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2012年2月 5日 (日)

「微妙な光」を描く画家:アンリ・ル・シダネル展

24日 アンリ・ル・シダネル展(埼玉県立近代美術館)
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前々日は演舞場、前日は高校クラスの新年会、この日は大学の地域同窓会の新年会と3連続夜の外出はさすがに疲れた。
アンリ・ル・シダネル展は、その新年会の企画の一つであり、地元にある美術館ながら一度も行ったことがないので私も便乗。
ル・シダネル(18621939)は日本では知名度が低いようだが(自分が知らなかったから、というわけではないが、私も全然知らなかった)、ヨーロッパでも一時忘れられ、再認識されてきたのは比較的最近らしい。
彼はジェルブロワという村に構えた自宅の庭をバラで埋め尽くし、さらには村の住民の賛成を得て村全体をバラで埋め尽くしたそうだ。その結果小さな村がフランスで一番美しい村と言われるに至ったのだとか。
1
.自画像
展示されていたのはダンケルク時代の自画像で16歳の時の作品(鉛筆画)。利発できりっとした少女のような面差しである。裕福な家の子女という感じ。
2
.エタプル
エタプルというのはフランスの町の名前で、ここに滞在している間の作品。素朴な自然を描いている。印象派のような雰囲気もあるが、光が何かにくるまれたようで、あんなに明るくない。そのせいかどうか、ところどころ押絵のような厚みを感じる。ル・シダネルの描いた光は「微妙な光」であり、それは次の人物像にも反映されている。
3
.人物像
「月明かりのなかの輪舞」(リトグラフ)は、6人の乙女が青いかすかな光の中で踊っている。幻想的で、心惹かれる。
ル・シダネルの人物画は数多くはないようで、とくに1900年以降は油彩による人物画はほとんどなくなるそうだ。出展されていた「カミーユ・ル・シダネルの肖像」(1904年)はそういう意味で珍しいとのこと(カミーユは奥さん)。 

4.オワーズ県の小さな町々
5
.取材旅行
6
.ブルターニュ地方
7
.ジェルブロワ
8
.食卓
9
.ヴェルサイユ
 
食卓を除いて主に風景画である。人が描かれていなくても画家の視線を感じるし、また食卓の絵には人のぬくもりが漂っているようである。
だけど、これらの絵を見ているうちに、開放感のなさに息がつまってきた。温かみは確かにあるが、それもじっとりと重く感じてくる。「微妙な光」が私には頭の中を覆う靄のようで、梅雨から夏にかけての湿った曇り空が頭にのしかかってくるようなあの重さ・息苦しさと重なってくるのである。だから「春の空(ジェルブロワ)」とか「青いテーブル(ジェルブロワ)」といった明るめの作品を見るとちょっとほっとする。とくに「青いテーブル」は箱根の星の王子様ミュージアムの記憶を甦らせてくれて、嬉しかった。
この展覧会は軽井沢のメルシャン美術館から始まり、埼玉→京都→東京→広島と巡回する。埼玉は今日(25日)が最終日。私は全体としてあまり好きになれなかったが、それでもいくつか心に残る作品はあったし、知名度が低いだけに、その作品を見ることができたのは貴重な機会だったと思う。
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近代美術館のある北浦和公園の夜(駅からも近く、公園内には彫刻も置かれ、大変素敵なところだった。これまで知らなかったのがもったいない)。




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