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2011年12月16日 (金)

感動の「元禄忠臣蔵」

1214日 「元禄忠臣蔵」(国立劇場大劇場)
この日を狙ったわけではなく、この日しか行かれなかった偶然がラッキーな感じ。しかし、なんという大ボケ。チケット発券機を操作したら「すでに発券済みです」という表示が でぇえ~っ 先月発券したことをすっかり忘れていた。もう1枚買うのもなんだし、一応チケット売り場に事情を話してみたら、仮チケットで入れるようにしてくれた(あぜくら会の会員証を持っていてよかった)。ありがとうございました!!
「江戸城の刃傷」
江戸城内のあの慌てぶり、大騒ぎを見ると、内匠頭がやらかしたことがどれほどの出来事だったかに改めて思いを致す。その大騒ぎの中、梶川与惣兵衛と御坊主に羽交い絞めにされ身動きのとれないでいる内匠頭の焦燥、無念さを思い、融通のきかぬ2人に私まで苛立ちを覚えた。2人の事情・理屈はごく当然のことであるのだが。悄然と去る内匠頭を見送る多門伝八郎(歌六)のまなざしが温かい。
田村右京大夫屋敷で、切腹の前に吉良の傷の程度を確かめる内匠頭に、南座で見た「千石屋敷」の仁左様の大石の思いが重なる。ここでの内匠頭(梅玉)は、吉良の傷が浅傷であることを知って気落ちする。吉良は老人だから養生ならないかもしれぬと言う多門の言葉に、諦めというか達観のようなものが感じられて哀れさが増した。
片岡源五右衛門(歌昇)の背中に万感の思いが込められ、内匠頭としっかり見つめ合い、声を忍ばせて体を震わせている姿に涙を誘われた。
「御浜御殿」
吉右衛門さんの綱豊と又五郎さんの富森助右衛門の息詰まるようなやりとり、手を握り締め思わず身を乗り出して(最後列だったし)見入り聞き入った!! 
私はこれを見るたびに、綱豊に思い入れ、助右衛門に対しては甘さの苛立ちを覚えてきたような気がするのだが、又五郎・助右衛門の一途な真面目さは素直に胸に沁みてきた。大石が放蕩に身を持ち崩しているから仇討の企てがあるに違いないことを綱豊に指摘され、助右衛門が六代将軍の職を望むゆえ作り阿呆の真似をしているのではないかと逆襲し、現将軍によって取り潰された大名家のことに触れた場面では思わず涙が出た。綱豊が酒食に身を持ち崩しているのは将軍家の疑いを避けるための方便だと、言われたらあなたの心は痛まぬか…と追及する場面である。綱豊の手にかかるかもしれぬのに、それを恐れずきっぱりと相手の心に踏み込んでいく助右衛門の心の迸りが凄まじかった。
それに対する吉右衛門・綱豊は確信犯的にずばずば助右衛門の心に踏み込んでいく。「この綱豊のために行くべき道を示せ」と言いながら、「綱豊の行くべき道はもう決まっているぞ」と自分に言い聞かせているようでもある。
芝雀さんのお喜世は慎ましく、綱豊が可愛がる気持ちがよくわかった。
助右衛門が吉良を討とうと逸り刀を取って走り出そうとするのをお喜世が縋りついて止める。2人はずるずると座敷を引きずり引きずられする。そういう場面が2度あったが、2度とも客席から笑いが起こったのは解せない。これまでの展開を見ていれば笑うところではないと思うが、あるいは緊張感がここでとけたのだろうか。
又五郎さん、足もどうやら完治されたようで、ますますいい役者さんになられたと嬉しく思った「御浜御殿」であった。

この後の「大石最後の一日」は、体調不良のため残念ではあったがパス。体調不良は未だ引きずっており(横浜へも耐えながら行ったcoldsweats02)、今日医者へ行ったものの診断つかず。明日もう一度別の科で診てもらう予定(待ち時間が長くて34時間はかかるし、院内感染で風邪やインフルエンザをもらいそうであんまり行きたくないんだけど、しょうがないよね)。
<上演時間>「刃傷」35分(12001235)、幕間35分、「御浜御殿」85分(13101435)、幕間20分、「大石最後の一日」80分(14551615

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

本日12/17に観てまいりました
(小田急が事故で代々木上原方面がSTOPしてしまったので、復旧待って遅れるよりはと逆方向の小田原に出て新幹線で劇場入り。なんとか間に合いました)
笑いのところ、12/17もありました。困ったものですね。
体調不良で観られなかったという「大石最後の一日」は私は泣きました。
内記役の鷹之資の姿に泣き、おみのの「偽りを誠に返す」という訴えに泣き、磯貝の琴爪に泣き、荒木十左衛門の情けに泣きと、ずっと泣き放しでした。

