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2012年1月11日 (水)

やっと初日の演舞場

110日 初春大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
やっと私にとっての初日が来た。昨年1225日に日生の千穐楽を見て以来の2週間で電車に乗って出かけたのはわずか1日という引きこもり状態だったから、久々の外出は新鮮でもあり疲労でもあり…。

普通、幕が開くと、舞台に誰もいなくても自然とわくわく期待の拍手が湧くと思うのだけど、今日は3演目とも幕開きに拍手がなかった。なんでも拍手すればいいってものではないにしても、ちょっと寂しい気がする。それに拍手が起きた時でも、なんか熱が籠っていないの。儀礼的な拍手のような…。お客の入りはかなりよかったのに。
「相生獅子」
後見に京由クンと春希クンが? そこに気がついたら(もう後見やってるんだ)後見にばかり目がいってしまった時間帯もあったけれど、魁春さんと芝雀さんがきれいで意外と楽しめた。毛振りも適度に勇ましく、きれいに揃っていた。けれど、そのうち魁春さんのほうが疲れて… こういう舞踊はよくわからなくても華やかさを楽しめばいいと思う。
「金閣寺」
心配していた菊之助さんの声がまた鈴を転がすような声に戻っていたのが嬉しかった。菊ちゃんは人妻というよりは清純な少女のようで、その一途さが愛らしい。夫・直信を救うために大膳の言うがままになってしまおうかな、でもやっぱりイヤだななどと悩むあたりも少女のようである。夫との別れの場では夫役の歌六さんを愛をこめて必死に見つめる姿がいじらしくて哀れであった。
桜の花びら、雪のように降りしきっていてちょっとやり過ぎ? でも花びらを集めて鼠を描かなくてはならないから。一生懸命鼠を描いている雪姫、ここにも一途さが表れていた。
倶利伽羅丸を抱えて夫の許に駆けつけようとする雪姫、花道で刀身に顔を映してちょっと髪を直すという場面はなかった。その辺にも人妻というよりは少女かなと思わせられた。
老け役でない歌六さんは久しぶりな気がする。若々しくてきれいで、時々はこういう役もやってほしいなと思った。
此下東吉の梅玉さんはイメージ違いかと思ったが意外と合っていた。メリハリもあったけれど、鎧をつけて出て来たらやっぱり義経を思い浮かべてしまったわ。
錦之助さんの軍平がカッコよくて、花道の引っこみなど見惚れてしまった。
三津五郎さんの大膳がまた魅力的だった。小柄さをまったく感じさせない、まさに国崩しの大きさである。色気もある。以前にも三津五郎さんの大膳を見たことがあるが、色々な大膳の中で一番好きかもしれない。

「加賀鳶」
 
鳶のかっこよさを堪能した第1幕。花道での鳶の勢揃いは、私は背中から見ているので、舞台に近い人のセリフはあまり聞こえない。こちらに近づくにつれて聞き取れるようになるが、顔が見えず声だけ聞いているのもなかなかドキドキわくわくする(又五郎さんあたりから聞こえ出した)。そして、3階からは絶対見えない鳥屋直近まで勢揃いしている名題下の役者さんたち(名題さんもいらしたかしら)の呼吸を間近で感じられたも嬉しい。こちらは舞台を向いて立っているので顔も見える。拳を軽く握っているその握り方にも個性がある。
 
「加賀鳶」の前の食事休憩で遅れてきて、渡り台詞の間後方で立ったまま待たされていた観客の集団が、鳶が本舞台に移った途端ぞろそろと席へ移動。舞台の役者さん、やりにくくなかったかしら。
 
鳶の粋と意気。喧嘩を思いとどまって花道を引っこむ鳶たち。今度は正面から全員を見られて満足。吉右衛門さんがカッコよかった!!
道玄の物語は、底辺で暮らす者たちの心として納得するものがほとんどなく、あまり好きではない。同じワルでも髪結新三のような粋さもないし。菊五郎さんは凄みに欠けるのが残念(化粧のせいもあるかも)。反面愛敬は十分あるが、女房いじめっていうのが見ていてイヤ。時さまのお兼がきれいすぎてなぜこんな男と一緒にいるのかわからない。もっともやっぱり菊・時カップルの醸し出す雰囲気は何とも言えない濃密さがあって好き。
 
道玄にいじめられるおせつ(東蔵)が気の毒で気の毒で、大家(菊十郎)に助けられてほっとする。菊十郎さんはちょっとセリフにあやしいところがあったけれど、この人の江戸の空気感は見事だと思う。
 
伊勢屋与兵衛の彦三郎さんに大店の旦那らしさがあり、手代(?)の橘太郎さんは座り方にいかにもな感じがあって、こういう役者さんたちの芸が物語の世界を作るんだなあと改めて感じ入る。
 
赤門前の暗闇の立ち回りは何度見てもおかしいが、ちょっと長いような気もした。
 
<上演時間>「相生獅子」27分(11001127)、幕間20分、「金閣寺」101分(11471328)、幕間30分、「加賀鳶」序幕15分(13581413)、幕間5分、二幕目・三幕目・大詰81分(14181539

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