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2012年5月22日 (火)

中村座5月試演会①:「十種香」と「毛抜」

521日 平成中村座試演会(平成中村座)
12052201cookie 試演会の前に。6月の襲名公演、夜の部にも口上が入ることになった、ということを今朝の「はなまる」で聞いた。どっちにしても私は後半にしか行かれないけれど。
さて、去年の夏の合同公演、「道行」で一際目を引かれ、このブログでも時々触れた中村春希クンが大役中の大役、八重垣姫を演じるというので、配役発表と同時に飛び上がった私。もうありったけの応援心で舞台を見つめた。おかげで、「十種香」を一度も意識を失わずに見ることができた(それって初めてかも)。
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つ目の演目「毛抜」ではこちらもご贔屓、梅之さんの前髪立ち姿が見られるし、3つ目のたぬき会の演奏「供奴」はなかなか見られないというか聞けない貴重なものだし、今月は試演会のために決まる前から日をあけておいて本当によかった。
「十種香」
開幕前、お香が舞台のあちこちで焚かれ、定式幕にも焚きしめられていた。勘三郎さんが春希クンを舞台につれてきて、袖でちょっと顔を見せて引っこんだ。春希クンは黒御簾と浄瑠璃に挨拶して八重垣姫の部屋に姿を消した。かわゆい。
動きは教科書通りでややぎこちなさも見られるが(「十種香」って動きの少ない芝居だとばかり思っていたが、八重垣姫はけっこう色々動いていることを今ごろ発見)、おっとりとした姫らしさ、セリフに情あり、表情に気持ちがこめられ、何とも初々しく可憐。八重垣姫といえば燃えるような情熱であろうが、春希クンの八重垣姫はどちらかといえば切ない恋心のようで、その切なさがますますこの姫を初々しく可憐に見せる。
基本、七之助さんに教わったのだろうが(後のご挨拶で「演舞場との掛け持ちでお忙しいのに丁寧に教えてくださった」と言っていた)、時々ハッとするほど魁春さんに似ていて(「師匠の魁春にも教わった」)、やはり師匠の影響というのは大きいものだなあと改めて思った。合同公演の感想にも書いたのだが、春希クンの顔は亀ちゃんのうんと若い頃に似ているんだよねえ。
平成4年生まれ(まだ20歳になったかならないか)、22年研修所卒業の超若手がこの大役でどんなにっか緊張したことかと察するが、見事な八重垣姫であった。
春希クンが舞台にいる間(一度引っこむまで)袖からじっと舞台を見守っている方がいた。顔が見えなかったが勘三郎さんではなかっただろうか。
動きが少ないという印象を受けるのは勝頼が舞台中央でほとんどじっとしているからかもしれない。いてうさんは勘三郎さん、あるいは勘九郎さんに雰囲気がよく似ていた。複雑な境遇にある悲しみのようなものを感じた。いてうさんは何年か前の中村屋兄弟錦秋公演でうまいなあと注目したのだが、いい勝頼であった。試演会にもよく出演していて(勘三郎さん曰く「クジ運が強い」)、ますますいい役者さんになるであろうと思った。
仲之助さんの濡衣は控えめで、勝頼と支え合って長尾家へやってきた女性の強さというか、夫を失ったなどこれまでの苦労に堪えてきた芯の強さのようなものが見えた。
白須賀六郎の國矢さん(國矢さんも本当にクジ運が強い。いつもいい役が当たっている)もダイナミックな動き、きれいな形でやっぱりうまい。
原小文治の八重之さん、勢いはありながら白須賀六郎とは少し違った動きで前者が若武者、こちらが少し上かなという差がわかる巧みさであった。
謙信の八重蔵さんは2人の討手に命令を下すところに大きさが現れていた。
浄瑠璃をじっくり聞き、舞台をじっくり見ると、案外面白い芝居かも。

「毛抜」
開幕前、刀を交える秀太郎の梅之さんと数馬の彌風さんが動きを確認し合っていた。その後も2人それぞれに動きをしっかりおさらいしていた。化粧は残したまま鬘を取った不思議な姿の國矢さんが彌風さんの衣裳を念入りに直し、動きのアドバイスもしているようであった。梅之さんは人の字を呑みこんでいた。秀太郎と数馬は幕が開く前からすでに刀を交えている。争いを止められて左右に離れても、数馬は意識の上での臨戦態勢が見て取れる。一方の秀太郎はおっとりと構えている。この2人の対比が面白かった。止めに入る春花さんに落ち着いた味があった。
八剣玄蕃の橋弥さんは実に憎々しく、秦民部の松太朗さんはいかにも若いながら冷静に状況を見きわめる感じがあり、この対比も面白かった。
弾正の橋吾さんは、顔が小さいのでどうかしらと思ったが、体が大きいし、声もしっかり腹から出して、じつに大らか、ユーモアもたっぷりで、楽しい弾正の謎解きを見ることができた。橋之助さんの指導を受けたのだろうが、時々團十郎さんがふっと見えることがあったのは、本家團十郎さんのも勉強したのだろうか。桜席だったので、又弾正の引っこみが見られず。客席の笑い声に席を立って覗きたい気持ちだったが、事前にそうしていいと言われていなかったので控えた。
本公演で乳人・若菜を演じている歌女之丞さんが腰元役、橘太郎さんが忍びの者というちょっとご馳走な配役にわくわくした。
橋弥さんと橋吾さんは本公演で後見を務めていて、それが実際の役作りにもまた今日からの後見役にも役立ったことであろう。
ところで中村座の試演会は全部くじ引きだということだが、ニン別にくじを引くのだろうか。だって、全然ニンじゃないだろうっていう配役にはなっていないもの。
真は、友人にいただいたお菓子delicious



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コメント

春希の父です。いつも注目して頂き、有難う御座います。これからも応援よろしくお願い申し上げます。

投稿: | 2012年5月25日 (金) 09時23分

春希さんのお父様へ
思いがけないコメントをいただいて大変うれしく存じます。ありがとうございます。
夏の合同公演でも2役演じられるようで、楽しみにしております。大変失礼ながら、これからも近所のおばさん、あるいは親戚のおばさん感覚で応援させていただきます。

投稿: SwingingFujisan | 2012年5月25日 (金) 12時09分

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