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2012年1月21日 (土)

浅草第二部再見

119日 浅草歌舞伎第二部(浅草公会堂)
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12012102sandwich_2今日のランチは鎌倉物語の海老カツサンド。浅草のお肉屋さんのサンドなのに「鎌倉物語」。海老がぷりぷりしてとてもおいしかったけど、後でだいぶのどが渇いた。



「お年玉ご挨拶」
愛之助さん、素顔でのご登場。
形式的な口上を二言ほど述べたあと、さっとマイクを持って立ち上がり「はい、皆様こんにちは。私は片岡愛之助と申します」とカジュアルな口調に。
恒例、歌舞伎を初めてご覧になる方、との質問にチラホラ手が上がったらしく、「これからご覧に入れる演目は難しいことはありません。イヤホンもありますし…。あ、早々とお借りくださってありがとうございます」と笑顔。
このあと、質疑応答。「23階の方は無理ですが1階の方で」と愛之助さんが客席に降りる。第一部の席だったら私も手を挙げていたかもしれないけれど、第二部はちょっと遠くて挙げられなかった。で、客席から出た質問は、「演目はどうやって決めているの?」→「基本的には松竹が決める。浅草はみんなで決めたこともある」。で、質問者が何か希望の演目があったようで(何かは聞き取れなかった)、「それは松竹に言ってください」とのことだった。
ラブリンはそれからひらりと舞台に戻り、これも恒例拍手の稽古。「役者が見得を切っている時に拍手しかけたらまわりがしていないので止めちゃったことあるでしょう。どうぞ拍手を」というわけで(うん、あるある)1階、2階、3階、最後に全員で拍手の稽古をした。
最後に「携帯が鳴ったらカメラがそっちを向きますよ」と亀ちゃんほどではないにしても警告してから舞台になおり、「浅草歌舞伎と歌舞伎をよろしく。すみからすみまでずい~とお願い申し上げ奉りまする」。
「敵討天下茶屋叢」
今回は、亀ちゃんの笑いを誘う面白い演技よりストーリーや人物の気持ちを中心に見た。というか、自然とそういう目でじっくり芝居を鑑賞する方向にいったのだ。そうしたら、伊織(亀鶴)の死がひどく哀れで悲しくて、源次郎(巳之助)の涙にこちらも涙を誘われてしまった。
仇討って、敵のほうも逃げ回るのに大変だけど、討手のほうも本懐を遂げるまでは故郷に帰れなくてつらいという話は歌舞伎でも何回か見ているけれど、この兄弟も7年敵を探しているのだ!! 伊織の無念さを思うとやりきれない気持ちになった(関係ないけど、亀鶴さん、第一部では悪役として、第二部では善人役として、どっちも死んじゃう役なのねえ)。
元右衛門は小さな人間で、実の兄を殺すなど残忍ではあるが悪党としても「ちいせえ」と思う。そういう小ささ、歌舞伎の憎めない小悪党を亀ちゃんがうまく見せていた。ただ、ストーリー重視で見ると、この兄殺しの場面はちょっと長すぎるような気がした。それにしても安達元右衛門なんて、名前だけは立派だなと可笑しくなる(実直な兄の名は弥助)。
その元右衛門が悪の道に入るきっかけを作ったのは奴の腕助であるが、いつのまにか腕助は元右衛門の手下になっていて、最後は改心して元右衛門を討つ側にまわっているのがまた面白い。元右衛門につっこまれて「本心に立ち返ったのだ」と威張って見せる腕助を段一郎さんが好演。
大詰は笑いの連続。元右衛門が絵馬の後ろに隠れたり、雷おこし売りのばあさん(段之)に化けたり、客席を逃げ回ったり。前回は私の席から遠いところを逃げていたけれど、今回は近くで亀ちゃんを見ることができた。亀ちゃん、空席にすわり、隣の人のプログラムを取り上げて読むふりをしていたけど、すぐに見つかって又逃げ回る。舞台に上がるとツケ打ちさんに乱暴を働き柝を奪ってツケを打ったり、住吉大社の神馬を奪ったり。
前回も驚いたが、住吉大社の反り橋の傾斜がハンパじゃない。元右衛門・腕助・伝吉(三津之助)の3人が先を争ってのぼり、3人揃って滑り下りてくるのが楽しそう。

