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2011年10月14日 (金)

玉さまに恋しちゃいそう:坂東玉三郎特別舞踊公演

1013日 坂東玉三郎特別舞踊公演(日生劇場)
チケット発売日に予定が立てられなくて、傍観gawk

迷い続ける毎日。最近地方公演の多い玉さま、日生はチャンスだけれどもう安い席はない。1012月は出費が多いので諦めようthink

いただいたコメントに12度と背中を押され、チケットを探すeye

8,000
円の席が出た。ぽちっgood これで、中村屋兄弟の「芯」を見る線はなくなったcoldsweats02

翌日、別の日の4,000円の席が出た。もう遅いbearing
ってことで、昨日、行ってきました。
結論
①お金のことばっかり言うようだけど、ほんっと今の時期8,000円は痛いのよ。でも、公演を見終わったら、大満足happy01どころかお得感さえあった。演目の並べ方も計算されていてすご~くよかった→8,000円が痛いと言いながら、藤娘の舞台写真を2枚買ってしまった(一番人気・二番人気の2枚だったと思う。一番人気の写真ははじめ完売だったのが次の幕間には出てきて、また飛ぶように売れていた)
②玉さまのあまりの美しさに、幕間でトイレの鏡に写った自分が恥ずかしくなった。しかも、日生の後仕事に行くことになっていて重い荷物をもつため、玉さまの美意識とはおよそかけ離れたスタイルでいたし…
③玉さまの美しさは表面的な容姿だけではなく、内面から滲み出る品性とか人間性とか、そういうものに裏打ちされたものだということをあらためて認識。玉さまに恋しちゃいそう(それほど感動したのでした)。
以下、各演目についての感想を。


11101401tamasaburo

「傾城 吉原絵巻」

 
幕があくと傾城が若い者(功一)の肩に手をかけている。満開の桜の中の花魁道中である。赤い打掛は「廓文章」の夕霧太夫と同じものだそうである。しばしの道中の後、舞台は暗くなり、場面は座敷へと変わる。打掛も紫の地に孔雀と牡丹になっている。舞う蝶に手を差し出し、私の手に止まっておくれというのは、好きな男への思いを象徴しているそうで、「英執着獅子」を織り込んだ舞踊になっている。その後、夏の踊りから秋、そして冬の踊りへと季節は移る。冬の踊りの衣裳は黒地に鷺の刺繍が見事。正面ひな壇の長唄連中の後ろにはらはらと降る雪が風情を高める。
 
見返り柳を振り返り振り返り帰る男、見送る傾城。位の高い傾城としての誇りと1人の女としての静かな情念が感じられるような気がした。
 
「藤娘」
 
闇の中、置唄が流れ、ぱっと明るくなると、舞台中央には藤の枝を手にした藤娘が立っている。背景は松の木にからむ藤の花。そして正面に2つ、下手鳴物の上に1つ設えられた藤棚から垂れる藤の房が品よく華やかである。上手長唄の後ろにも松にからむ藤の花が描かれている。地方と鳴物が上手と下手に分かれるのは六代目菊五郎のアイディアで、地方も舞台にとけこむようにとのことである。
 
藤の精は時折見せる恥じらいが実に愛らしい。「藤音頭」を踊る前、客席に向かってのご挨拶も何とも可愛くて、思わず微笑んでしまう。玉さまが舞台に現れるたび、その美しさに客席はどよめきともため息ともつかぬ音に包まれる。男を知る前と知った後の演じ分けになるほどと感心し、酔いざまの品の良さ愛らしさに、女たるものこういうふうに酔わなくては、なんて反省したりして。軽やかな手踊りが終わると、藤の精は名残惜しげに姿を消す。この藤娘があんまりよくて、思わず写真を2枚も買ってしまったのだけど、あとになって藤娘1枚、楊貴妃1枚にすればよかったかも、とちょっぴり後悔。
 
