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2012年5月 4日 (金)

5月演舞場花形歌舞伎昼の部①:「西郷と豚姫」

51日 五月花形歌舞伎昼の部初日(新橋演舞場)
忙しくてなかなか感想が書けないでいるうちに忘れてしまいそうなので、慌てて簡単に(のつもりだったが、又長くなりそうなので、とりあえず「西郷と豚姫」を)。
「西郷と豚姫」
初見。残念ながら期待していたほど面白くなかった。
1
1人の役者さんの出来は悪くないのに、全体として芝居が噛みあっていないというのか…セリフが入っていない人もいるのはやむを得ないとして、テンポが悪いというのか…これから進化していく期待はもてる。
翫雀さんのお玉の味わいがとてもよい。人がよく、気働きもよく、せかせかと動き、みんなに好かれるのがよくわかる。翫雀さんの女形は「お江戸みやげ」のおゆう、「伏見の富くじ」のにおてる太夫と、その体型を活かした明るい大らかさが魅力だが、それだけでなく細かいところにも気持ちがいくやさしさ、明るさの中に見え隠れするこれまでの人生が絶妙に配分されている。このお玉にも悲しい過去があり、それを西郷に語る場面は泣かされる(父親のことだから、よけいつらいものがある)。最後に西郷を1人見送るお玉の表情がぐっとくる。「お江戸みやげ」で翫雀さんとコンビを組んだ三津五郎さんを思い出し、ああ今度は翫雀さんが…と切なくなった。
獅童さんの西郷は、顔だけ見ていると、「竜馬が行く」の時の錦之助さんの西郷に似ているかも、と思った。でも獅童さんのほうはいつも笑っているような化粧で、体を大きく見せるための肉襦袢も着過ぎじゃないか、という感じ。やや無理に胆の据わった大きさを見せようとしているところがあるのと、獅童さんの間がちょっと他の人と合わないところがあるようなのが気になった(間については、徐々によくなっていくと思う)。ラストでお玉が西郷に羽織を着せかけてやる時、裏表逆だったようで、獅童さんが笑いをこらえながら(実際どうかわからないが、いつも笑っているような顔だからそう見えた)「これは反対じゃ」。客席爆笑。翫雀さん、慌てず「これは慌てまして」と着せ直す。お玉はたしかにせかせかしているので、これもご愛敬というところ。
血気盛んな西郷信者の中村半次郎を演ずる亀鶴さん、その半次郎を追う同心・薪車さんがらしさを見せてうまい。
仲居の嶋之凾さんがさすがに達者なところを見せていた。芸者役の千壽郎、りき弥さんが、芝喜松・芝のぶさんの三味線で歌い、児太郎クンが踊る。児太郎クンは頑張っていたが(体形が福助さんに似ている)、もう少し身長の高さを感じさせない工夫が必要かもしれない。
特筆しておきたいのは芸妓・岸野の松也クン。きれいで(横顔がこんなにきれいだったなんて、今まで気が付かなかった)色っぽくて、声が少し変かなと心配したが(風邪っぽいような、低めのトーンが混じる)、それがまた酔った風情を出していいのだ。松也クンは昨年あたりからちょっと太り過ぎてもう女形はやめたほうがいいんじゃないかと思っていたところへ先月の顔世の上品なふっくらしたエロチックさ、そして今月の岸野も酔い加減が色っぽくて、体の大きさをあまり感じさせない。女形・松也復活というか、新生・松也というか。今後もまた女形が楽しみである。
昼の部はリピートしない予定なので、この物語のよさをわからずに終わりそう。

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