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2011年11月15日 (火)

やっぱり小屋の雰囲気はいいなあ:平成中村座夜の部

1114日 平成中村座昼の部(平成中村座)
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まだ建設前に下見に行った時の遠さを思うとちょっと億劫な気もしたが、スカイツリーを眺めながら歩いたらそんなに遠い感じも受けなかった。まもなく中村座という頃、雨がぽつぽつ落ちてきた。天気予報では夜降るって言ってたけれど、荷物になるからと傘は持っていない。急いで中へ入ると程なくして、強い雨音。土砂降りだ。早めに出てきてよかった。
「猿若江戸の初櫓」
たしか平成17年、勘三郎襲名公演の最初の演目だった。あの時も猿若は勘太郎さんだった(当時はまだ勘太郎「クン」でしたわ~)。今回は阿国に七之助さんと、兄弟が揃った。お祝いの演目だし、楽しく見ることができた。ラスト、舞台正面奥の扉が開いて、スカイツリーを借景とした江戸の町が展開するようだが、私の席からはかろうじて隅田川が見える程度。それでも幕が閉まり始めるとほぼ同時に黄色い船が通りかかったのが目に入って、なんか幸せ気分。
「沼津」
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しょっぱな、小山三さんの妊婦さんがご飯をのどに詰まらせる場面は何とも可笑し味があって、嬉しい。とにかくお若いです!!
仁左様の十兵衛は本当にいい男。私の席からは下手を向くことの多い仁左様のお顔がよく見えて、ず~っと見惚れておりました。一方の勘三郎さんは上手を向くことが多く、何か剽軽なことをする時の愛敬たっぷりのはずのお顔が見えなかったのは残念。
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人が座席を歩くときは拍手拍手で、上から見ている私も楽しい。
仁左様がお米(孝太郎)にうっとり惚れる場面は仁左様独特の色気、愛敬が素敵で、こちらの頬も仁左様に合わせて思わず緩んでしまう。荷持ちである松之助さんとのやりとりも上方のやわらか味が利いているせいか、リアルな生活感がうまく芝居に包まれていて、微笑ましい。「いつもはきれいなところきれいなところ」と宿を決めるのに(私もそうだ)、今日に限ってこんな汚いところに泊まるのは合点がゆかぬ…安兵衛に「これこれこういうわけなのよ」と教えてあげたくなる。でも安兵衛はやがて、あっ、そうか!! とにやっとする。楽しいねえ、こういうの。
そんな楽しく面白い前半が、夜更けてから一変する。十兵衛も平作も寝静まった中、1人思い悩みついに決意するお米。十兵衛から大事な薬の入った印籠を盗み出す(十兵衛が布団の下に入れたのを事前に見ていたのだ。その時からずっとお米は悩んでいたに違いない)。闇の中で何かに蹴躓いたために盗みが発覚する。平作がお米を折檻する。私はここでもう涙。
平作の気持ちが痛いほど伝わってくるのだ。貧しい暮らしながら人として道を踏み外すことのないように生きてきた(自分が運ぶべき荷物を客自身が運んだのに駄賃をくれた。それを「いただいたりはできない」と断る。その断り方に芯の通った生き方が見えた。結局は受け取ることになるのだが、それも自分がほしくてというのではなく、客の好意を無駄にしたくないという思いが感じられた)、でも娘の気持ちもわかる。逆縁になるんじゃないよと諌める。そういう父親の心情を思ったら、もう涙が止まらないんである。
 

勘三郎さんの平作はかなり楷書な演技だったのではないだろうか。めちゃくちゃ崩す演技は面白いには違いないが、私はこういう勘三郎さんのほうが好きだ。みすぼらしいなりで登場しただけで十分舞台は明るくなるのだし、ただそこに立っているだけで愛敬もたっぷりある。娘と2人暮らしの貧しい老人の寂しさも伝わってくる。私はほとんど勘三郎さんの後ろ姿しか見ていないのだけど、後ろ姿にそういうものがすべて表れていた。
 
涙を拭き、ぐずぐず鼻水をすすっているうちに、場面は千本松原へ。ここでもう一泣きするかと心構えていたら、意外にもここはほとんど泣かなかった。2人が「会いたかったあ!!」と抱き合うところでぶわっと涙が溢れたが、それだけ。どうしてだろう。正直、もっと泣きたかったな。
 
彌十郎さんの孫八にお米を守ろうとする忠義心がしっかり見て取れてよかった。
 
「弁天娘女男白浪」現代っ子不良の七之助弁天と勘太郎力丸。しかし勘太郎さんはバレる前の声とか喋り方が時々左團次さんを思わせて(菊五郎弁天、左團次力丸っていうのが好き)、古風さを感じた。南郷は、ともかく力の入れ具合抜き具合、見事だった。
 
