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2012年2月19日 (日)

花の若手が繰り広げるアウトローの世界、御園座夜の部

214日 二月花形歌舞伎夜の部(御園座)
「通し狂言 青砥稿花紅彩画」
12021901misonoza_2 通しは2回目。今回は大好きな菊之助・弁天×松緑・南郷の組み合わせの他に亀三郎・忠信、梅枝・赤星とまさに若手花形の白浪たち。その若い白浪たちを束ねるのが團蔵・駄右衛門。ちょっと小ぶりな感じは否めないが、新鮮で素敵で愛おしいワルたちの出会い、花の若手の繰り広げるアウトローの世界に胸を熱くした。
信田小太郎として登場する弁天の初々しい美しさ、婚礼前の武家娘として登場する弁天の花も恥じらう美しさ。ただね、私としては正体を現してからの弁天は、「粋」や「悲しみ」という点で菊五郎さんのほうが好きかも、とちょっと思ってしまった(菊ちゃんに意気や悲しみがない、というのではなく、うまく表現できないけれど、何か感じるものが違うのよね)。でも、大屋根で最後まで耐える弁天の意気地に菊之助=弁天の心を見た気がした。
松緑さんとのコンビで好きなのは、南郷と弁天はきわめて密接な関係にありながら、べたべたしていないサラっとした空気が2人の間に流れているところ。松緑さんが大きく弁天を包んでいる感じもいい。
忠信利平の亀三郎さんはカッコよく、赤星との思わぬ出会いにも心の真実が籠っていて胸があたたかくなった。
梅枝クンが大健闘。前回の通しでは千寿姫の哀れさが胸にきたが、今回はやむにやまれぬ事情を抱えた赤星が駄右衛門一味になる過程を丁寧に演じて、その実力を発揮していたと思う。
團蔵さんは浜松屋との因縁が明らかになったときの親の気持ちがにじみ出てほろっとさせられた。この場面、実の親子の名乗りがあまりに出来過ぎのせいだろうか、客席から笑いが起きたのが私としては不本意(わからないじゃないけれど)。團蔵さんはただ、体の細さで損をしているような気が時々した。
右近クンは立役のほうがいいわと思っていた私の目にも千寿姫は頼りなげで愛らしい。浜松屋の番頭はこれをやらせたら天下一品と思っている橘太郎さん。背を丸めて首をちょっと前に突き出して座る姿だけでも、まさに番頭の風情が漂っていて最高。盗みを丁稚2人に見咎められてからのチャリ場は楽しかった。「ご当地尾張はスケート王国。ミキティ、真央ちゃんに佳菜子ちゃん」と始まり、菊之助、亀三郎、梅枝、松緑の名を織り込んだ剽軽なセリフが笑いを呼ぶ。3人のエグザイルダンスも息ぴったり(これ、松竹座でもやっていたし、歌舞伎ってほんと、エグザイルダンス好きねえ)。愛敬たっぷりのこの人が本当は悪い人だなんて信じられない。
菊十郎さんの狼の悪次郎もいかにもな雰囲気で、登場すると安心する。
大屋根での立ち回りは迫力たっぷり。弁天が息絶えた後、極楽寺山門の駄右衛門と山門下土橋の青砥左衛門藤綱(亀寿)の対峙で幕。亀寿さんが締めくくりの重要な役に大きさを見せていた。
<上演時間>序幕70分(16151725)、幕間30分、二幕目90分(17551925)、幕間20分、大詰15分(19452000

御園座は平日のせいか、空席が目立った(御園座の経営状態はあまりよろしくないようだが、それも頷けるような…)。迷っておられる方、ぜひ御園座へお運びを。

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