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2011年11月 4日 (金)

箱根へプチ旅行④:レオナール・フジタに出会う

112日 「レオナール・フジタ」展(箱根ポーラ美術館)
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ポーラ美術館の実力にびっくり。フジタのコレクションは後で触れるとして、常設のコレクションが素晴らしい。印象派を中心とした西洋絵画、それもその画家のとてもいい絵を揃えている。また日本画家による日本画・洋画もとても充実しており、常設展だけでも十分見応えがある。絵画だけではない、化粧道具(西洋の19世紀ごろの道具、日本の江戸時代の道具など)、中国の陶磁器と、どれも驚くばかり。仙石原の木々に囲まれたガラス張りの静かなモダンな建物もステキだし、箱根に来たら必ず寄りたい場所の1つだと思った。
 
さて、フジタの作品についてはほとんど知識がなくて、今回初めて「こういう絵を描く人だったのか」と知った。ポーラではすでに何十点もの作品を所蔵していたが、今年さらにコレクションをふやし、この展覧会ではなんと全172点もの作品を公開しているのである。と同時に、フジタが影響を受けたり親交のあった画家たち(モディリアニ、キスリング、ピカソなど)の作品も展示されている。

この企画展では、ただ作品を並べるだけではなく、フジタの魅力である「素晴らしき乳白色」、戦争を経験してのパリへの思い、アトリエでのフジタに焦点を当てることにより、フジタという画家の全体像をくっきりと浮かびあがらせている。それには土門拳の写真が大きな役割を果たしている。
 
フジタは誰にも出せない白色を作り上げた。戦前、下地としてシルバーホワイト(鉛白)を使っていたが、戦争中はそれが入手困難となり、ジンクホワイト(亜鉛華)を数点の絵に用いたことがX線解析によりわかった。そして油絵具の地塗りに墨をのせるためタルク(白い鉱石の粉)を施したが、実はその正体はなんとシッカロール(和光堂)であったそうだ。それを明らかにしたのは土門拳が撮影したアトリエでのフジタの写真であった。というのが面白い。また、ぼかしに木炭の粉を使っていたことも土門拳の写真から解明されたそうである。
 
その美しい乳白色を使った代表作は「姉妹」だろうか。この絵が収められている額がまた面白い。ハートなどの飾りの入った八角形の額縁はフジタ自身の手になるものだそうだ。
 
フジタの作品の中でとくに面白かったのは、「小さな職人たち」シリーズ。子供を職人に見立てた、まさに職人尽くし(ものつくりの職人だけでなく、様々な職業が描かれている。モナリザを後ろにしたルーヴルの警備員までいる)。フジタの描く子供たちの顔はこの職人シリーズに限らず、ちょっと私には怖い(あの顔は日本人の感覚ではないような気がする)けれど、小さなタイルのようなパネルに描かれた職人たちを眺めて歩くのは楽しかった。
 
娘が見たいと言って出掛けたポーラ美術館だが、フジタという画家に出会えてよかった。

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館内のカフェで。


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