とうとう、源次郎、染の井(春猿)、葉末(壱太郎)に囲まれる元右衛門。今日の楽屋オチは巳之助クンいじり。「坂東巳之助いう役者が去年現代劇に出たが(「江戸の青空」のことでしょう)、初めて女優と共演する巳之助に演出家が本当に好きになったように演技しろと言ったら、本当に好きになっちゃった」そう。あとは客席の笑いが亀ちゃんの声をかき消して私には聞き取れなかったけど、「電話番号の聞き方教えるから許して~」とか言っていたような。てことは、亀ちゃんは共演した女優からちゃんと電話番号聞き出しているのか…
 
そんなふうに許しを乞うても当然認められるわけがない。元右衛門は実にあっけなくみじめに死んだ。その死にざまが元右衛門という人間の存在の小ささ(虫けらのような存在っていうのかな)を表しているようで、しかし芝居の主役ではあるから、元右衛門の死体は舞台中央のセリであの世へ降りていくという印象的な最期。
 
そして源次郎たちはついに敵・東間三郎右衛門(愛之助)を討って本懐を遂げる。ここに伊織がいないのが私に再び悲しみを甦らせた。

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コメント

SwingingFujisan様
 こんにちは。昨日、氷雨の降る中、家人と一緒に、浅草歌舞伎行ってきました。「吉田屋」、愛之助敢闘賞ものだと思いますが、仁左衛門の和事の味にはまだまだ。但し、再演を重ねる都度良くなっていくのでしょう。今の仁左衛門も、最初の頃は、十三代目と比較され、とやかく言われたものです。壱太郎は、役の重みとは乖離しすぎています。若手の勉強芝居といえば、そうですが。
 「天下茶屋」面白いですね。確かに、昨年の高麗屋の陰々滅滅のつまらなさとは大違い。昔、猿之助で見たときも、ここまで弾けていなかった気がします。猿之助はもっと線が太く、男性的な味が濃厚でした。亀治郎以下、愛之助、男女蔵、亀鶴、春猿等役柄にあい、どの場面も楽しめました。
 ところで、薪車、昭和時代のテレビ時代劇の主役俳優のような「良い男」ですね。是非、大きな役を見てみたい気がします。
 昨年同様、観劇前に浅草寺のおまいりをして、お土産は、場内販売の人形焼と芋羊羹を買い求め、良い気分で帰宅しました。

投稿: レオン・パパ | 2012年1月22日 (日) 13時26分

レオン・パパ様
こんばんは。コメントありがとうございます。お返しが遅くなってすみません。
昨日は朝雪が降ったりして寒くて大変でしたね。お疲れ様でした。
愛之助さんの伊左衛門、これまでのミニ仁左衛門といった感じから脱したようで、私はとても気に入りました。これからも上演を重ねて仁左衛門以上と言われるようになってほしいと思いました。
壱太郎さんには厳しいですねcoldsweats01 私はけっこう評価したのですが…。ただ、今回は春猿さんの夕霧を見てみたかったな、とも思いました。壱太郎さんも成長の途上にありますから、何年か後にはきっといい夕霧を見せてくれるでしょう。

「天下茶屋」、高麗屋とは大違い--まったく同感です。役者が違うと芝居の味もこんなに変わるのですね。亀治郎の猿之助襲名がますます楽しみになってきました。

薪車さん、ほんとおっしゃる通りですね。昨年12月の演舞場、松竹喜劇でしたが見ればよかったとちょっと後悔しています。

浅草のお土産はお値段も庶民的でありがたいですよね。昔はそんなにおいしいと思わなかった雷おこしを好きになったのも浅草歌舞伎のおかげですsmile


投稿: SwingingFujisan | 2012年1月23日 (月) 00時27分

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