« アツくなれなかった「三人吉三」 | トップページ | 朝、出かける前の1時間 »

2012年1月17日 (火)

全部楽しくて昂揚した演舞場夜の部

116日 初春大歌舞伎夜の部(新橋演舞場)
色々手違いがあって、本当は今日行きたくないなあという日のチケットを取ってしまった。でも久々に取れたベストコスパの席なので気持ちを奮い立たせて出かけた。行ってよかった!! 見てよかった!! もう一度見る予定なので、感想は簡単に。
「矢の根」
三津五郎さんの五郎がのびやかで大らかで楽しかった。
このお芝居では後見さんが大忙し。たとえば五郎が宝船の絵を枕の下に、寝る場面では、うつ伏せになって五郎を背中にのせる。それだけではなく、片手を五郎の背中に当てて支えているのである。時間にして2分ほどだけど、この姿勢はけっこう厳しそう。
目が覚めた五郎は夢枕に現れ救いを求めた十郎を助けようと支度をするが、このとき後見さんが仁王襷を五郎にかける。ぶっとい襷紐を八大さん大和さんの2人がかりで締めていくのだが、時間がかかるので、三味線が間をつなぐ。三味線は杵屋巳吉さんだったでしょうか、舞台中央の進行状況に時々ちらっと目をやりながら、「まだだな」という感じで間をもたせる。やがて背中で締めている(三津五郎さんは客席に背中を見せている)八大さんが巳吉さんに軽くうなずいて合図。すると巳吉さんは曲を進めていく。
後見さんはこの後、馬との絡みもあったりして、後見の仕事を見るのも興味深かった。お疲れ様でした。
「連獅子」
三味線の栄津三郎さんと長唄の里長さんは国立と掛け持ち(他にも掛け持ちの方がいらしたらごめんなさい)。今月は役者さんも梅枝クンと梅之さんが浅草と演舞場掛け持ちで(こちらも他にいらしたらごめんなさい)、都内で5座もあるから大変ねえと思った。
さて、みなさん鷹之資クンに涙されるようだが、私も鷹之資クンが舞台に現れた途端涙が滲んできた。
吉右衛門さんの踊りは、仔獅子を谷に蹴落とそうとするあたりに厳しさが、全体にはあたたかみが感じられ、「鷹之資は自分が引き受けた。富十郎さん、安心してください」と言っているように見えて、これまた涙を誘われるのである。鷹之資クンは折り目正しい踊りで、しっかり吉右衛門さんの指導を受けようという意志が見て取れた。顔が富十郎さんに似ているなあと初めて思った。
2
人の毛振りも端正。「キッチー、そんなに頑張らなくてもいいから」と心配になるくらい吉右衛門さんが頑張っていて、毛振りの間中、拍手が鳴りやまない。私もずっと拍手を送っていた。 

「め組の喧嘩」
 
楽しかった。盛り上がった。発端は理不尽なんだけど(「番隨長兵衛」をちょっと思い出させる)、あの時代の身分制度としてああいうことはけっこうあったんだろうなあと思う。
 
菊五郎さんはじめ、め組のみんなの江戸っ子の粋と意気が心を昂揚させる。菊ちゃんはまた声がおかしくなっていて、立役でのどを痛めてるんじゃないかと心配になった。立役の菊ちゃんもカッコいいけど(血気盛んな若者、男の子菊之助、惚れ惚れ)あの声は宝なんだから大事にしてほしい。
 
大河クンが小さな体でしっかり芝居をしているのには感心した。「あいよ」の返事が何とも可愛らしい。
その大河クンの手を引いたり肩車するお守り役は松也クン。こちらも粋な若者ぶりがとても素敵。
権十郎さん、亀三郎・亀寿兄弟も活きがいい。
團蔵さんも血の気が多いながら頭を支える大きさがある。彦三郎さんが舞台を締める。
左團次さんも堂々として見事だが、この芝居ではやっぱり相撲取り側は不利かな…。
又五郎さんが憎々しくてフクザツな気分…。
時さまは意地を重んじる江戸っ子の女らしい気の強さとやさしさの両面がよかった。
 
私の一番の期待は橘太郎さんの立ち回り。番頭さんの役なんかだとちょっと背中を丸めて首を突き出すような姿勢になるけれど、鳶の橘太郎さんは背筋も伸びて若々しい。ユーモラスな身軽さで、ご本人も楽しそうに生き生きと暴れていた。相手の相撲取りは茂之助さん? お2人の息の合ったコミカルな立ち回り、たっぷり楽しんだ。
 
鳶の連中が屋根に上がる場面がまたすごい。ハシゴを使わないで勢いつけて壁に足をかけて一気にのぼる。上では先行の2人が手を引っ張って助ける。全員見事に屋根に上がり大拍手。
 
最後には喧嘩を止めに入った梅玉さん驚きのワザ(?)もあり、理不尽は理不尽ながら威勢のいい鳶の声でスカッとした気持ちになった。
阪神大震災から17年、2つの地震を思うと、こうしてお芝居を楽しめるありがたさをあらためてかみしめるのでした。
 
<上演時間>「矢の根」27分(16301657)、幕間20分、「連獅子」53分(17171810)、幕間30分、「め組の喧嘩」104分(18402024
 
これくらいに終わってくれると助かります。

|

« アツくなれなかった「三人吉三」 | トップページ | 朝、出かける前の1時間 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/43771919

この記事へのトラックバック一覧です: 全部楽しくて昂揚した演舞場夜の部:

« アツくなれなかった「三人吉三」 | トップページ | 朝、出かける前の1時間 »