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2012年1月27日 (金)

めちゃくちゃ楽しかった浅草千穐楽②:カーテンコールも

126日 新春浅草歌舞伎千秋楽夜の部(浅草公会堂)
 
「敵討天下茶屋叢」
 
さて大詰、源次郎が仇の噂を確かめに出かけようとすると、伊織が弱音をはき、源次郎にたしなめられる。気弱な自分を恥じて弟を送り出す伊織。源次郎は源次郎で草履の鼻緒が切れ不吉な思いがよぎるが、それを断ち切るように出かけていく。2人の永久の別れを予感させる場面である。亀鶴さんは口では強さを取り戻したようにして巳之助クンを見送るが、その表情には不安が浮かんでいて、哀れを覚えた。巳之助クンは嘆きが義太夫とよく合っており、兄の葬いのために花を摘む姿がかわいそうでかわいそうで泣けた。亀鶴さんと巳之助クンってあの化粧だと顔がとても似ていて、本当の兄弟のように見え、よけい哀切感が漂った。
亀鶴さんが一休みしようと小屋に入り中から扉替りのムシロを下したとき、小屋の上方の金具に止めてあったムシロの片方が外れてしまった。そうしたら中からムシロが落ちないように引っ張り上げている指が見えた(黒衣さんの指だと思うんだけど)。そんなハプニングも一期一会の芝居だから。
大詰の捕り物では、あの傾斜のきつい反り橋の足場に亀ちゃんがちょっと足を取られかけることがあって一瞬どきっとしたが、無事に降りてきてほっとした(橋に足をかける穴をあけた布が張ってあって、そのたるみかなんかに引っ掛けたんだと思う)。
毎回、亀ちゃんは座席のどこかに紛れ込むのだが、今回は私の2列後ろ、振り向けば真正面に!! 周囲からショールが何枚も差し出され(私も亀ちゃんがそばに来たらショールを渡そうと思っていた)、それに隠れて筋書きを読む亀ちゃん。でも前方席の人が追う三津之助さんと段一郎さんに亀ちゃんの居場所を教え、また追いまわしが始まる。
腕助が「本心に立ち戻ったのだ」と言うと、そのあまりの変心ぶりに客席が必ずどよめく。何しろ、元右衛門をこんな生き方に引きずり込んだ張本人だからね。腕助役の段一郎さんはなかなかイケ面で、こんなに大きい役は初めてじゃないかと思うけれど、とてもいい役者さんだ。応援したい役者さんがまた1人増えた。
千穐楽バージョンかなと思うのは、段之さん扮する雷おこし売りのバアサンが亀ちゃんに羽織と手ぬぐいを奪われ(この手拭が薄汚いのがリアル)、「この仇は妹が…」と言いながら消えたところ。これまではただ、くるくる回って消えていた。そして座席の間を逃げ回った亀ちゃんがいつものようにツケ打ちさんの座に来てツケ打ちさんを追い出そうとすると、そこにいるのはさっきのバアサン。ではなくてその妹 「姉のかたき~」なのだった。
亀ちゃんが白馬にまたがると、これも必ず客席から手拍子が起こる。舞台と客席の一体感があって楽しい。ちなみに、白馬の鐙は亀ちゃんの足がすっぽり入るほど大きくて深かったが、亀ちゃんは軽く指だけ鐙の奥に乗せているように見えた(奥までは見えなかったけれど、踵が上がっていたから)。

とにかく笑い笑いの大詰でのもう一つの期待は、源次郎・染の井・葉末に囲まれた元右衛門の楽屋オチ。巳之助クンには「あなたのような立派な人がいれば大和屋も安泰」。壱太郎クンには「か~ずクン、か~ずクン。学校の後輩なんだから刀向けちゃいけないよ」。そしてどこかに隠してあった赤と黄色のバトンを2人に渡す。文字通りのバトンタッチだ。
 
最後に春猿さんに「おくさま、おくさま」と近づき(もう、春猿さんはその前から肩が震えている)、「奥様にはバトンを渡すわけにはいかない。でもお約束の、奥様が大好きな韓流スター、カン・ジファンのブロマイドを」。さらには常盤津勘寿太夫の写真を見せて「はっきりさせておきたいんだけど、カン・ジファンと勘寿太夫、どっちが好きなの?」とくるから、春猿さんの震えがもっと大きくなって、客席もどっと笑う。亀ちゃん、「セットでどうぞ」と2人の写真を渡していた。
 
さて、あえなく討たれた元右衛門、染の井の袖をつかんで離さない。いつもはすぐに立ち上がる春猿さんだが、今回はよほど強くつかんでいるようで、全然立てない。巳之助クンと壱太郎クンは芝居を進めてさっさとその場を立ち去ろうとしている。春猿さんはやっとの思いで亀ちゃんの手を振りほどき、花道七三あたりで2人に合流。
 
あ~、もうめちゃめちゃ面白くて楽しかった。
 
カーテンコール
 
亀治郎さんが片岡造酒頭の扮装で出てきて、例の亀治郎調挨拶(ぐっと目に力を入れて、客席を見まわし、手を胸に当ててお辞儀)をして引っこむ。その後薪車→春猿→壱太郎→巳之助の順に登場してそれぞれ交互に上手下手に控える。最後にラブリンが姿を見せる。ステキ!! あ~あ、死んじゃった亀鶴さんはこの場に出ないのかあなんてちょっと寂しく思っていたら、なんと!!
元右衛門姿の亀ちゃんに縄をかけて、亀鶴さんの伊織と男女蔵さんの弥助が登場したではないか。3人とも死んじゃっているから頭に三角布をつけている。元右衛門に罰としてこれを与える、とか亀鶴さんと男女蔵さんが横断幕をくるくると開いていく。
 
そこには「亀治郎さん、浅草歌舞伎14年間お疲れさまでした! 市川猿之助ご襲名おめでとうございます」と大きな文字で書かれていた。そしてその周囲に小さな文字で様々なメッセージが。そういえば、幕間に大きな布が置いてあって、そこに亀ちゃんへの応援メッセージを書くようにというコーナーがあったのだが、いつにないトイレ行列で時間を費やした私は、「そういうことは若い女性にお任せして」という気持ちでその布をよく見もしていなかった。そういう仕掛けだったのか。嬉しそうに「知らぬ間にこんな粋なはからいがあったとは。ここで泣くのは普通の役者。亀から猿になってもここに戻ってくる」と言う亀ちゃんに、舞台も客席も大喝采。
 
来年から亀ちゃんが浅草にいないと思うと寂しい限りだけれど、せっかく亀ちゃん、中村屋兄弟が土台から作り上げた若手の浅草歌舞伎をこれからも応援しよう。
ありがとう、浅草歌舞伎sign03

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