« やっと初日の演舞場 | トップページ | こちらも感動の試演会トークショー »

2012年1月12日 (木)

感動の試演会

111日 平成中村座試演会(平成中村座)
10
日と12日が歌舞伎観劇、間の11日は午前中人間ドック。だから試演会を入れるのはためらわれたけれど、梅之さんが出るとあっちゃぁ、というわけでとりあえず取ったチケット。
行ってよかった!! 見てよかった!!
試演会は初めてで(12月はどうしても行かれなかった)、チケットの売れ行きなんかの予備知識が全然なくて、正直そんなに売れないんじゃないのなんて軽く見ていた。発売当日、ちょっと出遅れてWebサイトに入ると竹席の後ろのほうだった(試演会は座席が選べない)。それでもそのあたりからしか残ってないからそこだったんだ、という意識があんまりなかった。
そして当日、ほとんど満席の盛況ぶりにびっくり!! あとのトークショーで彌十郎さん(だったかしら)が言っていたけど、平日の午後4時なんていうハンパな時間にこれだけのお客さんが来てくれて、ってまさにその通りだと思った。この盛況がすご~く嬉しかった。と同時に、10時に入っていれば桜席が取れたかなあとちょっと悔しくも思った。ちなみに、チラシも全部出てしまったそう(チケットと一緒に入ってきたチラシは四つ折りにされているので新しいチラシがほしかったのに)。

「寿曽我対面」
「趣向の華」でやる袴歌舞伎と同じ、素での「対面」である。
ふだん、脚光を浴びることの少ない役者さんたちが衣裳も鬘もつけず言うセリフを聞いていると、不思議なことにちゃんとあの華やかな場面が見えてくる。最初の浅葱幕の前の大名たちのセリフからしてそうだった。そして感心したのが障子の内から聞こえてくる工藤の声。第一声にして大きさが感じられた。工藤は坂東彌風さん。お顔は知っているが、声までちゃんと聞いたことはなく(今日の出演者のほとんどがそんな感じ。中にはお顔もよくわからない方も…ごめんなさい)、今日初めて聞いて「いい役者さんだなあ」と認識した。
近江小藤太の獅二郎さん、八幡三郎の橋幸さん、ともにきっちりと仕事を果たしていた。
私の席からは前の人が視界に入って見えない役者さんもいたのだが、幸いお目当ての梅之さんは見える位置だった。正座ではなくて脚を(左脚かな?)を少しずらしたような持ち上げたような、何と説明していいかわからないけれど、かなり大変そうな座り方に見える。衣裳をつけた虎ではそういうところまではっきりとはわからない。梅之さんは端正なお顔で端正な虎であった。化粧坂の少将は蝶紫さんで、そういえばこの2人、一昨年の合同公演のAB班でそれぞれ<おかや>を競演したんだったわと思い出した。ニンで言うと蝶紫さんのほうが虎で梅之さんが化粧坂の少将じゃないかという気もしないでもないけど、それを超えて2人の美女の華やかさが感じられた(欲張りな本心を言うと、梅之さんの二枚目をもう一度見たいな)
面白かったのは、梶原父がいてうさんで子梶原が山左衛門さんだったこと。実はこの2人は私はほとんど見えず、素での対比がよくわからなかったのだけど、後で山左衛門さんも苦笑していた。
表情筋をフルに使った
小林朝比奈の橋吾さんの、威勢がよくかっこいいセリフが楽しかった。
十郎の仲四郎さんはいかつい印象をもっていたのだけど、和事のやわらかさがしっかりしていて認識を新たにした。五郎の彌紋さんは小柄で勢いがある。トークショーでの挨拶で、5年前に五郎をやるチャンスがあったけどできなかった。やりたい役だったので悔しくて悔しくて仕方なかったが、5年後にできるとは本当に嬉しい、と語っていたが、そんな喜びが伝わってくるような五郎であった。
最後に登場する鬼王新左衛門の獅一さんは、鳥屋でみんなのセリフを聞いていて緊張が高まり、「あ~出たくない、いやだ」と思うほどだったそうだが、どうしてどうして落ち着いて舞台を締めていた。 