演奏も素晴らしくて、とくにクドキから「藤音頭」までのつなぎの合方は心が浮き立つような感じでもっと聞いていたいと思いながら演奏を楽しんだ。
 
「楊貴妃」
 
まさに夢の世界、本当に夢を見ているようで30分があっという間だった。貴妃亡き後、貴妃を忘れられぬ玄宗皇帝の命を受けた方士(不死の仙人だそう)が貴妃の魂を探して歩き、ついには貴妃と出会い皇帝からの手紙を渡すというお話。舞台には白く薄い帳が二重にかけられ、それが1枚ずつあいて、方士の長い旅を思わせる。方士は彌十郎さんで、そういえば彌十郎さんのこういう舞ってあんまり見たことないなあ、と記憶を辿りながら蓬莱山を歩き回る方士に思いを馳せた。方士が貴妃の名を呼ぶと、玉すだれから貴妃が現れる。豪華な髪飾り、白地に金の刺繍のある白い京劇風衣裳。この世のものとは思えぬ美しさ。気高い誇りと憂いを帯びた表情、ほっそりとすっとした立ち姿の品のよさ。実際の貴妃よりも美しいのではないか。
 
踊りも京劇もよくわからないが、あの指遣いは京劇風なんだろうなあと思った。夢の世界で見る貴妃と方士の連舞には粛然とした。ふと気が付くと、唄声に女声が混じっている。一瞬、女性演奏家の声かと思ったが、玉さまが歌っているのであった。楽しかったの喜びとそれを失った悲しみや諦めのようなものが混じったような声だった。
 
この「楊貴妃」の歌詞は夢枕獏だったのねえ。筝曲、胡弓、尺八による演奏も美しく、幻想的なひとときを過ごした。

カーテンコールでは数分間拍手が鳴りやまず。彌十郎さんが玉さまに向かって、本当に楊貴妃にするように恭しくお辞儀をしていたのが印象的だった。3回目のカーテンコールでは玉さま1人が舞台中央で、両手を高く掲げ、そのあと両腕を左右に広げ、舞台に優雅に伏せるような形でお辞儀をする。白い衣裳のひらりと長い袖が白鷺を思わせるようでもあり、誇り高い貴妃ゆえ鳳凰のようでもあり…。
 
背中を押してくださったレオン・パパ様、からつぎ様、ありがとうございました。
 
<上演時間>「傾城」20分(14001420)、幕間20分、「藤娘」25分(14401505)、幕間30分、「楊貴妃」30分(15351605

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

私の日生観劇はまだ来週なのですが(チケット予約は10月で1番早かったような記憶…。10月は観劇の予定を組むのが本当に大変でした…!)、今から本当に楽しみです!!

>女たるものこういうふうに酔わなくては

私も、反省~(苦笑)。

投稿: はなみずき | 2011年10月14日 (金) 20時03分

はなみずき様
こんばんは。コメントありがとうございます。
日程を心配しておりましたが、日生にはいらっしゃれるのですね!! よかった。
素晴らしく良いものは誰が見ても素晴らしく良いのだなあと思いました。

えへ、beerがんがんいっているようでは、ほんのり頬を染めるような酔い方はできませんわねえbearing
はなみずき様はきっと素敵なほろ酔いをなさるのではないかと、想像しておりますわよwink

投稿: SwingingFujisan | 2011年10月14日 (金) 21時00分

おお、同志よ。名なしの君よsign03
(意味不明のつぶやき、失礼)

↓ここから本題。
ほんと素晴らしかった。未だにウットリが続いてます。
それに、やっぱり3等席よりは2等、ですもん(更に・・・bomb)ちょっと羨ましいです。こういう素晴らしい時間を得られると思えば、仕事もガシガシできるし、頑張れるってものですワ。
で、何か書こうと思っても、うまく言葉にできません。夢のような時間でした!

投稿: きびだんご | 2011年10月14日 (金) 23時23分

きびだんご様
おお、またやってしまいましたかwobbly ごめんなさい。懲りない私…ぼかすか(自分のアタマを叩く)
しかし、いつでもきびだんご様はお見通しですのねcoldsweats01 

いやあ、私だって本当は3等席を狙いたかったのですが、そして実際に取った席は3等とそんなに変わりはなかったと思うのですが…でももう席はどうでもいいくらい、夢の時間を満喫しましたわ。ほんと、あの時間を言葉に表すのは難しい。