七之助さんは全体にちょっと力みすぎかなあと思う部分があったが、花道での南郷とのやりとりはとてもよかった。「どなたさまもまっぴらごめんねえ」はちょっといただけない気がしたけど…。
 
正直、浜松屋にはいつもの面白さをあまり感じなかった。
 
稲瀬川勢揃いは、よかった。やっぱり小屋の雰囲気はいいなあ。
 
ところで「あ、筋書きの割引券忘れた」ってわけで昼の部を見るときに買うことにしたんだけど、割引券見たら中村座は入っていませんでしたわ。

<上演時間>「猿若」30分(16001630)、幕間20分、「沼津」100分(16501830)、幕間25分、「弁天」70分(18552005
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お大尽以外の方は、お帰りはバスでbleah 無料バスが松屋前まで行ってくれてとても助かる。14日はお酉様だったそうだけど、寄らずに。

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コメント

私も昨日通しで拝見いたしました!
またニアミスでしたわsweat01
「沼津」は本当に感激いたしました。まわりの方もずいぶん泣いておられる方が多かったように思いました。

「白波五人男」はFujisanの言われるように浜松屋の強請の場面の盛り上がりがいまひとつでした。 大変失礼ですが、浜松屋の主人と若旦那が・・・大店を張っている風情に見えず・・・残念weep
(お二人ともに頑張っていらっしゃいますが)
やはり音羽屋さんチームで見慣れているせいもあるのかしら?

投稿: maroon6 | 2011年11月15日 (火) 23時31分

maroon6様
あら、昨日もニアミスでしたのね!!
「沼津」は、確かにあちこちからすすり泣きの声が聞こえましたね。若い勘三郎さんが老父の気持ちをしっかり演じ、年上の仁左様が若々しい色気と愛敬、そして父恋しの悲しさを表現して、いいお芝居でした。
浜松屋については同感です。さらに、番頭さんにももうひと味ほしいなと思いました。お芝居は脇が作る空気が大事なんですね。でも経験が役者さんを育てるという面もありますから、今後に期待しましょう。

投稿: SwingingFujisan | 2011年11月15日 (火) 23時55分

ワタクシ中村座は初体験だったのですが、江戸時代の人達はこんな近くで見ていたのかな~なんてワクワクしました♪
幕間で舞台を真横から見る席を見学に行ったのですが、なんとも面白い眺め!!
ちょっと見づらいような気もしますが、一度は体験してみたいなぁ。Fujisan様はあの席でご覧になったことがありますか?

沼津は予想通りとても良くて、ただ勘三郎さんの声の調子が違うように思えたのは気のせいでしょうか?病気だからと心のどこかで思っているからそう聞こえるのかなとも思ったんですが。。。

弁天小僧は正直。。。うーん。。。
七之助さん、もうちょっとできるかなと思っていたのですが、やはりなんでもそんなに簡単にはできないものなんですよね。美しさも色気もバッチリある方なので、いつか素敵にワルイ弁天小僧を見せてくれるであろうと期待しています!南郷は見ていて安心。
番頭さんはもっと大げさにやってくれても良かったかな。。。
比べるものではないとは思うのですが、やはりどうしても音羽屋さん一門を見慣れている(しかも音羽屋一門の弁天はもうできあがっている)ので、それが基準になってしまいますねcoldsweats01

投稿: 林檎 | 2011年11月17日 (木) 10時45分

林檎様
コメントありがとうございます。
まあ、意外にも初中村座でいらっしゃいましたか。独特の雰囲気があって、なんともいいですよねえ(えへ、私は中村座では桜席専門ですよ)。

沼津の勘三郎さんの声、私は気になりませんでした(っていうか、私は本当にな~んにも気づかないので--それでいつも娘に叱られます--、勘三郎さんの声の違いにも気づかなかったと言うべきでしょうかcoldsweats02)。先日放送された中村屋の密着を昨夜ざっと流してみましたが、勘三郎さんの病気がけっこう大変な状態にあったことを知って驚きました(初診の医師には「引退しろ」って言われたんですって)。復活されて本当によかったです!!!

音羽屋の弁天は完成度が高いですものね。それと比べるとどうしても物足りなさが感じられますよね。それを乗り越えるのは、舞台を積み重ねることかなと思います。弁天と南郷のコンビはこれ以上ない2人なんですから、近いうちにきっといい弁天の世界を築いてくれると期待しています。

投稿: SwingingFujisan | 2011年11月17日 (木) 11時33分

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