観客が芝居を見て感動するのは、役者の圧倒的な演技力があってこそだろうが、普段あまりセリフのある役がこない役者さんたちの真摯な演技を見ているとそれだけで泣きそうになる。もちろんまだまだ未熟な部分もあろうし、教わった通りの丁寧な演技で自分のものにするところまではいっていないであろう。しかしそういう中にもそれぞれの役者さんの個性が光り、その力量が伝わってくるのである。みんな師匠の仕事や自分の役をこなし、そのうえで深夜まで稽古を積んだそうだがその成果である(梅之さんは演舞場との掛け持ちで大変だったみたい)。しかしトークショーで歌女之丞さんが言っていた通り、研修は積んでも重要なのは発表の場なのである。勘三郎さんも言っていた。お坊ちゃまだけでなく、力のあるこういう役者さんたちにもっと機会を与えたいというようなことを。私も合同公演を見るたび、彼らの演技をもっと見たい、セリフをもっと聞きたいと思う。
 
並び大名の1人たか志さんが、大名は8人いるが、試演会では4人。セリフが倍になって嬉しかったと言っていた。その気持ちがよくわかる。彼らだってセリフがほしいのだ。もちろん、黙って並んでいるだけの役だって大事だ。後ろに控える家来や、道をただ通りすがるだけの町人だって、その空気を作るのは難しいし、その他大勢の登場人物が芝居の空気を作ってくれなくては芝居は成り立たない。だけど、こういう役もやらせてあげたい。
 
トークショーでの挨拶では近江小藤太を演じた獅二郎さんが感極まって泣き出してしまい(セリフがうまく出なかったようで、その悔しさもあったみたい)、私もうるうるうる。客席からは励ましの熱い拍手が何度も送られる。この拍手、この一体感(昨日の演舞場にはこれがなかったなあ)。
 
梅之さん目当てで見に来たのだけれど、全部の役者さんを応援しながら見て、これからも応援していきたいと思う大満足な試演会だった。
 
<上演時間>「対面」50分(16001650)、休憩15分、トークショー30分(17051735):実際は15分ほどオーバー。勘三郎さんが「この後なんにもないんだから、もっとやったっていいんだよ」と嬉しいことを言っていたが、そうもいかないものね。

|
|

« やっと初日の演舞場 | トップページ | こちらも感動の試演会トークショー »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。

お忙しい中早速のアップ、ありがとうございました。
実は私試演会は初めてでした。もうもう、大感動、大感激、そして大感謝でした(*^◯^*)
大磯の虎と化粧坂は左右対称にすこし膝をくずしてすわっていたように見えました。梅之さん、本当に端正でおきれいでしたね。そして、よくぞこのお役を引き当ててくだすった、と思いました\(^o^)/
獅二郎さん、これから応援していこうと心に決めました。

トークショーでは、七之助さんの口調が勘三郎さんにあまりに似ていてちょっとびっくり。弥十郎さんの素のお声がとても素敵でした。演目ともども期待以上でしたので、次回もぜひ都合をつけて行きたいと思います。

演舞場へ向う車中から失礼しました、のからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2012年1月12日 (木) 10時03分

こんにちは。
夜の部に行ったときに梅之さんがチラシを配っていなかったら、と思うと「みなさい」って天からの声だったか…と思います。中村座の窓口だったので座席が選べました。梶原親子は切れちゃったんですが、座談会後半の後ろの方での勘三郎さんたちの表情とか見えてよかったです。。
幕開けの花魁はななめすわりしてるみたいに見えました。手の置きどころとか普段気にしていないところまで見えて面白かったです。
橋吾さんのブログを見たら、裃に役の紋が入っていたみたいですね^^

