかから聞こえてきたが…)、菊之助さんの衣裳もなかなか面白い。
★三幕目、いつものようにチャリ場にもお楽しみが。ただ、金鯱観世音やMYZ48や岡崎のネコちゃんたちのような見せ場はなく、比較的さらっと(本当はああいう場面があったらしいんだけど、時間の都合かカットされていた)。菊ちゃんがマジで可笑しそうで笑いをこらえている顔がかわいいいheart04
★両宙乗りは盛り上がる!! 白狼に跨った 菊五郎さんの悠々たる宙乗り(上手)、菊ちゃんのサーカスみたいな宙乗り(下手)、両方いっぺんに見るのは3階後方でないとむずかしいかも。欲を言えば、せっかく両花道を作ってあるのだから、宙乗りの時だけでなく、上手側の花道も使う場面があればよかったのに。→両花道は私の記憶違いでした。上手側は舞台が何列分かせり出している(花道が七三より手前で切れている)状態でした。
★金閣寺屋根上の立ち回りは足場が狭そうな感じがしたけれど、迫力たっぷり、見応えある。

★セリフにもニヤリとする箇所があって楽しい。 

初日ならではのテンポの悪さとはよく言うし、確かにそういうところもあったけれど、今回は初日にしてはかなりテンポよかったと思う。権十郎さんの槍の先が戦う前に取れかかるというハプニングも、権十郎さんが落ち着いて押し込み、事なきを得た(先月の演舞場でも槍の先が取れちゃったけど、あれは取れやすいのかな)。
 
歌舞伎の楽しさがた~くさん詰まった復活狂言は、江戸時代庶民を楽しませた歌舞伎の原点みたいなものなのかもしれないという思いを、今回あらためて強くもった。ただ言ってもしょうがないけど、やっぱりこれは正月に見たかったな(ま、国立劇場45周年記念の開幕興行って意味もあるから…。でもこれを見たら、10月でも気分は正月ってところかなhappy02)。 プログラムも必買ですよぉ~smile
ところで、後方で亀蔵さんがひっそりとご覧になっていらっしゃいました。

 
<ミニ知識>タイトルの「かいまくきょうきあだうちものがたり」。馬琴の原作は「開巻驚奇侠客伝」。「開巻驚奇」は「開けてビックリ」という本のキャッチコピー。こちらは芝居なので「開幕」と変えた。「侠客」は「滅亡した南朝を再興するために武門の権力悪を懲らしめる痛快な人物」という意味で馬琴は使っている。しかし現代人は博徒を連想しがちなので、物語の全体像をあらわす「復讐」というタイトルに変えた(プログラムからの受け売り)
 
<上演時間>発端・序幕30分(12001230)、幕間15分、二幕目25分(12451310)、幕間35分、三幕目55分(13451440)、幕間10分、四幕目25分(14501515)、幕間10分、大詰25分(15251550

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お馴染み黒衣ちゃん(私はストレスリリーサーを持っている)が客とのツーショット写真など大サービス。

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

SwingingFujisan様お久しぶりです!
いつもお邪魔していたのですが、ご挨拶せず失礼しました。
気持ちの浮き沈みが激しく、仕事以外はなるべく休養していました。
それでもこちらにお邪魔すると、私が観ることが叶わない舞台などの感想がたくさん拝読できて楽しんでおりました♪
やはりエンタメはお薬です☆
以前も落ち込んでいた時、ゲキシネ薔薇とサムライで持ち直しました。
周りでは心療内科に通う方が多いですが、私は何とか自力で立ち直りたいと考えています。
東京へ観劇遠征する勇気がなかなか出なかったのですが、
亀治郎さんや香川照之さん襲名のニュースを見て、私も飛び出さなくちゃ!と影響受けまして(^^;今度の日曜日上京することに決めました。
まだ一人で外泊するのは厳しいので、帰りは高速バスです。
電車は久しぶりなので緊張します~自動改札とか大丈夫かな(^^;
宙乗りを観れば元気出るかしらと、国立劇場と新橋演舞場夜の部を購入しました♪

