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2011年11月11日 (金)

顔見世歌舞伎昼の部②:ラストは納得いかないけれど楽しんだ

119日 顔見世大歌舞伎昼の部

「道行」
 
菊ちゃんがきれい。花道から登場したときには、菊ちゃんが歩を進めるごとにそこに(お芝居の中で言えば山道でしょうか)花が顔を赤らめながら開いていくようで、見惚れた。
 
松緑さんもきれいでカッコいい。スッポンからの登場にちょっとドキドキしたほど。
 
しかし、ず~っと寝不足だったし、お昼を食べちゃったし、というわけで眠気を堪えるのに必死で、とくに前半はキツかった。源平の戦物語あたりから少し調子が出てきたけれど(松緑さんじゃなくてこっちの調子ね)。
 
團蔵さんの逸見藤太が剽軽で楽しい。花道の松緑さんからの傘はどんぴしゃで團蔵さんへ。2人の呼吸が合って見事にキャッチ。
 
次回は、お昼を食べないで見ようかな。
 
「魚屋宗五郎」
 
涙腺がここでもゆるんで、お蔦(浪路)の死を嘆く宗五郎一家にうるうるうるうる。とくに團蔵さんの太兵衛に感情移入して泣けたのは私のファザコンのせいか(ドタコンだったりファザコンだったり…)。
 
菊五郎さんの酔っていく様が可笑しくて笑った笑った。もちろん菊五郎さんご本人の自然な酔い加減もだが、周囲の人々がめちゃくちゃ可笑しい。松緑さんの三吉がちょいちょい余計な口出しをして怒られる様にはこの一家の江戸っ子ならではの温かい日常が感じられる。国立の通しで松緑さん自身が演じた宗五郎もとてもよかったが、三吉も適役。菊五郎さんの宗五郎を勉強するように見つめている姿が目に残った。
 
酒屋丁稚・大河クンの成長ぶりに目を瞠る。初お目見えの時の小さくて頼りない姿とは大違い。セリフもしっかりしていたし、実に可愛らしい。観客みんなの目尻が下がっていた。三吉との絡みでは、松緑さんに父親の顔がちょっと感じられてこれも微笑ましい。
 
菊ちゃんのおなぎは図らずもこの騒動に巻き込まれて、というかその発端を自分が作ってしまったというとまどいがおっとりした中に感じられて、これがまたなんとも可笑しみを覚えさせる。
 
毎度書いているかもしれないが、時様のこういうおかみさん、だ~い好き。上品なのに江戸の庶民の生活感がたっぷり感じられ、夫を立てながら一家を切り盛りしている様子がわかる。酔って暴れる宗五郎を体を張って止めようとするところなんか、可笑しくて涙が出た(時様って、江戸のおかみさんをやると必ず転がっている気がする)。

さて、宗五郎は酔いにまかせて磯部屋敷に乗り込んでいくわけだが、庭先で一眠りして目覚め、殿様に謝罪されると、ころっと態度が変わってしまう。自分のしでかしたことの大きさに気づき、殿の謝罪を卑屈ともいえる態度で受け入れる。殿様側としては金も渡すし、父親には2人扶持を与えるし、それが庶民に対する精いっぱいの詫びかもしれないが、私はいつもここが納得いかない。このまま目出度し目出度しで幕が閉まるのは、もやもやしたものが後に残る(何の落ち度もないのに惨殺されたお蔦が哀れすぎる)。しかしこれが当時の身分の差というものなのかもしれない。
 そういえば磯部主計之助の三津五郎さんも宗五郎をやっているんだっけと気づいたら、3人の宗五郎役者がそろうとは贅沢だなと思った。
 
ここの屋敷の場面では足軽(八重蔵さんと咲十郎さん? 違ったらごめんなさい)の2人がとてもよい味を出している。末端とはいえ武家社会の人間であるという面をもちながら、人柄のあたたかさが表れていて、気持ちがよい。
 
このお芝居は主役の菊五郎さんの味にプラスして周囲の人物のよさ、好演が光ると思った。
 
<上演時間>「傾城反魂香」78分(11001218)、幕間35分、「道行」50分(12531343)、幕間25分、「魚屋宗五郎」75分(14081523

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コメント

今晩は! 私も9日演舞場におりました。
先月相当通ってしまったので、今月はパスするつもりでしたがcoldsweats01結局は1日通しで観てしまいました。
夜の部の新三がカッコよくて、やっぱり来てよかったと思いました。

Fujisanさまがおっしゃる、結末になんだか納得がいかない気持ち、よくわかります。
歌舞伎の場合、御都合主義ですし、女性が理不尽に殺されてしまう場合が多いですよね。
それが歌舞伎だと言われてしまえば、そうなのですが・・・

投稿: maroon6 | 2011年11月11日 (金) 22時42分

maroon6様
こんばんは。コメントありがとうございます。
9日の帰り際、ロビーに残っていらっしゃる通しの方々をお見かけしましたが、あの中にmaroon6様もいらっしゃったのかもしれませんねhappy01

新三は評判がいいようで、私も早く見たくてウズウズ。お芝居を見て「来てよかった」と思えるのは演じる側にとっても観る側にとっても幸せなことですね。よく亀治郎さんなんかがおっしゃる気持ちのキャッチボールができているんだなあと思います。

歌舞伎には納得のいかないお話がたくさんありますね。その最たるものは「幡随長兵衛」ですが、宗五郎もいつもモヤモヤ気分なんです。ま、たしかにそれが歌舞伎で、そこにツッコミを入れるほうが間違っているのかもしれません。

先月の演舞場、本当に楽しかったですね!! 来年2月の博多座も澤瀉屋さんたちご出演のようで、また楽しみです!! 遠いので通うわけにはいきませんが、絶対行きたいと今から日程だけは調整しています。

投稿: SwingingFujisan | 2011年11月11日 (金) 23時09分

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