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2011年11月 5日 (土)

見てよかった、歌舞伎座の名画展

115日 「知られざる歌舞伎座の名画」(山種美術館)
11110501kabukizameiga
絶対行くと決めておいて、会期ギリギリになってくると山種は遠いと思ったり、仕事が終わらなかったりでかなり迷ったが、歌舞伎座ファンとしては行かないわけにいかないだろう。というわけで、娘の外出時間を利用して1人で行ってきた。
 
山種は多分初めてかなあ。印刷したHPの地図を手に恵比寿駅から歩き出す。歩いてみれば別になんということなく、駒沢通り沿いに広尾のほうへ約10分進めばいいだけだった。途中同じ地図を手にしたオジサンを発見。山種の地図は懇切丁寧で、渋谷橋のところの歩道橋の渡り方までしっかり指示されている。
 
その丁寧さが展示にも表れていると思ったのは、鑑賞の順番が経路番号で示されていたから。つまり、経路1の次は2へ進めと「⇒」付きで掲示されていて、好き勝手に見たい人もいるだろうけれど(そういう人は指示を無視すればよい)、私は美術展でいつもどういう経路で見ていいかわからなくなるのでとてもありがたかった。
 
前置きが長くなった。
 
歌舞伎座にこんなにたくさんの絵画があったんだぁとちょっとビックリした。私たちの目に触れていた作品だけでなく、貴賓室や会長室に飾られていて今回初めて公開されたものもあり、興味深い。
 
絵画ではないけれど国立劇場にある六代目菊五郎の「鏡獅子」(平櫛田中作)のミニチュア版みたいなのがあって、これは「ほしい」!! 遅ればせながら最近になって、国立の「鏡獅子」の素晴らしさがじわじわと心に迫ってきている私。この小さな「鏡獅子」も、今にも動き出しそうな躍動感というか、獅子の動きを一瞬切り取ったような緊迫感に溢れていて素晴らしい。
 
絵画以外で興味を惹かれたのは、歌舞伎座復興を祝うマッカーサーの手紙(195112日付)、歌舞伎の素晴らしさを讃えるマッカーサーの後任リッジウェイの手紙(1951526日付)、「沓手鳥孤城落月」「藤娘」「四の切」「四谷怪談」の台本。「沓手鳥孤城落月」の台本には戦前の警視庁の検閲印が押されている。また「藤娘」などにはGHQの検印があり、当時の歌舞伎の置かれた状況を物語っている。
 
そのほか貴重な押隈や、役者さんの作品などもあって目を楽しませてくれる。とくに、六代目歌右衛門が自身の楽屋の欄間のために描いた「紅白梅図」は興味深い。平成133月に亡くなるまでその部屋に飾られていたそうだ。
 
画家の絵では最初に洋画8点、次に多数の日本画が展示されている。洋画の「幕間」(橋本邦助)、日本画の「さじき」(鏑木清方)が直接観劇姿を描いたものであり、私には嬉しい。「暫」(尾形月山)は江戸時代の芝居小屋の様子が臨場感たっぷりに描かれ、平成中村座への思いを馳せた。
 
「くものおこない(衣通姫)」(和田英作)は私の中の衣通姫とはずいぶん印象が違うけれど(なんとなく衣通姫って好きなのだ)、それはそれで強く心に残る姿である。
 
洋画も日本画もひとつひとつリストアップしたい魅力的な作品ばかりだけど、その中で一番好きなのは「夜桜」(松林桂月)。墨だけでこれだけの色彩が表現できるのは素晴らしい(花の部分だけは胡粉を使っているそう)。この作品って歌舞伎座のどこかに飾ってあったんだったかしら。なさけないことに覚えていない…
 
恵比寿から山種美術館への道は銀杏並木で、もっと色づけば散策として楽しいだろう。美術館のカフェではこの展覧会に因んだ和菓子(藤娘とか娘道成寺とか)があって心惹かれたけれど、自宅にいると急いで帰らなくてはならない私にはそれを楽しむ余裕もなく残念。
 
この貴重な展覧会は明日で終わっちゃうから、まだの方はぜひ。

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コメント

この美術展、始まる前は、「絶対、絶対行く!」と楽しみにしていたのですが、始まってみるとバタバタ忙しく、そして遠出が難しくなり、結局行けませんでしたー。
でも、SwingingFujisan様がいらしてレポしてくださり、なんだか心が落ち着いた気分です。ありがとうございます~。
せっかくの歌舞伎座休館中ですから、もっともっと、歌舞伎座の内部のこと、知りたいですネ♪

投稿: はなみずき | 2011年11月 6日 (日) 12時58分

はなみずき様
こんにちは。コメントありがとうございます。

そうそう、始まる前は「絶対行く」→バタバタ忙しく、遠出が難しくなる--まったく私も同じ状態でしたcoldsweats01 期間もけっこう長かったのに「いつでも行ける」と思うのがいけないんでしょうねえ。
歌舞伎座所蔵の絵画たちは、圧倒されるような迫力ではなく、どれも静かな佇まいで観る者の心に入ってくるような感じでした。また役者さんたちの絵も見事で、みなさん本当に多才なんだなあと感心します。もっといろいろご紹介したかったのですが…(手に取りやすい図録がありますよ)。
こうして美術館でまとまって展示されると、歌舞伎座で見るのとはまた違った印象を受けました。新しい歌舞伎座でもこの中の作品のいくつかが飾られると思いますが、今度はちゃんと意識して名画鑑賞をしたいです。

投稿: SwingingFujisan | 2011年11月 6日 (日) 14時26分

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