投稿: SwingingFujisan | 2011年10月15日 (土) 00時40分

SwingingFujisan様
 おはようございます。玉三郎の舞踊公演ご覧になれてなによりです。本当によかったですね。そのよかったなあという思いが反芻しますね。これからご覧になる方々、こうご期待です。
 楊貴妃役、我々が想定する役そのものでした。7月の海老蔵との共演も玉三郎であれば、大仏次郎の戯曲の本来あるべき姿が鑑賞できたかもしれません・・・・。
 最後のカーテンコール、他の優がやれば、あざとく感じるのでしょうが、そうならないところが、さすが玉三郎です。歌舞伎役者というより、まさしく世界に誇るアーティストです。
 ともかく、正月公演も楽しみです。共演者は澤だか屋一門でしょうか。また、道行は人形ぶりでやるのでしょうか。興味津々です。
 
 

投稿: レオン・パパ | 2011年10月15日 (土) 07時17分

追加コメントです。
正月 ル・テアトルは松緑がでるんですね。珍しい顔合わせですね。

投稿: レオン・パパ | 2011年10月15日 (土) 08時42分

おはようございます。
土砂降りの雨の中、お邪魔いたします。

期待どおり、いやそれ以上に楽しんでいただけたようで(^-^)、おすすめした甲斐があったというものです。まさに至福の時でした。1月の公演も楽しみですね。

午後4時には雨がやんでいますように、のからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2011年10月15日 (土) 10時23分

レオン・パパ様
こんばんは。コメント2件、ありがとうございます。
レオン・パパ様からコメントをいただかなければ玉三郎舞踊公演には行かなかったかもしれません。本当にありがとうございました!!
楊貴妃のこと、同感です。
カーテンコールもあくまで美しく、最後の幕が下りるまで夢心地でした。
正月公演は発売日にしっかり取るつもりです。松緑さんとの共演というのは興味深いですね。若い役者さんには玉三郎さんのところで色々勉強していただきたいものです(一時は獅童さんが勉強していたようですが、その成果はどうでしょうsmile)。

投稿: SwingingFujisan | 2011年10月15日 (土) 17時42分

からつぎ様
こんばんは。
からつぎ様にもmustとおっしゃっていただいて、本当に感謝でございます。あの時間を過ごして「must」の意味をあらためて噛み締めました。
歌舞伎で、いい踊りを見ると「もっと見ていたかった」という気持ちになることがよくありますが、今回の公演は非常に満足度が高くて、不思議と「もっと」という気持ちは起こりませんでした。至福というのはそういうことなんですね。

朝は台風のような雨風でしたね。この先どうなっちゃうのかしらと心配したら、昼間は雨もやんでよかった…しかし前半終盤あたりから又少し降り出してきましたでしょうか。
からつぎ様のお席は屋根つきかしら。私は今日も試合はパスですが、ナビスコ決勝はしっかり応援します(梅ちゃんが調子を取り戻してきましたね)。
あらら、今レッズのサイトを見たら、1点入れられてしまっているcoldsweats02 ナビスコであんないい試合ができたチームなのになぜ?
後半はサッカーの話になってしまってごめんなさい。

投稿: SwingingFujisan | 2011年10月15日 (土) 17時57分

私はもう恋しちゃってますぅ~!
玉さまの優雅さ、気品は群を抜いていますね。
あれだけゆったりと、優雅に美しく踊るというのは
どれぐらいの鍛錬が必要なんでしょうか。。。
役者というよりは、表現者として素晴らしい!!
後進の指導にも力を注いでいらっしゃいますが、
あの境地にたどり着ける人がでてくるのかな?

皆様仰るとおり、ウットリと夢心地の素晴らしい時間でした。

投稿: 林檎 | 2011年10月18日 (火) 16時04分

林檎様
こんばんは。たくさんのコメントありがとうございます!! (ここでまとめて御礼。お許しを)
玉さまはおっしゃる通り、表現者ですね。
幼いころ小児麻痺を患ったというのに、それを乗り越えてのあの美しい踊り--体をゆっくりきれいに動かすことは大変に難しいことですものね、その努力たるや、私などの想像の及ぶものではないと思います。
自分に厳しく修業を積む、そういう人がいれば、玉さまに少しでも近づけるのではないでしょうか(自分に甘い私がエラそうに…coldsweats02

投稿: SwingingFujisan | 2011年10月18日 (火) 20時53分

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