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2012年3月 8日 (木)

古代エジプトの供物奉納儀式に参加する:「来世のための供物展」

211日 「来世のための供物展」(ルーヴル-DNP
この展覧会は34日に終わってしまって今さら感があるけれど…。
8回のミュージアムラボ。第1回から全部見ているので今回だって外すわけにはいかない。で13時の回を申し込んでおいたら、20分ほど早く着いてしまった。でもすぐに鑑賞することができた。こちらは予約制で1時間に何人もいないから、展示品を1人占め状態で見ることができる。
今回の展示品は古代エジプトの死者のための供物に関連する彫像などである。
ミュージアムラボでは、まず全体的な解説をパネルで読んだ後、実物を見る。それからさまざまな解説を見て、最後にもう一度実物を見る。というのがいい見方だと思う。
「供物を運ぶ女」像(BC1963BC1786頃)。死者が永遠に食事をとれるよう、供物(食べ物)の入った重い籠を頭上に載せて運ぶ女性の小像である。古代エジプトの葬祭信仰において重要な役割である。左手で頭にのせた籠を支え右手は生きた鴨を摑んでいる。エジプト彫刻では女性は足を閉じていることが多いが、この女性は歩行の姿勢をとっており、それが働く女性の特徴としての表現だそうだ。
「サムウトとムウトネフェルトの座像」(BC1479BC1425頃)。伝統的な姿勢で夫婦を表している。両脚を揃え、片方の手を相手の肩にまわし、もう一方の手は膝に置いている。エジプト美術の約束事で男性は褐色の肌、女性は黄色の肌に塗られているが、女性のほうは顔料が消失している。
「内務の長さケルティのステラ」(BC1970BC1900年頃)。来世で食事するためには遺された人たちに食べ物や飲み物を墓前に供えてもらう必要がある。しかし古代エジプトではそのかわりに、食べ物や飲み物を絵やヒエログリフで表現し、その名を唱えることで本物と同じ効果があると考えた。それがステラである。つまりステラとは石灰岩の石碑で、神の加護を保証し、来世で生きるために必要な食糧などを保証する役割を果たすものである。サケルティと妻がサケルティの両親と向かい合って座っている場面、墓に供物や葬祭用調度品を運ぶ家族や召使の行列が描かれ、その周囲にはステラの前を通りかかる人に呪文を唱えるように促す「生者への呼びかけ」などがヒエロクリフで刻まれている。
そのほか、「王の長官ホルイルアアの供物卓」(BC664BC525頃)、供物台(BC2700BC2200頃)、「タチチシャ(ロメインレタス)の縮小模型」(BC2033BC1550頃)、「羽をむしって糸でしばったガチョウの模型」(BC2700BC2200頃)が展示されていた。ロメインレタスとかガチョウとか具体的な食べ物の模型が残っているのが面白い。
作品にはそれぞれにキャプションパネルがついていて、文字情報や、展示物の画像に矢印を当てるとその部分に関しての情報が得られる仕組みになっている。ヒエログラフを読んでみようなんていう試みも面白いよ。
鑑賞システムでそれぞれの作品を詳しく読み解き、エジプト美術の約束事を学ぶ。また地図と模型で、神殿や墓の位置、行列がどのように進んでいったかを知る。
そしてルーヴル-DNPでのお楽しみ、参加型アクティビティは今回は「供物奉納の儀式に参加する」。再現された供物卓の前に立ち、画面の指示通りに香炉や水差しを使い、供物奉納の儀式に参加する。AR(拡張現実)とCGを用いた技術により、エジプト人の考えていた奉納効果が可視化され、鑑賞する私たちがまるでその場にいるような感覚をもつ。実際、これをやってみると、厳粛な気持ちになって死者のことを思うから不思議なものである。
8回展示は終わってしまったが、第9回「ゴヤの《青い服の子供》」展が427日~1028日まで開かれる。無料で、作品はほぼ1人占め状態、最新の技術で作品を読み解き、何かしらの参加ができる。展示期間も半年とたっぷりあるから、ちょっとでも関心をもたれた方は是非。
なおこの展示で使われた技術はルーヴルにも導入されるそうである!!

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