投稿: urasimaru | 2012年1月12日 (木) 12時35分

からつぎ様
からつぎ様も初試演会でいらしたのですね!! 試演会がこんなにも感動的なものだとは、あの場にいて初めてわかる空気だと思いました。
本当に梅之さんにこの役が当たって、それをこの目で見ることができて、嬉しくてありがたくて!!
勘三郎さんをはじめ、この企画を実行してくださった皆さんに感謝感謝です。
獅二郎さん、あの気持ちを大事にこれからも精進していただきたいですね。私も応援していこうと決めました。
彌十郎さんは声もステキでしたし、お人柄もステキで、すっかりファンになってしまいました。

七之助さんはあまり勘三郎さんに似ていないとずっと思っていたのですが、いつの頃からか、お顔が時々ハッとするほど似ているのを意識するようになりました。声もやっぱり親子なんですねえ。

大磯の虎と化粧坂の少将の座り方は、けっこう大変そうに見えたのですが、あれだけ長い時間あの姿勢でじっと動かずにいるのですから、そんなでもないのかな。

次回の試演会、日程の都合がつきますように

投稿: SwingingFujisan | 2012年1月12日 (木) 20時41分

urasimaru様
本当に天の声だったんですね!! いいタイミングでチケットを取られたこと、私も嬉しく存じます。
そうそう、先月の試演会も中村座で取れば席が選べたようでした。私はその時日程調整ができていなくて申し込めませんでした(結局、最後まで調整できず見ることができなかったのですが)。
2階だと後ろの勘三郎さんたちの表情が見えたんですね。お弟子さんたちの感動の挨拶の間の皆さんのお顔も拝見したかったのですが、私のところからはほとんど見えませんでした。

衣裳や鬘をつけないと、確かに普段注意のいかないところが見えて興味深いですね。とくにああいう形式的なお芝居はそういう部分がはっきりわかりますね。それだけに出演者も細かく神経を使ったと思います。

橋吾さんのブログ、お気に入りに入れてあるはずなのに見つからず(わかりにくいタイトルのまま入れてあって…。獅二郎さんのブログは読んだんですけど)、さっき見つけました)。ほんとだ、朝比奈の家紋が入っているんですね。

こうやって皆さんが一生懸命精進しているのをみると、み~んな応援したくなりますね。

投稿: SwingingFujisan | 2012年1月12日 (木) 20時56分

こんばんは。
こちらへは今年初コメントです。
Swinging Fujisan さま、皆さま、
今年もよろしくお願いいたしますm(__)m

さて、試演会ですが…。
本当に行きたかったのにいつも平日で…。
レポを拝見して会の雰囲気を味わえました。
ありがとうございます!!
でもやっぱり直に見たかったなぁcatface

国立の研修発表会は張り切って取りました。
芝のぶちゃんのお嬢は特に楽しみです!

投稿: あねご | 2012年1月13日 (金) 20時11分

お弟子さんたちの挨拶の前に、彌十郎さんがせっせと使ってたマイクを手渡していました。いいひとだあ。
あと、勘三郎さんがうるうるってしてたり、萬太郎さんが照れてたり、お互いに「ああ、あの時?」みたいに話してたり^^

投稿: urasimaru | 2012年1月13日 (金) 20時54分

あねご様
こんばんは。こちらこそ今年もよろしくお願いいたします。
試演会、ほんと「平日の午後4時」なんですよねえ。私などはこの時間帯は問題ありませんが、お勤めの方には難しいですよね。ご覧いただきたかったのに残念ですわ。

国立は私も芝のぶちゃん狙いなんですが、まだ行かれるかどうかわからなくて。行きたい気持ちと日程調整がせめぎ合っています(あねご様と逆に、私の場合夜というのがネックなんですわcoldsweats02)。

投稿: SwingingFujisan | 2012年1月13日 (金) 22時05分

urasimaru様
彌十郎さん、いい人ですねえ。話を聞いていてもお人柄がわかるようでした。
私の席からは細かい表情なんかが見えなかったので、教えてくださってありがとうございます。
試演会はそういう役者さんたちにとっても、気持ちを新たにするような、いい機会だったんでしょうね。

投稿: SwingingFujisan | 2012年1月13日 (金) 22時11分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/43710992

この記事へのトラックバック一覧です: 感動の試演会:

« やっと初日の演舞場 | トップページ | こちらも感動の試演会トークショー »