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2012年1月25日 (水)

演舞場夜の部再見

124日 初春大歌舞伎夜の部(新橋演舞場)
銀座にもまだ雪が残ってるなんてと感心しながら演舞場へ。
「矢の根」
今日は花道脇の前方席だったのでオペラグラスなしでもよく見えた。やっぱり前のほうは臨場感が違うかも。でも中村座の桜席に慣れちゃってるせいか、市松模様の障子が上がる前、その中を見たい誘惑に駆られる(「対面」では上がった障子が上でしばらくゆらゆらと揺れていた)。
三津五郎さんがとにかく大らかで気持ちがいい。セリフも明晰だし、七福神の悪口が何とも愛敬があって楽しい。
仁王襷と三味線の呼吸は前回書いたとおり。
奪った馬に跨った姿を見たら、馬体に巻いた鐙代わりの綱に足の親指の先だけを通していた。なんか不安定な気がしたが、後でしらべたら、もともと鐙には足を深く通さないでつま先を乗せるようにして使うんですって(今度から他の演目でもそこに注目してみよう)。それを知って、そのリアリズム(?)に感心してしまった。
大きさと愛敬と、荒事の魅力満喫の「矢の根」だった。
「連獅子」
2度目なので、鷹之資クンの姿を見たからと涙は出なかったが、親獅子が谷底に落とした仔獅子を見つけてほっと喜ぶ姿に思わずうるうる。仔獅子が谷に落ちるところは意外とインパクトがないが、花道で鷹之資クンは立膝に座り、目を閉じ、荒い呼吸を鎮めつつ、交叉させた両手の指を力いっぱいひらいていた。遠くから見ると休んでいるようだが、すぐそばでは全身に力が入っているのがわかる。その姿がいじらしくて、がんばれと心の中で声をかけながら見守った。仔獅子の精になって花道をバックするときは、両足の間にぱっと巻き込むようにして毛を挟んでいたが、その瞬間的な動きが見事だった。毛振りも勢いよくきれいで、真摯な姿勢が伝わってくる。
前回吉右衛門さんから迸り出ていた(と私は感じた)厳しさと温かさが混じった決意のようなものに加えて、今回は預かった鷹之資クンを包むような大きさが感じられた。
間狂言も錦之助さんと又五郎さんの呼吸がぴったりで文句なく楽しかった。 

「め組の喧嘩」
 
江戸っ子の粋と意気がいっぱいのこの芝居は何度見ても楽しい。いろいろ理不尽なこともあるが、理屈を考えずに見るのがいい。
 
島崎楼で障子を倒され怒って飛び出してくる菊之助さんのカッコよさ。声がやっぱりちょっとおかしかったけれど、その威勢のよさと江戸っ子らしい言い分に「そうだそうだ」と心の中で同調する。菊ちゃん、松也クン、亀三郎さん、亀寿さん――若くていい男たち。團蔵さん、権十郎さん――シブくていい男たち。喧嘩に出かける前、若い者を止めておくために勢いよく先行する團蔵さん、その後を追うように全身に決意を漲らせて家を出ていく菊五郎さん、かっこいいとしか言いようがない。いい男揃いのめ組の連中に私はにやにやしっぱなし。
 
一方の相手方には又五郎さんの九竜山のような納得できる相撲取りもいるものの、この芝居ではどうしたって分が悪い。九竜山、あっけなくやられてしまって…。
 
鳶の中に京由さんと春希クンがいたはずなんだけど、わからなかった(水盃の時、京由さんだけ見えた)。
 
菊五郎さんと時さまの夫婦は安心して見ていられると同時に、緊張感が漂っていたのは互いに離縁の覚悟をもっていたからか。江戸の女の意地が時さまによく似合う。辰五郎がお仲に、死ぬ覚悟で仕返しする気だと打ち明けたときには、それまでの辰五郎の悔しさを思い、感動して涙が出る思いだった。
 
大河クンはほんとちっちゃいのにいっぱしの江戸っ子で可愛いことこの上ない。「あいよ」のたびに客席が和む。自分も父親について喧嘩に行くと辰五郎に縋るところは、幡随長兵衛の倅・長松と重なる。
 