投稿: オレンジスイート | 2011年10月 4日 (火) 14時46分

オレンジスイート様
こんばんは。
コメントありがとうございます!!!
東京への遠征、前にいただいたコメントで涼しくなったら、とおっしゃっていたので、いついらっしゃるかしらと心待ちにしておりました。香川さんに影響されて(wink)一歩踏み出されたとのこと、本当にうれしく存じます!!
その香川さんを歌舞伎界でおそらくサポートしていくであろう亀治郎さんのお芝居、そしてレディ・ガガに触発された菊五郎さんのお芝居(どちらも宙乗りですねえhappy01)--オレンジスイート様もお元気になられること間違いなしと信じております。

生活の大変さも心の傷も私などには計り知れないほどの大きさだと思います。また、お仕事でどんなにかお疲れのことでしょう。心配しながら応援しております(オレンジスイート様のお気持ちのご負担にならない程度に)。ここへいらしてくださってオレンジスイート様のコメントをご覧になる方たちも同じ気持ちだと思います。何もできませんが、ご自分の力で立ち直りたいと考えていらっしゃるオレンジスイート様にこちらも励まされます。

これから寒くなりますし、くれぐれもお体をお大切になさってくださいね。
道中、お気をつけて(久しぶりに乗られる電車の不安、わかりますわかりますcoldsweats01)。そしてナマの歌舞伎を十分楽しまれますように!! ご迷惑でなかったら何日後、何カ月後でもけっこうですのでご感想などお聞かせいただけると嬉しいです。

投稿: SwingingFujisan | 2011年10月 4日 (火) 20時55分

SwingingFujisan様
 今晩は。国立劇場、私は、舞台が練れてからと思い今月後半で取りました。楽しみです。オレンジスイートさんも、久しぶりの観劇、存分に楽しまれるといいですね。
 ところで、今夜、日生で、玉三郎見てきました。Fujisanさんは、これからでしょうか。ともかく、玉三郎ワールド全開でした。極上のデザートをいくつも楽しんだとような気がしました。特に「藤娘」がよかったですよ。ここ数年の同演目の白眉だと思います。基本は六代目の演出を踏襲はしていますが、いろいろな点で他の演者とは、かなり異なっています。酔態の部分など、こちらが陶然としました。
 来年正月のル・テアトルの演目が発表されていましたが、「初春口上」「妹背山道行」「御殿」です。配役は未発表です(若い役者が共演でしょうか)。玉三郎のお三輪、何度も見ていますが、また見たいなあと思いました。

投稿: レオン・パパ | 2011年10月 7日 (金) 23時49分

レオン・パパ様
こんばんは。コメントありがとうございます。
玉三郎さんの日生ですが、私はまだチケットを取っていないのです。発売日に予定が立たずに見送ってしまったらもう高い席しかなくて…。それでも見たいし、と迷っているところへレオン・パパ様の絶賛。う~ん、スケジュールというよりはお財布の問題で、ますます迷います(国立4回、演舞場4回なんですもの。おまけに演舞場もう1回入れたくなったしcoldsweats01)。
お正月は迷わずチケット取るつもりです。

オレンジスイート様のご観劇もいよいよ明後日ですね!!

投稿: SwingingFujisan | 2011年10月 8日 (土) 00時38分

おはようございます。
横からお邪魔いたしますm(_ _)m

>玉三郎さんの日生ですが、私はまだチケットを取っていないのです。
それはいけません!
今月の玉さまは「must」です!
私は3演目+カーテンコール(このときの姿・姿勢の美しさったらありません)を存分に楽しんで帰ってまいりました。お声も聴けるのですよぉ~。

悪魔の囁きをしつつ、オレンジスイート様のご観劇に胸をあつくするからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2011年10月 8日 (土) 10時34分

からつぎ様
こんばんは。
悪魔の囁きの誘惑に負けて、先ほど外出先から帰宅してすぐにチケット取りましたhappy02 迷っているときに強く背中を押されないと、そのまま終わってしまう私ですので、ありがとうございます!!
八千代座も康楽館も行かれない…のですから日生はチャンスですものね。スッキリしました。

オレンジスイート様のご観劇にこちらも勇気づけられる思いです。

投稿: SwingingFujisan | 2011年10月 8日 (土) 18時44分

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