投稿: うかれ坊主 | 2011年12月18日 (日) 00時20分

うかれ坊主様
コメントありがとうございます。お返事が遅くなってすみません。
「大石最後の一日」、コメントを拝読して、見逃したことを大変残念に思いました。
鷹之資クンは今日の東京新聞に来月の「連獅子」のことで大きな記事が出ており、吉右衛門さんが後ろ盾となって私生活から基本を叩き込むとありました。セリフのある芝居はほとんど未体験ということですし、私も内記をぜひ見たかったのですが…。

電車の事故は本当に困りますね。代替ルートがあってよかったですね。でも新幹線とは!!(新幹線は本当に早くて助かりますね) 

投稿: SwingingFujisan | 2011年12月18日 (日) 15時18分

新幹線使わなくとも、結果的には間に合ったようでしたが、車窓からの富士山がきれいでしたので「見物費」と割り切りました。
私も東京新聞は週末だけ歌舞伎・文楽の劇評が出るので駅売りを購入します。
今日は長谷部さんの日生の劇評が出ていましたが、渡辺保さんの弁慶評と正反対でしたので観る人によってこうも違うのかと驚きました。
(PS)国立劇場が「はねた」あと半蔵門駅前の山下書店で片岡秀太郎さん(坂東亜矢子構成)「上方のをんな」という本を購入しました。さっそく読み始めています。

投稿: うかれ坊主 | 2011年12月18日 (日) 21時27分

うかれ坊主様
新幹線からの富士山は格別でしょうね。私は遠征時、なかなか富士山側の席が当たらないのですが、先月箱根に行ったときにロマンスカーから見えて、ちょっと興奮しました。
しかし新幹線は早い(って、しつこいようですが)!! クラブワールドカップの決勝は往復とも新幹線を使ってしまいました。

うかれ坊主様も東京新聞の古典芸能欄をお読みでしたか。毎週の楽しみですよね。渡辺評と長谷部評の違いを見ると、プロの批評家でもこんなに意見が分かれるのだから(そういうことは間々ありますが)、素人の観方がまちまちになるのは当然なのかもと思いました。

「上方のをんな」、秀太郎さんのブログでご本人が手に持っていらっしゃる写真がアップされていましたhappy01 

投稿: SwingingFujisan | 2011年12月19日 (月) 01時09分

SwingingFujisan様
 今年も押し迫ってきました。私の観劇納めは、先週の国立劇場でした。予想通り吉右衛門が抜群でした。「お浜御殿」仁左衛門の綱豊卿も傑作ですが、吉右衛門も別のタイプながら、これも傑出していると思いました。そして、この綱豊に対峙する又五郎の助右衛門が素晴らしい気迫で、この作品の神髄を味わうことができました。最近は、若い役者が助右衛門をやりますが、又五郎クラスの役者が演じるのが、作者の本来の意図だったのでしょうか。
 そして、「大石最期の一日」、吉右衛門から、鷹之資に至るまで皆、会心の出来栄えだったと思います。Fujisanさんご覧になれなくて残念でした。私は、芝雀のおみのが素晴らしかったと思います。純情な女性の心理を描いて余すところなしです。この役に関するかぎり、雀右衛門を超えていると思いました。ところで、NHKに残っている映像で先代幸四郎が南座でやった「大石最期の一日」があるのですが、そこでの磯貝が孝夫チャンでした。なんと綺麗な役者かと感激したのが懐かしい思い出です。
(先週一度コメントしたつもりだったのですが、データが飛んでしまったみたいで、再コメントしました。時期を失して申し訳ありません)

投稿: レオン・パパ | 2011年12月29日 (木) 18時42分

レオン・パパ様
コメントありがとうございます。再コメントしていただいたとのこと、加えてありがとうございます(先週のコメント、こちらに届いておりませず、申し訳ありません)!!
吉右衛門さんの綱豊、本当に素晴らしかったですね。おっしゃる通り、仁左衛門さんとはタイプが違いながら、見事な綱豊卿だったと思います。そして又五郎さんの助右衛門も実に見応えあって、これまでで一番好きな助右衛門だと思いました。又五郎さんは襲名公演での怪我を乗り越えて、一段と力をつけられましたね。
「大石最後の一日」の評判を目にするたび、本当に惜しいことをしたと悔やまれます。芝雀さんは女性の細かい心の襞を表現するのがとてもお上手ですね。丁寧で細やかな優しさを感じます。
孝夫チャンの磯貝!! おお、それはぜひ見てみたいです。ええ、ええ、さぞお綺麗だったことでしょうねえ。う~ん、森蘭丸の孝夫チャンももう一度見たくなってきました。

良いお年をおむかえくださいませ。

投稿: SwingingFujisan | 2011年12月30日 (金) 00時58分

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