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2012年3月 5日 (月)

勘九郎襲名披露中村座初日夜の部③:「御所五郎蔵」「元禄花見踊」

33日 中村勘九郎襲名披露三月大歌舞伎初日夜の部(平成中村座)
思えば去年のあの日、演舞場におけるこの演目の最中に大きな地震が起きたのだった。あれから1年が経とうとしている。
「曽我綉俠御所染 御所五郎蔵」
下手側通路の途中から仮花道が設えられていた。たったったっとやってきた勘九郎・五郎蔵の、2段上がり仮花道へ足をのせるそのカッコいいこと。子分たちとは足の運びもゲタの音も違う。
一方の海老蔵・土右衛門は本花道だから全然見えない。
花道に移ってからも2人は言い合い。この2人、喧嘩になるところを甲屋亭主与五郎(我當)が割って入る。「中村座のお客様も心配している」と。
この芝居を見るといつも、割り切れない思いや後味の悪さに駆られるのだけれど、今回はその原因が分かったような気がした。割り切れなさや後味の悪さというのは、五郎蔵があまりに簡単に皐月の縁切り話を信じてしまって、その奥にある皐月の思いを受け取ることができないことにあった。なぜあの男伊達が女の気持ちを思いやれないのか、人間ちっちゃくないかと言いたくなるのだ。そこがどうにも引っかかって、五郎蔵という人間に魅力を感じなかった。しかし今回、颯爽としてカッコもつけてはいるけれど五郎蔵には陰に籠った屈折がある――それを勘九郎さんからは感じ取った。内に潜んだその昏い屈折が一歩踏み込んで縁切りを考えることを妨げたのではないだろうか。そう思うと、その屈折が何かはわからないけれど五郎蔵という人間への興味が湧いてくる。
2カ月ぶりに見る海老ちゃんはやっぱり素敵。土右衛門にも屈折した昏さを感じるが、こちらは海老蔵ならではのサディスティックな魅力につながる。
扇雀さん(皐月)はきれいだった。土右衛門の手前、愛想尽かしをしなくてはならない切ない思いがよく伝わってきた。そういえば扇雀さん、去り状を本当に書いていたように見えた。
五郎蔵が間違えて逢州を襲う二幕第二場では勘九郎さんも後から登場する海老ちゃんも足の親指を立てていた。これは今まで気づかなかったような気がする。
七之助さんの逢州がお殿様に愛される美と品格と皐月をかばって五郎蔵の怒りを収め、土右衛門にも有無を言わさぬしなやかな大きさを見せていた。
幕が閉まると、上手桜席の下に設えられていた黒御簾みたいな箱に勘三郎さんが入っていたのが見えた。あの中に誰かがいるなあとはわかっていたのだけど、勘三郎さんとは思わなかった。勘九郎さんの五郎蔵をじ~っと見ていたのだ。勘三郎さんは私たちに手を振ってくれて引っこんでいった(こういうことがあるからミーハー観客には桜席はやめられない)。

「元禄花見踊」
noteちゃ~ちゃちゃん、ちゃらちゃちゃちゃんnoteのあの音楽が耳に入って、「あ、あの元禄花見踊か」と気づいた次第(出だししか知らないけど)。児太郎・虎之介(元禄の女)、国生・宜生・鶴松(元禄の男)による舞踊。花道での踊りは全然見えないので、上手側に隠れている(正面席からは見えないでしょ)後見の芝のぶちゃんウォッチをした。芝のぶちゃんは、その場に静かに正座し、花道での踊りをしっかり見守っていた。児太郎クンの後見役。児太郎クンは身長が高い!! 国生クンは腰の入れ方とか、動き方とか踊る姿がハッシーそっくり。鶴松クンを久しぶりに見たような気がする。虎ちゃんの顔を見た時、あんまり福助さんに似ていたから一瞬児太郎クンかと思ったほど(問題発言?)。身長が違うんでわかった。
15
分と短い踊りだったし、華やかで、それなりに楽しめた。
<上演時間>「傾城反魂香」75分(16001715)、幕間25分、「口上」20分(17401800)、幕間25分、「御所五郎蔵」75分(18251940)、幕間10分、「元禄花見踊」15分(19502005
初日は確か五郎蔵が1945まででその後の幕間が15分になっていたような記憶があるけど、違ったかな。

 

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