立ち回りも迫力たっぷりで楽しかった。
 
昂揚感に上気したまま外へ出て、友人と合流して軽くbeerの初ミニ新年会smile

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コメント

こんばんは。

大河くん、本当に可愛いですよね。中でもツボだったのは、座るたんびにいっちょまえに尻っぱしょり(?)すること。本当に本当に可愛かった(*^◯^*)

明日は浅草〜♪のからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2012年1月25日 (水) 21時25分

からつぎ様
そうそう、あの尻っぱしょり。かわいくてかわいくて!! それを書き忘れたことに、ルテアトルで気づき、帰宅したら追記しなくっちゃと思いながら、又すっかり忘れてしまっていましたcoldsweats02 思い出させてくださってありがとうございます。
今月は父子別々の劇場ですが、パパもすっかりご安心ですね。

明日は国立以外の4座が千穐楽ですね。

投稿: SwingingFujisan | 2012年1月26日 (木) 01時18分

私も再見では2列のセンターだったので、すっかり堪能しました。やっぱりコレという時には、頑張って、回数を減らしてもいい席で見たいなぁとつくづく思ったのでした。
そんなわけで・・・そう! 「矢の根」で馬に乗る三津五郎さんの足の指、私も注目しました。なんか見ていて気持ちいいんですよね。今月、三津五郎さんは昼夜とも、大きさ(とその中にある稚気)がとても印象的でした。「連獅子」も、ほんと親獅子・吉右衛門さんの表情にウルウル。「め組」は言わずもがなgood
そんな演舞場も、今日で千穐楽。私はけっきょく演舞場と浅草歌舞伎にしか行けませんでしたし、木曜は絶対休めないから楽日観劇とも無縁ですが、でも歌舞伎観劇ではいい1年のスタートが切れてシアワセだなぁと思ってます。

投稿: きびだんご | 2012年1月26日 (木) 10時51分

きびだんご様
こんばんは。すみません、日が変わってしまいましたcoldsweats02

見る場所によってインパクトが違いますから、そう、コレという時にはいい席で見たいですね!! 全体を見渡せる席、アップで見られる席、それにプラスして鳥屋に近い席で見られれると一番いいのですが…。

今月は都内で5座もあって大変でしたが、それぞれ楽しめました。演舞場は夜の部のほうがよかったので2度見にして成功でした。昼の部の「金閣寺」は幕見があればリピートしたのに。

そうそう、きびだんご様は木曜日がダメなんでしたね。私はなぜか、浅草公会堂は全部木曜日でしたsmile 
きびだんご様ほど多種多様な観劇活動はしていませんが、私も歌舞伎観劇は満足なスタートだったと、千穐楽の亀治郎卒業公演を見て、しみじみ幸せをかみしめています。

投稿: SwingingFujisan | 2012年1月27日 (金) 00時16分

>いい男揃いのめ組の連中に私はにやにやしっぱなし

分かります、分かります!! “いい男”揃い(ただのイケメンっていうのとちょっと違う。もちろんイケてるメンズですが、もっと色気があったり、男気があったり…!)のめ組の皆さんを思い浮かべるだけでテンション上がって仕事もはかどります(笑)。スケジュールの都合で、私は各座制覇できませんでしたし、演舞場はリピも出来ませんでしたが、SwingingFujisan様の記事で、本当に楽しませて頂きました!
大河クンのかわいさにも、参りましたねぇ~。

投稿: はなみずき | 2012年1月29日 (日) 11時01分

はなみずき様
コメントありがとうございます。
そう、「いい男」なんですよ、め組の男たちは。ほんと、テンション上がりますねえsmile
大河クン、お父様と離れての出演でしたが、立派に江戸っ子ぶりを発揮していましたね。かわいかったなあ。

1月は5座もあって、お仕事をされている方はスケジュール調整が大変だったでしょう。全部ご覧になれなくても、演舞場も浅草も楽しまれたご様子、同じ歌舞伎ファンとして嬉しいです!!

投稿: SwingingFujisan | 2012年1月29日 (日) 12時00分

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