« 開演時間に迷う | トップページ | 初南座、初顔見世:夜の部② »

2011年12月 2日 (金)

初南座、初顔見世:夜の部①

1130日 吉例顔見世興行初日夜の部(南座)
11120202minamiza
南座顔見世を見たいと思ったらしょっぱなしか日程が入らなかったので、チケットより先にホテルを確保して、無事初日を見ることができました。写真は、新装開場二十周年記念興行にて新調なった緞帳が上がりかけているところcoldsweats01

「楼門五三桐」
浅葱幕に大薩摩、これだけで胸がワクワク。浅葱幕が振り落されると、ああ~、そこは桜の花盛り。紅葉のさなかに満開の桜とは胸がきゅ~んとする。我當さんの名セリフ「絶景かな、絶景かな、春の眺めは値千金とは小させえ小せえ、この五右衛門の目からは値万両、万々両」におこまがしいながら、まさに「このSwingの目からも値万両」と同調したくなる。
我當さんは風格にプラスして五右衛門の尊大さが感じられた。白鷹が運んできた血染めの遺言を見てからは悔しさ、憎しみが強く前面に押し出されているようで、五右衛門の感情がこんなに伝わってくるのは初めてのような気がした。
壱太郎クンが珍しく立役(久吉家臣・右忠太)で立ち回り。同じく家臣・左忠太の進之介さんに比べるとやわらかい(とくにセリフが)。
久吉(秀太郎)が柄杓で手裏剣を受けるところは、ちょっとモタついた感じでタイミングがズレたように見えた。
力いっぱいのツケが響き、いかにも錦絵的な舞台を楽しんだ。
「実盛物語」
三津之助さんの名題披露というから頭が混乱したが、南座での披露ということだったのね(東京では5年も前に歌舞伎座で披露公演があった)。で、その三津之助さんが右之助さんとのやりとりで、いかにもワルそうなところを見せるのが幕開き。矢走仁想太役の三津之助さんは終わり近くにも登場して、実盛に殺される。
菊五郎さんの実盛は初めて見る。実盛は仁左様と決めちゃっている私にとって、菊五郎さんの実盛もステキであったが、仁左様よりやわらかい感じがするので、前半部分より後半のほうがよりステキかなと思った。太郎吉との絡みの場面は温かく微笑ましく(太郎吉が葵御前の出産を覗こうとして実盛に「めっ」とやられるところは回数がいつもより少なかったような…)、度量が感じられて、別れの場面がいつもより切なかった。実盛が馬に乗って花道を引っこむ時、おそらく鳥屋の近くあたりだろうと思うけれど、客席から大きな笑いが起こった。何かハプニングがあったのかしら。私は3階席でそこまでは見えなかったので。
葵御前はおなかに赤ちゃんがいるようには見えなかった。これまで見た葵御前はもっとおなかが大きかったと思ったけれど…。孝太郎さんは百姓家に匿われている衣裳の時にはそういう境遇に馴染んで見えたが、身分の高い衣裳に変わったら、今度は格が感じられて、その変化が面白かった。
時さま、小万は初役かしら。この場面だけでは、腕がくっついた途端生き返ってということで感動よりむしろ客席は笑ってしまうから、ちょっと残念(誰がやってもそうなんだけど)。
左團次さんの瀬尾は複雑な心境、娘・孫可愛さが感じられて哀れであった。首が落ちたときにやっぱり笑いが起こるのはやむをえないのだろうか。
子役ちゃんは可愛らしかったし、悲劇はあってもあたたかい気持ちになれる芝居だけれど、初日のせいか、全体にあまりこなれていないようで、日が経てばもっともっと面白くなるだろうと思った。

「仙石屋敷」
オペラグラスがどこかに消えちゃって(周囲の迷惑も顧みず、いや迷惑を気にしつつバッグの中をいくらまさぐっても見つからない。場面転換のときに探そうと思っても、真っ暗でどうにもならない。結局、芝居が終わってから、お尻の下から出てきた)、役者さんの顔がはっきりとは見えず、非常に残念。
でも、オペラグラスを覗けない分、芝居を全体として捉えることができたのではないかと自分では思っている。
仙石伯耆守の質問は、全部こちらも知りたいと思うこと。三津五郎さんはきびきびと的確に聞きたいことを聞き、大石の答えに突っ込んだり、納得したり、感心したり、しんみりしたり、感情移入できた。
仁左様は抑えた口調で丁寧に、腹から絞り出すように語る。仁左衛門大石の説明は明快で、こちらの胸にじわじわとアツいものを生まれさせる。吉良を討ち果たせなかった主君の無念を思う言葉は血を吐くようで、胸が締め付けられ、手をぎゅっと握りながら噛み締めた。
主税はこの日2度目の立役の壱太郎クン。感情の揺れ、武士としての矜持が若者らしく、なかなかいい主税であった。大石だって人の親、主税に死際の心得を確認しながら、見苦しく死なないでくれよという思いと別れの辛さが交錯していたのではないだろうか。
それぞれのお預かりの屋敷へと別れていくシーンはやっぱり悲しい。
オペラグラスがなくて一番残念だったのは大高源吾役の亀鶴さんを見分けられなかったこと(っていうか、出演者を確認しておかなかったから。わかってたら探したのに)。
場の転換が2度あったが、これが真っ暗な中でけっこう長くて、時間が押したのはこのためもあったかも。

|

« 開演時間に迷う | トップページ | 初南座、初顔見世:夜の部② »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。

臨場感あふれるレポ、ありがとうございましたm(_ _)m

「楼門五三桐」も「実盛物語」ももちろんよかったけれど(あの蝙蝠安がぁ~!という昼とのギャップも楽しみました)、やっぱり私は仙石屋敷。ちょっと勘違いで下手側の3階席をとってしまい(上手側にすれば浪士たちを奥のほうまで見られたのにぃ)仁左様も横顔を見るかたちになりましたが、その分間近でじっくりと凝視(!)できたのでまぁいっか、と(^_^;

三津五郎さんの伯耆守とのやりとり、セリフを充分に堪能しました。一昨年の歌舞伎座でも見ていますが、今回のほうが内蔵助が発する一言一言がより心に響いてきました(見る側が少し成長したのかも?)。もう1回見られると思うと、仕事が忙しかろうが、大雨だろうが、めちゃめちゃ寒かろうが、どうってこたぁありまっせん!

今から半月後が待ち遠しいからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2011年12月 3日 (土) 12時50分

からつぎ様
こんばんは。コメントありがとうございます。

千石屋敷、感動でしたねえ。からつぎ様も3階席にいらしたのですね。私はセンターより上手側で、オペラグラスさえあれば、浪士の顔がかなりよく見られた位置だったと思います(ほんと、お尻の下に落ちていたなんて、バカみたいcrying)。

内蔵助のセリフ、一言一言が胸に沁み入りましたね。仁左様の心の奥底からの叫びが観る者の心を揺さぶらずにはいなかったのだと思います。私も、もう一度見たくてたまらなくなってきました。

実盛と蝙蝠安とのギャップ、私は一晩あきましたが、続けてご覧になったからつぎ様にはより強烈な印象だったことでしょうね。今、思い出してくっくっ笑っております。

完敗だった最終戦、からつぎ様も近くご覧になっていらっしゃるんだろうなあと思いながら、見ておりました(今日はR席におりました)。

投稿: SwingingFujisan | 2011年12月 3日 (土) 22時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/43232741

この記事へのトラックバック一覧です: 初南座、初顔見世:夜の部①:

« 開演時間に迷う | トップページ | 初南座、初顔見世:夜の部② »